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ふらーんけんしゅたーいん!

2017 - 02/23 [Thu] - 01:48

もうだいぶ時間が経ってしまいましたが、ミュージカル「フランケンシュタイン」を観ました。日生劇場にて。
もとは韓国のオリジナルミュージカル。その日本初演です。韓国ミュージカルの日本版というと、これまでにも「シャーロックホームズ」とか「ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ」とか「ブラック・メリーポピンズ」を観たことがあったんですが(ブラメリはDVDですけど)、どれも楽曲が良くて素晴らしい出来だったので、今回もとても期待していました。しかもフランケンシュタイン役は中川晃教くんと柿澤勇人くんのWキャスト、怪物役は加藤和樹くんと小西遼生くんのWキャスト! 歌上手い&イケメンのWキャストですよ!! 組み合わせは問わないけどとにかく全員観たくて、でもスケジュールの関係で4人観ようと思ったら1日で昼夜公演観るしかなくてですね…はい、観ましたとも、昼夜「フランケンシュタイン」。どっぷり浸ってきましたとも作品世界に! 昼公演が中川くん&小西くんの組み合わせ、夜公演が柿澤くんと加藤くんの組み合わせでした。
で、これがまたすごーく良かったんですよー! 演出が板垣さんだったので、本気で「DVD化しないかなー!!」と叫びたくなったくらい。いやこれ映像に残そうよ!! ドラマティックな楽曲、主要キャスト全員が2役やるという大胆な構成、そして大変腐女子向けな耽美な雰囲気(笑)!! いやあの、先行予約特典の写真集からして原作とは似ても似つかない腐女子向けな雰囲気だったので、「あー、そーゆー感じで売るんだなー」と思ってたら、確かに全力でそっち方面だった! まあでも、そっち方面抜きにしても、大変私好みな作品で。せめてCD欲しいなー、大好き。再演したら絶対観る!
というわけで、感想です。ネタバレしますよー。

舞台は19世紀初頭。軍医のアンリ・デュプレは、敵兵の治療をしようとしたところを咎められ、処刑されそうになります。そこに現れたのがビクター・フランケンシュタイン、優秀な科学者である彼はアンリを助け、代わりにアンリに自分の研究を手伝うよう命じます。ビクターが行っていたのは死体の蘇生術、死んだ兵士の死体を蘇らせる実験を行っているというのです。けれど戦争はそれからすぐに終結し、ビクターはアンリと執事のルンゲを伴って故郷へ戻ることになりました。そこでもビクターは実験を続けようとしますが、死体がごろごろ転がっている戦場とは違い、新鮮な死体が手に入らず、実験は一向に進みません。じゃあ葬儀屋から新鮮な死体を手に入れればいいんじゃないかという話になったのですが、それがいけませんでした。金に目がくらんだ葬儀屋は、なんと自分で人を殺してビクターに差し出してきたのです。怒ったビクターは思わず傍にあった石で葬儀屋を殴り殺してしまいました。このままではビクターは人殺しとして裁かれることになります。が、そんなビクターをアンリはかばい、全ての罪をかぶって処刑されてしまいました。悲嘆に暮れたビクターは、アンリの首を処刑場から持ち帰り、己のこれまでの研究の全てを注ぎ込んで彼を蘇らせようとします。轟く雷鳴、恐ろしいほどの稲光に照らされた実験室の中、再び動き出したアンリ。けれどそれはもはやアンリではありませんでした。アンリの記憶を失い、ただの怪物となったその生き物は、ビクターに襲いかかり、ルンゲを噛み殺して逃走してしまうのでした。
そして三年後。ビクターは、幼馴染のジュリアと結婚し、平和な時を過ごしていたビクターの前に、再びあの怪物が姿を現します。言葉など喋れなかったはずの怪物は、かつてのアンリのような知性ある話し方をするようになっていました。が、その目は暗く燃え、ビクターを冷たく睨みつけたまま。怪物は、この三年の間に自分に何があったのかを語り始めます。自分がどれだけの悪意にさらされ、どれだけの裏切りにあってきたのかを。そして怪物は、ビクターから全てを奪い去るべく、恐ろしい復讐を始めるのでした……――。

いつも思うことですが、Wキャストって面白いですね。全然個性の違う役者さんが、全然違う役作りで、同じ役を演じてみせる。同じシーンなのに、伝わってくる感情にはどこか違いがあって。同じ日に立て続けに観たからか、今回は特にキャストによる違いが分かった気がします。
中川くんのビクターは、とても繊細で純粋。子供の頃から生命の神秘に魅せられて、それが神の領域とわかっていても手をのばしてしまう。だからアンリが死んだとき、迷わず彼を蘇らせることを選ぶ。なぜって、彼にはそのための機材も理論もあったから。対して、柿澤くんのビクターは、同じく繊細だけど頑なで、どこかが壊れてる感じがする。紙一重感があるんですよね、天才であるがゆえに狂気の領域に足を踏み入れちゃってるような。アンリが蘇ったときの両ビクターの反応が全然違ってたのがひどく印象的でした。中川ビクターはアンリが生き返ったことを純粋に喜んでいるように見えたんですが、柿澤ビクターはアンリが生き返った喜びよりも実験が成功したという歓喜に打ち震えてるような感じで、ちょっとイッちゃった感があった。どちらのビクターも、私は大好きでした。頭が良すぎて、他の子供とは違っていて、だからこそ孤独で、でも彼は彼なりにこの世界に良いものをもたらそうとしていたんじゃないかなと。死は無慈悲で、残された者にとってもひどく残酷な出来事。大事なものをただただ取り戻したい一心で、ビクターは死者を蘇らせようとしていたはず。彼のお母さん、ジュリアが大事にしていた仔犬、そして親友だったアンリ。誰一人きちんと戻ってくることはなかったけれど、それでも死を生に転化させようとした彼の望みは誰が望んだっておかしくないものだったはず。
それにしても中川くんは、観る度「天才だなこの人…」と思います。なんて素晴らしい声! 「偉大な生命創造の歴史が始まる」を彼が歌い上げたとき、客席が割れんばかりの拍手でいっぱいになって、後ろの方から「ホウホーウ!」って歓声があがりました。今まで私、「いやいやジャパニーズなんだから、『ホーウ!』とか『ブラボー!』とか声上げるのはちょっと…」と思ってたんですが、この瞬間は私も胸の中で「ホーウ!!」って叫んでた! 肌がびりびりするくらい、あの歌声で感動した! ホウホーウ!! 
で、柿澤くんの歌声もまた、素晴らしくて! あれだけ歌って、全く揺らがない! ぶれない!! まだ若いのになんて安定感!! 素晴らしく厚みのある声が、感情と共にどーんと真正面から攻めてくる。柿澤くんの声も大好き。うん、CD出そうよこのミュージカル!! アッキーの声もカッキーの声もずっと聴いていたい。
そんでもって、アッキーもカッキーも、二幕ではビクターだけでなく、怪物をえらい目に遭わせる闘技場の主人ジャックも演じてたわけですが、このジャックがまたビクターと全然違う役で。しかも2人とも役作りが違ってて。中川くんのジャックは、なんか可愛いんですよ。なんとなくまるっとちまっとした感じで。奥さんのエヴァとの関係も、なんかこう、きゃっきゃした感じで。なのに、そんな可愛い人が、ゴルフクラブで怪物の顔をがんがん殴るのが怖い。対して、柿澤くんのジャックは、だいぶお下品(笑)。下衆い!! そして怖い!! 全般的に、芝居は柿澤くんの方が遊び心満載なんですよね。小ネタをばんばん入れてくる感じで。しかも時折底冷えするような瞳をするものだから、尋常じゃなく怖い。私としては、ジャックの演技は柿澤くんの方が好みだったかも(笑)。
遊び心といえば、アドリブも中川くんと柿澤くんで結構違ってましたね。戦いで腕を失った敵将に腕をくっつけてやれと言ってきた将軍に向かってビクターが「質問ですか、それとも命令ですか?」と返した台詞を、その後ルンゲやアンリが真似するくだりがあるんですが、ルンゲが「質問ですか、それとも命令ですか」とビクターに向かって言ったとき、中川ビクターは無視して去っていくんですが、柿澤ビクターは「引っ叩かれたいんですか」と返してましたね(笑)。そしてそれに向かって「愛されたいんです!」と返すルンゲが最高でした(笑)。ルンゲの名案に喜んだビクターがルンゲにキスをするシーンでも、中川ビクターはちゅちゅちゅっと小鳥のようなキスを連続でしてたのに対し、柿澤ビクターはまさかのお酒口移し(笑)! そういえばこのシーンでは、小西アンリもルンゲにキスしてましたねえ、酒場の支払い押し付けたとき(笑)。加藤アンリは、ルンゲがそのとき遠くにいたもんだから微笑んだだけでしたけど。この辺は全部アドリブだったんでしょうね。

アンリ役Wキャストの小西くんと加藤くんも素敵でした。長身イケメンが露出度の高い格好をしてくれるのは、大変眼福ですね(笑)。でも、逃げ出した怪物が最低限の布を腰にまとっただけ+ビクターのコートという格好だったときは、「変態だ…」と思ってしまいました(笑)。冒頭、アンリが怪物となって甦るシーンでは、小西くんの痙攣っぷりがものすごくて、ちょっと怖かったです。痙攣しながら漏れる声が本当に人間のものとは思えないようなものになってて、すごかった! 
小西アンリは、ビクターの代わりに処刑される直前に歌う「君の夢の中で」がとても良かったです。この歌、アンリがビクターへの想いを歌う歌なんですが、ええと、歌詞の中にばっちり「君の夢見る瞳に恋をした」ってあるんですが…恋ですか、そうですか、恋…。まあそれはともかく、歌の盛り上がりのところを歌い上げた後、小西アンリが感極まったように一度口をつぐんだところで、ものすごく胸にくるものがありました。ああこの人はこれだけの想いをビクターに抱いていたからこそ、迷わず身代わりを買って出たのだなと。家族のいなかったアンリにとって、ビクターは親友であり、家族の代わりでもあり、そして共に夢を追いかける存在だったわけで。たとえ自分が死んでもビクターの夢の中で生き続けられるならかまわない、と歌うアンリの姿が健気で美しくて。でもアンリは、ビクターが自分を実験に使う可能性を考えてなかったのでしょうか。アンリくらい頭が良ければ、たぶんその可能性も考えていたはず。ビクターの役に立てるならいいというくらいに思っていたのでしょうね。まさか蘇った自分が全ての記憶を失って怪物と化すとは予想していなかったのでしょう。悲劇だなあ…。
加藤アンリは、怪物になった後、闘技場でカトリーヌと心を通わせるシーンがすごく好きでした。悪意渦巻く闇の闘技場で、唯一怪物と友達になってくれたカトリーヌ。けれどカトリーヌは自由になりたい一心で怪物を裏切り、彼の飲み水に毒を盛ってしまう。カトリーヌが差し出した水を受け取る怪物の、子供みたいにカトリーヌを信じ切った笑顔が胸に痛かった!! 二幕は怪物に感情移入しまくって観ていたもので、その後、カトリーヌの裏切りを知った怪物が、「昨夜初めて夢を見た、誰かに抱きしめられる夢」と歌うところなんてもう泣けて泣けて。可哀想すぎるよ怪物!! でも怪物、さすがもともとはアンリというか、いざ復讐始めるとものすごく知能犯…ステファンの死体の傍に気絶させたエレンとステファンの財産目録を置いてみたり、兵隊の一人に変装してみたり、ビクターから全てを奪うためとはいえ色々手口が巧妙すぎませんか(笑)。でも、知性を得た怪物がビクターの前に現れたときの冷たい瞳と立ち姿のかっこよさにはかなりくらくらしました。ああ、本当に、小西くんも加藤くんもいいキャスティングでしたよ。美しかった!

ビクターの婚約者のジュリアと闘技場のカトリーヌを演じた音月桂ちゃんは、生で観るのは「十二夜」以来二度目かな? 優しく美しいジュリアよりもカトリーヌの方が断然良かった(笑)。典型的な良い子ヒロインなジュリアに比べると、優しく愚かなカトリーヌは役柄的な美味しさもありますけどね。怪物と2人で「熊ー!」「熊、好きー?」ってやってるシーンが微笑ましかったなあ…だからこそ、カトリーヌが怪物に毒を盛るシーンや、その後の命乞いのシーンが辛かった。辛かったですよ本当に!
ビクターの姉のエレンと闇の闘技場の女主人エヴァを演じたのは濱田めぐみさん。こちらも、エヴァの方が断然私の好み(笑)。やっぱり濱田さんは、優しくたおやかな女性よりも、エヴァのような強い女性の方が似合う気が。エヴァが闘技場で歌うシーン、かっこよかったなあ! あの瞬間、劇場中が濱田さんの声で赤く染め上げられた気がしましたよ。でも、エレンが処刑された後、ビクターが子供時代を回想するシーンでのエレンにはすごく泣かされました。誰よりもビクターのことを愛してくれていたのが彼女だったんだなということがよくわかって、でも回想の中のエレンがあまりにも優しく美しいがゆえに、そんな彼女が永遠に失われたことが本当に悲しくて。
そして、ビクターの執事のルンゲと闘技場の…ええと、マスコットキャラ的なイゴールを演じた鈴木壮麻さん。ルンゲ楽しかったですねえ、ビクターに作ってあげる夕飯は毎回アドリブで変わってたのでしょうか。私が観たときは、少なくとも昼公演と夜公演で全然違うメニューを言ってました。ビクターの傍に長いこと仕えてるのに全然愛してもらえないと、アンリにビクターに気に入ってもらうための秘訣を尋ねるシーンが面白かったです。イゴールの方は…ええとあの、まずその姿形にびっくりでしたよ。壮麻さんの形してない! ていうか頭に何乗せてるの、マヨネーズ!? 中川ジャックの退場時に、ステッキにまたがったジャックがイゴールに「乗れ!」と言って、2人で魔法の箒よろしくステッキにまたがってぴょんぴょん去っていく姿がとても可愛かったです。公演プログラムの壮麻さんのページは見開きで笑えますね、素敵ジェントルマンのルンゲと、親指くわえて物思いに耽るイゴールが同時に見られます(笑)。

ああ本当にこれ、再演してほしいなあ! キャストはそのまま据え置きでも嬉しいし、新キャストで観てもこれなら面白そう。大好きなミュージカルがまた一つ増えました。観に行って良かったです。

陥没!

2017 - 02/08 [Wed] - 01:13

ああ、1月に観た舞台の感想を書かないまま2月がきてしまいました…自分のための備忘録なので別に書かなくてもいいっちゃいいのでしょうが、どの舞台もとても素敵だったので、後日書くことにします。うん、「プリシラ」まだ書いてないですけど。あれも良かったですけどとっても!
それはともかく、シアターコクーンで上演中の「陥没」を観てきました。ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出、メインキャストが井上芳雄、小池栄子、瀬戸康史、生瀬勝久となると、チケットとれたのがもう奇跡な気がしますが、さらに奇跡が重なってなんと前から2列めどセンターでの観劇でした。今年のチケット運はここで使い果たした気がする!(笑)  面白かったー!! ケラさんの昭和三部作の最後にあたるんだそうで、といっても私は前二作を観ておらず、大丈夫かしらと思ってたんですが、別につながりがあるわけでもなくて。タイトルが「陥没」なもので、シリアスか怖い話かと思ってたら、これがまた意外なほどにファンタジーなラブコメディ。脇を固める役者さん達も皆様上手い方なものだから、たくさん笑ってちょっとホロッとして、三時間半の長丁場を全然長いとも思わずにひたすら楽しむことができました。観に行って良かった!!
というわけで感想です。記憶がフレッシュな方から先に書いとこうかなと。ネタバレしますよー。

昭和三十八年の東京が舞台です。オリンピア・スターパークは、アジア圏初のオリンピックである東京五輪に向けて建設された複合娯楽施設。施設を切り盛りするのは、スターパークの建設中に事故死した父の遺志を継いだ瞳です。昨日はそのプレ・オープンのパーティーが行われ、今日は瞳の個人的な知り合いである是晴の婚約パーティーが行われる予定。個人的な知り合いといっても、ただの友人ではありません。実は是晴は瞳の元夫。是晴の浮気が原因で二人は離婚し、その後、瞳は父の会社にいた真と結婚したのでした。開業して間もないホテルは色々と問題ばかりで、瞳とその従妹でホテルスタッフの窓子はその対応に追われて大わらわ。アンケートは苦情ばかりだし、客が持ち込んだペットの犬は壁を傷めるし、公衆電話には借金取りからの電話がかかるし、そのうえ、いつの間にかホテルの客室には大量の乞食が入り込み、勝手に客室を使っていたのです! しかも、瞳の夫だというのに真は一切そうしたことには関わろうとせず、不手際ばかりを責めるのでした。必死に走り回る瞳、そんな瞳を陰から見つめる人物がいました。亡くなった瞳の父親の光作です。渋谷区で一番偉い神様と将棋をして勝った光作は、瞳に会うためにお目付け役の神様2人と地上に降りてきたのです。が、瞳が是晴と離婚して真とくっついていたことに光作はびっくり! 何であんなにお似合いだった是晴くんと離婚してるんだ、しかも何であんな男と再婚してるんだ、ありえない!! なんとか是晴とよりを戻させようと、光作はお目付け役の神様を巻き込んで奔走し始めるのでした。
一方、是晴の新しい妻になる結は、是晴の元妻である瞳を意識しまくり。挑発的な言葉を並べ立て、是晴の弟の清晴が連れてきた謎の男船橋にも色目を使ったり。さらに、結の恩師である八雲先生は、是晴のお母さんにべた惚れ。光作のお目付け役の神様2人が客の体を勝手に乗っ取ってさらに場をかき乱し、惚れ薬だの本音を言う砂だのを使い出して、ホテル内は大混乱! 交錯する恋愛模様、錯綜する思惑、はたして瞳は、是晴は、どうなってしまうのでしょう!?

瞳を演じたのは小池栄子さん。この方、大好きなんです。お芝居上手いですよね本当に。しかも、生で(それも前から2列目で)見ると、本当に綺麗。そしてお胸が大きい(笑)。かっちりしたホテルスタッフの制服姿なんですけど、お胸のラインをついついガン見してしまいましたよ! 小池さんというと、押しの強い女性の役のイメージがありますが、今回の瞳はそうではなく。すごく頑張り屋さんで、健気で、優しくて、芯は強いけど弱いところもあって、なんていうかもうとにかく愛おしくなってしまう女性でした。冒頭で是晴とあんなにラブラブだったのに、次に出てきたときにはもう離婚してて真とくっついてることに気づいたときには心底「えっ」と思いました。何があったの瞳ー!! いえ、勿論色々あったんですよ瞳には。是晴が浮気しやがったせいで離婚したり、死んだ父親が実はとんでもない額の借金を残してることが発覚したり。でも、そのとき支えてくれた真とついうっかり結婚してしまったのがまずかったのです。だって、本当は瞳の父親に借金なんてなかったのですから。全部真の嘘だったのです。それだけではありません、ホテルに乞食が大量に入り込んでたり、借金取りがやってきたり、それらすべてが真が仕組んだことだったのです。この真の計画が発覚するくだりがとてもケラさんらしいというか…是晴と瞳のよりを戻させたい光作が、神様の持ってる七つ道具の一つである本音を言う砂(だったかな? その砂がかけられた場所に座った人は、必ず本音を話してしまうという。効果持続時間は10分)をソファにふりかけ、そこに座った借金取りがまるっと全てを話してしまうという(笑)。この、「そこに座ると本音を言ってしまう」というアイテムが、実に良い仕事をしてましたねー。瞳と是晴が2人きりで話し始めて、ソファに座るかと思いきや2人とも別のところに座って「おおいっ!」となって、でもやがて順番にソファに座って本音を言い出し、ついにはソファから立ち上がってもお互い思ってても言えなかったことをがんがんにぶつけあうという。「何だよお互いまだ好きなんじゃん!」という、観ていてすごくにやにやできるシーンでした(笑)。瞳が、窓子に向かって真と是晴のいいところを挙げるシーンも好きでした。真については、「誕生日にエプロン着けてケーキ焼いてくれるの。不味いんだけど」だけで、是晴については色々出てくる。「脚が長い、顔がいい、スタイルがいい、何でも気楽に話せる、映画に連れてってくれる、私が風邪ひいたらすぐさだちゃんにもうつってた…」そうやってたくさん彼の好きなところを挙げていって、でもそのうちに「なんでも気楽に話せる。なんでも気楽に話せるのよ!」と何度も繰り返して。ここの小池さんの表情がすごく好きだったなあ…そして、そんなに今でも彼のこと好きなのに身を引こうとするところも。瞳、本当に素敵な女性でした。

是晴を演じたのは、井上芳雄くん。瞳が是晴の好きなところを挙げたとき、真っ先に「脚が長いところ」と言ったのが、さすがあて書きというか(笑)。今回は完全なストレートプレイなので歌いませんでしたね。どうでもいい話ですが、最初公演プログラムで役名見たときに「これはる」と読んでました…正しい読みは「さだはる」でしたね。一瞬、銀魂の某巨大犬が頭をよぎりましたよ(笑)。
公演プログラムにも書いてありましたが、瞳と是晴は受けの芝居が多いキャラでしたね。何しろこの2人以外はとにかくキャラが濃い! まともな人って、この2人だけだったような気がする(笑)。でも、是晴も瞳と同じく、愛しくなるキャラ。まあ、多少女にだらしなくて、瞳と別れた後にとんでもなく若い女の子と結婚しようとするあたりはかなりどうかと思いますが(笑)、でも、発達障害がある弟の清治と話すシーン(父親からだと偽って2人で母親にコートを贈った話をするくだりがとても好きです)とか、瞳との間に流れるじれったい感じとかがすごく良くて。ふっと眼差しに優しさがにじむ感じが本当に素敵でした。清治と是晴のやりとりはどれも面白かったですね、何を言い出すかわからない清治に是晴が突っ込む様が好き(笑)。「ナイスガイ・イン・ニューヨーク」のときも思いましたが、お兄ちゃんキャラが似合う人ですね。
様々な出来事があった結果、結との婚約がなかったことになった是晴。ホテルのロビーで是晴と瞳が話すラストシーンが、とてもとても好きです。「なあ、ホテルが落ち着いたら旅行に行こう」「…うん、考えとく」「これからは海外旅行だって行きやすくなるよ! 行くだろ、海外」「…うん。行く」「ああ、ここからも星が見えるんだな。いつか月まで行けるかな」…いつまでも話し続ける是晴に背を向けたままうつむく瞳。是晴が話す未来はまるで夢物語のように幸せで、でもそれは是晴と瞳がずっと一緒にいる未来の話で。眠っていた清治がふっと目を覚まして瞳に「何で泣いてるの?」って尋ねるあのひと言。なんかもう私までうるっときた! 本当に愛おしかった2人とも!

そんな瞳と是晴を囲む人々は、本当に誰も彼もが濃いキャラで。
瞳の従妹でホテルスタッフでもある丸山窓子を演じた緒川たまきさんがとても良かったですね。独特の雰囲気、常に微笑んでるようなお顔、独特の話し方、どれをとっても作品世界にぴったりで。ミイラ(テレビの中に入ってた謎のミイラ…と書くと観てない方には何のことやらでしょうが、テレビの中に謎の生き物のミイラが入ってたんですよ!)に話しかける様とか、もう大好き! 面白かったです。
結役の松岡茉優ちゃんは、私の中では「真田丸」で演じてたちょっと変わった奥さんの印象が強いんですが、結もかなり変わった役でしたね。変わった…というか、複雑な役。もしかしたら劇中で一番難しい役かもしれない。昭和が舞台なんですけど、まるで現代の女の子のようにつかみどころがなくて、様々な葛藤を抱えていることがほの見えるけど、それが何なのかははっきりとはわからない。微笑み一つで全てを隠そうとする女の子。それにしても茉優ちゃん、初めて生で見ましたが、テレビで見る通り、透明感のある美人さん!! 可愛かったです。眼福眼福。
結の友達で芸能人でもある道下ユカリ役の趣里ちゃんも可愛かったです。観るのは「アルカディア」以来。昭和テイストのカラフルなお衣裳がよく似合ってて可愛かった! 腕も脚もびっくりするくらい細くて、全体的な印象がまるでおもちゃのお人形さん。趣里ちゃんは本当にお芝居が上手い。舞台向きの役者さんですよね、いるだけで目がいく。神様に体を乗っ取られた近藤公園さんに叩かれるシーン、二回めは本当に「ぺちっ」って音がしてましたが、大丈夫だったのでしょうか。趣里ちゃんもその後で神様に乗っ取られるんですが、彼女が手すりの陰からぴょっこり顔を出すシーンがもう本当に可愛くて面白くて。もっと舞台で観てみたい女優さん。これからが楽しみです。
清治役の瀬戸康史くんも、生で見るのは初めて。瀬戸くんといえば私の中ではめっきり「グレーテルのかまど」のイメージが強いんですが、生で見るとますます顔小さい!! 顔立ちが本当に可愛い!! お猿さんみたいな短い髪で、ほっぺたもちょっと赤くしてましたが、それでも滅茶苦茶可愛い。清治も難しい役ですよね、普通の人とは違ってて、思ったことをそのまま口にしちゃうから、会話が前後でつながらない。だけどもしかしたら誰よりも本当のことが見えてるのかもしれない役。清治が出てくると必ずシーンが面白くなるから、もう目が離せない(笑)。良い役でした。瀬戸くん似合ってたなー。
八雲先生役の山西惇さん、是晴の母親の鳩さん役の犬山イヌコさん、ユカリのマネージャー役の近藤公園さん、光作役の山崎一さん、清治がどこからか勝手に連れてきた船橋役の山内圭哉さん、手品師の上妻ツマ子役の高橋惠子さんと、脇を固める人々は皆様芸達者。惚れ薬の効果もあってもてまくりの鳩さん、面白かった! 山内さんはさすがの安定ぶり、出てくるだけで楽しい(笑)。このお芝居は脇役の方々が色んな役を兼ねてるので、それも楽しかったですね。山内さんのニセ借金取りの面白さといったら! あと、山内さんといえば、女の神様に体を乗っ取られたときの長髪のさばき具合も面白かったです。高橋惠子さんが神様に乗っ取られた後に、誰かに会う度に「手品師です!」って見得を切るのも面白かったなー。台詞ひとつでもう客を笑わせられるって、すごいですよね。
そして、真を演じた生瀬勝久さん。私この人、滅茶苦茶好きで(笑)。舞台に彼が出てくるだけでにんまりできるくらい。いい人も悪い人も駄目な人もしっかりした人もできる役者さんですが、今回の真はかなり駄目でかなり悪い人。でもどこか憎めない(笑)。企みがぜーんぶばれちゃって、自分からホテルを出ていこうとしていたのに、結局出ていく気が全くなくて居座り続けるところとか、呆れつつも「しょうがないなあ」という目で見てしまいました。いや、自分が瞳の立場だったら冗談じゃないと思いますけど。是晴の「あいつ、何で出てかないんだよ!」という台詞に瞳が「そういう人なのよ」と答えるところが、また何とも(笑)。ラスト、もうあきらめたかと思った真が、惚れ薬を飲んでしまうところでは、すぐ近くに瞳と窓子がいたものだから、「やばい! また話が面倒なことになるのかも!?」と思ったんですが、真の視線の先にあったのは例の謎のミイラ。ミイラ、メスだったらしくて…あっさりミイラに一目惚れする真。うん、よかった、これでもう大丈夫だ(笑)。ミイラと幸せになるがよいよ真。

ああ、こういうお芝居大好き! キューブ制作ということは、DVDになるのかな? なったら買う! 絶対買う!! できることならもう一度舞台で観たいくらいです。オススメですよ!

ナイスガイ in ニューヨーク!

2017 - 01/09 [Mon] - 18:31

年末に観た「ナイスガイ in ニューヨーク」と「プリシラ」の感想を書けていなかったので、順番に書いていこうかなと思います。2016年もたくさん舞台を観に行くことができました。今年も観ますよー、とりあえず今月は「フランケンシュタイン」と「ロミオ&ジュリエット」と「お気に召すまま」を観るのです! 
舞台を観るときは、どうしても演目よりも役者さんで選んでしまうことが多いです。どんな内容かよくわからないものでも、大好きな役者さんが出てるなら、やっぱり観に行きたい。あとは、この人の作品なら面白いだろうなーと思える演出家や脚本家。三谷幸喜さんの舞台とかは、役者さんよりもまず「三谷さん舞台だ! 観たい!」という気持ちでチケット争奪戦に挑みます。新感線もそうですね。反対に、気になる役者さんが出てても「この演出家さんの作品は、あんまり合わないんだよなあ」と思って、見送ってしまうものもあります。あとはまあ、劇場でたくさんもらえるチラシとかで気になったやつですね。チラシは持って帰って一通り目を通す派です。
それはともかく、「ナイスガイ in ニューヨーク」の感想です。この芝居は、やっぱり井上芳雄くんの名前でまず「観よう」と思った作品です。で、演出が福田監督で共演が間宮祥太朗くんだというのを見て、「これ絶対観たい」となって。福田監督のコメディは、舞台では「タイトル・オブ・ショウ」しか観てないんですが、WOWOWの「トライベッカ」でいい感じに井上くんが料理されてるのを観てましたし、絶対面白いだろうなと。間宮くんは同じく福田監督の「ニーチェ先生」でその美形ぶりと面白さを知って大好きになったので、ぜひ一度生で観たいなーと思ってた人でした。で、実際に観てみたらば、ものすごく面白かったこの舞台!! こういうコメディ大好き、再演してほしいなあ! 
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

舞台は1960年代のアメリカです。父親が経営する会社の営業マンとして働くアランは、仕事そっちのけで女の子とスキーに行ってしまうようなプレイボーイ。ニューヨークで気ままな一人暮らしを送っています。一方、アランとは12歳離れた弟のバディは、真面目で内気な青年で、実家暮らし。そんなバディが、ある日アランのアパートメントにやってきます。厳格な父親に反発し、自由奔放な兄に憧れたバディは、とうとう家出してきたのです。が、アランのアパートメントには、上の階に住む女優の卵のペギーや、アランが唯一本気で恋をしている売れないミュージカル女優のコニー、そしてアランとバディの両親までもが次々やってきて、大混乱!  そのせいでアランが手掛けていた商談は駄目になり、アランはコニーにふられ、アランとバディは父親から勘当されてしまうのでした。
そして三か月後。兄弟の様子は完全に逆転した状態になっていました。真面目で内気だったはずのバディは、以前のアランそのものといった様子で女の子と遊びまくっています。一方、あんなにお洒落でプレイボーイだったはずのアランは、まったく遊ぶ気配もなく、毎日ため息ばかり。そんな2人のもとへ、今度は母親が転がり込んできました。母親の手には大きなスーツケース、なんと母親までもが家出してきたというのです。戸惑う兄弟、そこへ父親が現れ、「工場を売って、夫婦で世界旅行に出るんだ」と発言。はたして家族はどうなるのでしょう!?

舞台になる場所は、アランの部屋だけ。そこに様々な人が出入りして、嘘や行き違いや勘違いが積み重なった結果どんどん話が混乱していく、シチュエーションコメディの典型ですね。原作がニール・サイモンなので、それだけでもう面白さは保証されているようなものですが、それを福田監督が現代の日本人にもわかりやすいように上手いこと仕立て上げてありました。
アラン役の井上芳雄くんは、やっぱり華がありますねー。姿が良い。勿論声も良い。公演パンフのグラビアがそれはもうかっこよくて、パンフ買ってよかったと心底思いましたよ! このお芝居はミュージカルではないのですが、何曲か歌唱部分があるという作り。なので、コメディなのに井上くんの歌も聴けるというお得感が素晴らしい。途中、コニーが精肉業界の人々向けのミュージカルで豚肉の役をやったというくだりで、豚肉の歌を歌うシーンがあるんです。「ブヒブヒ♪」って。「豚だから全身食べられるよ、でも食べるときにはよく焼いてね(豚肉だからね!)」というような内容の、まあとにかく馬鹿馬鹿しい感じの歌なんです。コニーが歌うと痛々しいくらいお馬鹿な歌なのに、これを井上芳雄が歌うと、それはもう素晴らしい歌になるというのがものすごく笑えて! 一流ミュージカル俳優がちょっと本気出して歌うと、どんな歌でも一流に聴こえるんですね! 歌い出しは「ブヒブヒ♪」なのに!!(笑) 歌い出した瞬間、全身から発せられる「一流ミュージカル俳優オーラ」がすごい。空気が変わるんですよ!
歌以外の芝居部分でも、アラン役は井上くんによく似合ってましたね。自由奔放なプレイボーイを軽やかにお洒落に演じてて。御本人も、舞台を楽しんでる感じがありました。特に、冒頭のペギーとのからみのシーンは明らかに楽しんでたと思います、絶対色々わざとやってた!(笑) 

バディ役の間宮祥太朗くんは、出てきた瞬間、一瞬誰かわからなかった(笑)。何しろ私の中の間宮くんは「ニーチェ先生」の顔をしてるわけですよ。「ニーチェ先生」のときに、なんて美形なんだろう、そしてなんていい声をしてるんだろう、と惚れ惚れしたもので。なのに今回のバディ役ときたら、ほっぺた赤く塗って、ダサダサな髪型と服装で、喋り方も情けなくて「兄さあ~ん~無理だよ~う~」って! 福田監督、間宮くんに何やらせてんだ!(笑) こんなに美形なのに、美形とわからないこの役作り(笑)。しかも、歌まで歌わせて! アランがいきなり歌い出したときに「え? 何で歌うの? しかも英語? ああ、ここニューヨークだからね」とバディがツッコミの立場で合いの手をいれてたので、そのままのスタンスでいくのかと思いきや、2番からはバディにバトンタッチ! ああ、やっぱりお得感満載の舞台ですね(笑)。
というか、間宮くんがここまで面白い俳優さんだったとは思いませんでしたよ! アランがバディをハリウッドのお偉いさんに仕立ててペギーを騙そうとするシーンのバディ、ものすごく面白かった!! 二幕でプレイボーイと化したバディの変貌っぷりも、絶妙にうざくて笑い死にそうになりました。うん、大好き(笑)。テレビドラマとかでは絶対こんな間宮くんは観られないはず(いや、福田監督作品ならテレビでもありえるかもしれませんが)。舞台の何がいいって、普段映画やドラマではまず観られなさそうな役で役者さんが観られることですよね。
あ、あと、私が観た回、バディが時を超えた回でした(笑)。父親がいかに厳しいかを語るシーンで、「僕の電話は盗み聞きしてるし」と言うところを、「携帯は盗み聞きしてるし」と間宮くんが言ってしまいまして。舞台は1960年代なので、携帯電話ないから!! すかさず井上くんがフォローついでに色々突っ込んでました。ここで時を超えてしまったので、後の方の台詞で「ベッカム」とかも出てきたのかな? それともベッカムは毎回あったのでしょうか。舞台上のハプニングは、役者さんにはどきどきな出来事でしょうが、観客からすると実に美味しい(笑)。面白かったです。 

コニー役の吉岡里帆ちゃんは、とにかく可愛かったです。「ブヒブヒ♪」もそうですが、なんかもう全部の芝居が体当たりな感じで、それがまた本当に可愛くて。女の子と遊びまくりのアランが唯一本気なのがこういうタイプの女の子というのが、すごく腑に落ちました。家に帰ってから里帆ちゃんの出てるCM見て、「あ、コニーだ!」と思ってしまいましたよ(笑)。開演前や休憩時間中のアナウンスも里帆ちゃんが担当してましたね。
アランとバディの母親ミセス・ベーカー役の石野真子さんは、テレビでよくお見かけする方ですが、生で観たの初めて! 面白かったです! 今時間ないって言ってるのにひたすらマイペースにスローモーに話し続けるシーンが、母親あるある的な感じでしたね(笑)。アランの部屋で留守番することになって、各方面からかかってくる電話を受け続けるシーンもものすごく笑えました。覚えられないからメモをとりたいんだけど、メモ用紙も鉛筆も見つからなくて、そのうちに全然違うことを始めちゃって、はたと電話がつながったままに気づくとか。何本も電話がかかってくるものだからすっかりわけがわからなくなって電話恐怖症っぽくなるところとかも、石野さんがやるととてもキュートでした。

とはいえ、このお芝居、ある意味ペギーとミスター・ベーカーのインパクトが核爆弾並みと言いますか(笑)。なんかもうね、この2人が色々すごすぎて、あらためて頭の中で舞台の内容を振り返ると「アランかっこよかったな」とか「バディ面白かった」とかいう感想が吹っ飛んで、「ペギー面白すぎた!」とか「ミスター・ベーカー、あれもう卑怯なくらい面白い!」とかいう感想にすり替わっちゃうんですよ! 大好きこの2人!!
まずはペギー役、愛原実花ちゃんから。「ラ・カージュ・オ・フォール」のアンヌ役で観たことがあったので、その印象が残ってたんですが…冒頭からその印象ががらがらと崩れ去りました(笑)。アランに抱き上げられてくるくる回った後にスカートを押さえて「見えちゃう! ミエチャウ! ミエチャウ!!」と奇声を上げた辺りからおや?とは思ったのですが、その後もアランが(たぶんわざと)なみなみと注いできたシャンペンを一気飲みするシーンで何度となく逆流させたり、炭酸一気飲みしたせいで声がとんでもないことになったりと、何だろうこの面白さは!! もともとお馬鹿キャラなペギーですが、とにかくもうはじけてた! ハリウッドのお偉いさんのふりをしたバディに迫るシーンも、一挙手一投足が面白すぎて!! あの瞬間、舞台の他のキャスト全てを食ってましたよペギー! 恐ろしい子!(笑)
そして、アランとバディの父親ミスター・ベーカー役の高橋克実さん…この方が滅茶苦茶芝居上手くて面白いのは勿論百も承知なんですが、なんと今回カツラキャラだったんですよ(笑)。なんか某トランプ氏みたいなカツラで…しかもそれが、しょっちゅう脱げる(笑)。脱げる度にかぶり直すんですが、急いでかぶるので、後ろ前だったり激しくずれてたり。途中、バディが「本来の業務を全然まっとうできてないあのカツラが不憫でならない。全然隠せてない」と漏らすのに、激しく同意(笑)。高橋さん、そんなカツラずれた状態のまま、厳格な父親の芝居を続けないで!(笑) もう本当に、目を閉じてこの舞台を振り返ると、まず出てくるのが高橋さんのずれたカツラって、どういうことでしょう(笑)。笑い死ぬかと思いました!

ああやっぱり、コメディって良いですね。本当に、再演してもらいたい舞台。もしくはWOWOWででも流してほしい。大好きです。観に行って良かった!

ヘンリー四世とかパタリロとか。

2016 - 12/19 [Mon] - 01:13

またちょっとばたばたしてたんですが、一段落ついた気がするので、最近観た舞台の感想をまとめて。

新国立劇場にて上演の『ヘンリー四世』、第一部・第二部共に観ました! 第一部の座席が、端の方とはいえ最前列で死ぬかと思いました!! 何だろうこの幸運…こんなところで運を使ってしまっていいのだろうか、年末ジャンボ宝くじで10億あてるために運は取っておいた方が良いのではないだろうか、いやでも最前列とはいえセンターじゃないから大丈夫だろう、などと一緒に観に行った友人と話していたのですが、ところがこのお芝居、客席降りが頻繁だったー!! しかも、フォールスタッフが客席通路で居眠りした場所が、私の席の斜めすぐ後ろ!! それをかまいにハル王子がやってきてしまったものだから、超至近距離で浦井健治くん演じるハル王子を観てしまった…心なしかいい匂いがした気がしましたよ(笑)。その後も、私のすぐ目の前でハル王子がこちらに背を向けて座ったりするものだから、ずれたウエストラインから覗くお肌とパンツまでガン見(笑)。うん、駄目だこれ、だいぶ運を使った気がする(笑)。芝居始まってすぐは、ハル王子がフォールスタッフの陰になって全然見えなかったりして「フォールスタッフ! 今すぐ痩せろ、そしてその出っ腹を引込めろ!!」と心の中で念じていたくらいなのに…。
『ヘンリー四世』はシェークスピア作品の中でもかなり有名なものですが、実は観るのは今回が初めてでした。いや、だって、シェークスピア苦手なんですもの…。とはいえ、思いのほか面白く。特に第一部はかなり笑った覚えがあります。フォールスタッフのいい加減さと嘘つきぶり(だけど、すごく愛すべきキャラ)とか、そんなフォールスタッフやその仲間のチンピラ達と楽しそうに遊びまわるハル王子の様子とか。あと、ひと言も言葉は通じてないモーティマー夫妻のやりとりとか、大好き(笑)。「俺にはひと言もお前の言ってることがわからない…!」(←奥さんがウェールズ語しか喋れないんです)と言いつつ、すごくラブラブなモーティマー夫妻。ヘンリー四世を演じる中嶋しゅうさんは、出てくると途端に舞台が締まりますね! でも、ヘンリー四世が死ぬ間際に、ハル王子が父親がもう息を引き取ったと思い込んで切々と想いを語るシーンでは、しゅうさんが適度に首を振ったり動いたりしてくれるので、「ハル、ハル王子、あのね、あなたのパパ生きてるからまだ!」と心の中で全力で突っ込んでました私(笑)。ええと、あのシーンは、笑っても良いところだったんですか…? 浦井くんの熱演が素晴らしかったので必死に我慢したんですが。
浦井くんは、フォールスタッフと一緒に放蕩三昧の頃は馬鹿王子の雰囲気満々な不良青年なんですが、第二部で戴冠した後の変わりようがすごかったですね。髪ぼっさぼさでいかにもチンピラなお衣裳から王様の真っ白な服に着替えた途端、何もかもがシュッとして美形度が五割増アップ! 姿勢と表情と話し方の変化で、ここまで別人のようになるんだなあ…私が浦井健治という役者さんを好きな理由の一つが、演じる役によって全くの別人になるところなんですが、今回は一つの作品の中でそれが観られました。やっぱりすごかったです。でも、第二部ってハル王子の出番が思いのほか少ない気が…。
佐藤B作さんのフォールスタッフはとにかくよく喋る!! ワイン樽のように太って見せるためのお衣裳はたぶんものすごく暑かったんじゃないかと思いますが、ひょいひょいフットワーク軽く動き回ってましたね。フォールスタッフの洒落は、一部はB作さんのアドリブもあったのでしょうか? 二部の徴兵シーンで、たぶん「後妻業の女」に引っかけようとして上手くいかず、台詞を引込めてたところがあったような。あふれ出るようなフォールスタッフの台詞は聞いているだけで楽しく、このフォールスタッフというキャラクターがシェークスピア作品の中でもとりわけ愛されているというのがよくわかりました。話はよく知らなくてもこのキャラだけは前から知ってましたしね。

そして、紀伊国屋ホールにて上演の舞台『パタリロ!』も観てきました(笑)。
『パタリロ!』は子供の頃から好きで、漫画も飛び飛びでしたが結構持ってました。アニメも見てましたね、オープニングの歌は今でも漠然と覚えてます。プラズマXとかプララとかランダムとか、ロボットの話がすごく好きだったなあ…たまに入る泣ける系の話も好きでした。ノースダコタという土地の名前は、この漫画で初めて知りましたね(笑)。小学生の頃から読んでたので、いわゆるBLなシーンについては、たぶん最初の頃はよくわかってなかった気がします。
で、この作品が舞台化するという話を聞いたとき、最初に思ったのはやっぱり「いや、無理だから」でした。だってパタリロどうするのよ。子役にやらせるにはちょっとネタがどぎついし、無理でしょうこれは…と思ってたんですが、パタリロ役のキャストが加藤諒だと知ったときに、なんか全てを許せる気がしました(笑)。ああうん、その人テレビで見たことある、その人ならいける気がする! で、脚本が池田鉄洋さんだというので、ああ池田さんならいい感じに料理してくれるんじゃないかなと。こうなってくるとかなり興味がわいてきてしまいまして、駄目元でチケット申し込んでみたら運よく取れまして。観に行っちゃいましたよ舞台『パタリロ!』 2.5次元舞台としましては、『デスノート』『黒執事』に続いて3作目。たぶん、これが一番今流行の2.5次元舞台の雰囲気に近い感じなんじゃないかなという気がしました。原作漫画を愛するお客さん、そしておそらく2.5次元舞台を愛するお客さん達に若干甘えすぎてる感もありましたが、たくさん笑ったし、原作のイメージを壊されることなく素直に楽しめました。ストーリーも、原作冒頭のパタリロとバンコラン・マライヒとの出会いのお話にタマネギ21号の裏切り話やらタイムワープネタやらをからめて、さりげなく埼玉ネタもぶっこんで、さらにスーパー間者猫先生とかシバイタロカ博士とか原作ファンにはとっても懐かしい名称がんがん出しつつ上手くまとめてあって。
加藤諒くんのパタリロ殿下は、やっぱりありですね!(笑) うん、このキャスティングは正しい! へちゃむくれの地球外生物なつぶれあんまん。いや、リアルに存在してる人に向かってそこまで言っていいのかどうかはわかりませんが、今の日本でパタリロできるのは彼しかいない! ゴキブリ走法もしてくれてましたねー。あと、シバイタロカ博士の変装解いたときにうっかり脱ぎすぎちゃうのも、全裸とまではいきませんでしたがそれなりに頑張って再現してくれてました。
タマネギ部隊は、原作のあの口をどーするんだろうと思ってたら、ぱかーんと常に開けておくことでなんとか再現してましたね(笑)。ポスター段階では髪の毛でタマネギヘアーにしてましたが、舞台ではヘルメット的なカツラでタマネギ頭を再現。これ絶対、タマネギ達がメーキャップ落として寛ぐシーンを入れてあるせいですよね(笑)。21号ネタは原作でも大好きだったので、入ってて嬉しかったです。あと、タマネギ部隊結成秘話で影だけ出てきたエトランジュ様のお声が、鈴木砂羽さんでびっくりしました!
マライヒは、出てきたときは声の低さにちょっとびっくりしたんですが、宝塚的メイクが上手いことはまってて、ちゃんとマライヒに見えましたね。キラキラな効果音付きでくるるんと回る様が可愛らしかったです。原作の「駄目、石畳は冷たい」「温めてやろう」のシーンがあって、わあ懐かしいと心の中で叫びましたよ(笑)。
とはいえ、やっぱりこの舞台は、バンコランの一人勝ちというか…ビジュアル再現度が完璧だったというのもありますし、芝居もこの方が一番上手かったような。何より、バンコランの眼力の再現の仕方が(笑)! レーザー的なものを発する何らかの機器を目の前に掲げて再現してましたよ!! 超美形な男性が黒髪ロングのかつら着けて目からビームを発する様に、客席全員腹筋が崩壊してました(笑)。バンコランの過去話(なぜ彼がそっち方面の嗜好に目覚めちゃったのか)のシーンもあったんですが、大人になってからのバンコランと美少年時代のバンコランできちんと演じ分けされてて、素晴らしかったです。
あと、何度も出てくる月影先生(の立て看板)…基本、池田さんが「恐ろしい子…!」と言うだけなんですが、大変笑わせていただきました。池田さん大好きです。
パタリロ舞台は次回作も決まってるそうで、2018年にたぶん「スターダスト計画」をやるんだとか。ということは、私の大好きなプラズマXも出るということでしょうか。チケット取れる気が全くしませんが、できれば観てみたいです。

生執事!

2016 - 11/29 [Tue] - 01:28

ミュージカル「黒執事-NOAH'S ARK CIRCUS-」を観てきました。TOKYO DOME CITY HALLにて。ミーツポートの下に劇場なんてあったんですね、今回初めて知りました。
「黒執事」は原作が大好きで、アニメも見てました。特に2期が素晴らしくて、途中から完全オリジナルになってしまった1期のラストから見事に続ける形で新たな物語を構築していて、思わずDVD買ってしまったくらい。実写版映画も一応観ましたが…ええと、うん、水嶋ヒロくんは素敵でしたよね! あと、剛力彩芽ちゃんには何の罪もないと思うので、責めないであげてほしい…あれは役をふった人が悪いと思うのです…。で、舞台ミュージカルになってるのも知ってたんですが、ストーリーがオリジナルだと聞いたので、とりあえず見送りまして。だけどすごく評判良いなーと思ってたら、そのうちキャストが変わって、帝劇でもよくお見かけする古川雄大くんがセバスチャン役になったそうで! で、ちょうど「1789」のロベスピエール役で古川雄大くんがますます好きになっていた私は、アマゾンで古川くん版の「黒執事」DVDを買いまして。黒執事は、舞台版は生執事と呼ばれるのですねえ…うん、確かに生だ(笑)。で、このDVDがまた、びっくりするくらい出来が良かったのです。オリジナルではなく原作エピソードを使っていて、しかもキャストのビジュアルが原作そのまま! 歌唱力は役者さんによってかなりの差がありましたが、楽曲も良いし、舞台ならではの笑いの要素も入れていて、大変気に入りまして。また新作をやるぞと聞いて、頑張ってチケット取りました! もともと原作の中でも大好きなエピソードだったんですが、不覚にもぼろ泣きしてしまいましたよ…やっぱり役者さんがすぐそこで演じてるって、ものすごいことですね。もー胸に迫る迫る。
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

舞台は19世紀のイギリス。シエル・ファントムハイブ伯爵は、まだ少年でありながら、女王の憂いを晴らすべく英国社会の裏社会で起こる陰惨な事件を闇に葬る役目を追っている。そんな彼の傍らに常に在るのは黒衣の執事、セバスチャン・ミカエリス。家事全般から調査、戦闘、ありとあらゆることを完璧にやってのける彼の正体は、実は悪魔。かつて全てを奪われたシエルが己の復讐のために契約した相手である。今回、シエルのもとに下された女王の命は、とあるサーカスを調べること。どうやらそのサーカスは、近頃英国内で頻発している子供の失踪事件に関わっているらしい。シエルはセバスチャンと共にサーカスに潜入し、やがてとてつもなく悲惨で救いがたい真実へとたどり着いてしまう…。

この舞台、本当にキャストのビジュアルが完璧ですね! 公演パンフを読むと、メイクまでキャラごとによく考えられているのがわかって、作り手側の愛と本気がうかがえます。あと、今回サーカス編ということで、サーカスのシーンが何度も出てくるんですが、これがかなり本気のサーカスでびっくり! ピーターとウェンディが登場シーンで180度開脚して布にぶら下がってるのを見て目を剥きました私。え、本物…!? 後でパンフで確かめたら、本物でしたこの方たち。女性アクロバット・ダンスカンパニーに所属されている方たちでした。ダガーもずーっと一輪車乗ってて、ちゃんと芸もしてて。すごすぎる…やっぱり作り手側の本気度がものすごい舞台なんだなあと、しみじみ思いました。だからこんなに愛されてるんでしょうね、生執事。
セバスチャン役の古川くんは、もうどこから見てもセバスチャン。本当にこの人かっこいいですよね…背は高いわ手足は長いわ顔小っちゃいわ綺麗だわ、神様は一体何物を与えたんでしょうこの人に! しかも歌も上手いときてますからね、大好きなんですよ古川くんの歌声! そして、セバスチャン口調も大変はまってて(笑)。何だろう、この胡散臭さ…優しく丁寧に喋ってるのに、とにかく胡散臭く聞こえる(笑)。今回、風邪をひいたシエルを彼が甘やかすシーンがあるんですが、リゾットを冷ましてあげるときの「ふう、ふう」がもう笑えた笑えた! ハプスブルク家の王子様だのスペインの王子様だのニューヨークのゲイだのフランスの革命家だのと色々な役で彼を観てきましたが、私、このセバスチャン役やってるときの彼が一番好きかも…いや、フェリペ役の悪魔的美しさも捨てがたいですが、出番の多さでやっぱりセバスチャンですね!! 本当にはまり役。コメディシーンでは面白く(ウィルとのサーカス競演シーン、面白かった…ウィル役の輝馬さんもウィルそのものでした)、シリアスシーンでは恐ろしくも美しく、そして時々悪魔の本性を剥き出しにしたような動き方と表情でシエルに迫る様がたまらない。前回の「地に燃えるリコリス」で彼がシエルに頬擦りしたとき鳥肌立ちましたもの! いい役者さんだなー。ロミジュリも勿論観に行きますよー。
シエル役の内川連生くんも、ビジュアル完璧! 大きさ的にも、このくらいの子役さんがシエルにはぴったりな気がします。出てきただけで素直に「あ、シエルだ」と思えました。それにしても、いやー可愛かった…サーカスに潜入して笑顔を求められたときの「にこっ」が殺人的に可愛かった(笑)。あと、今回シエルの寝間着姿があって大満足! 前回の舞台のDVDで唯一不満だったのが、セバスチャンがシエルを朝起こしにきたときにベッドの中のシエルが寝間着じゃなかったことなんですが、今回は風邪っぴきのシーンで寝間着着てたー! 冒頭でセバスチャンがシエル起こしに来たときにまたしても普通に服着てて「ちっ」と思ってたんですが、よかったー!(笑) いや、わかるんですよ、いちいち寝間着から着替えさせてたら段取りが追い付かなくなるってことは。でもね、シャツにズボンでベッドに寝てるのはやっぱり違和感あるんですよ…仕方ないですけどね、お芝居だし。
ジョーカー役は三浦涼介くん。私の中では「カルト」のNEO様役が一番印象深い(笑)。彼もジョーカー役はまってましたね! 歌も上手い。結構ミュージカル作品にも出てる方なんですね。サーカスの口上を述べるシーンがすごく似合ってて、華のある役者さんだなと思いました。
そのほかの役者さん達もとにかく原作どおりで。葬儀屋さんの完成度の高さと彼が笑いを求めるシーンの面白さは言うに及ばずですが、フィニ役の河原田巧也くんの完成度も素晴らしいと思うです。お馬鹿なシーンもだけど、サーカス団が屋敷に潜入してきたときに本性が出ちゃうときの台詞の言い方が本当に良かった…フィニがいました、本物でした、はい。
そして、前回の舞台のDVDを観て以来愛してやまないアバーラインとハンクスの2人(笑)。もうね、大好きこの2人! まさに舞台ならではの笑いを作ってくれる2人! ハンクスなんて原作にいないのに! アバーラインもだいぶ原作から遠ざかってるのに! 大好き!! 開演直前にはピエロに扮して客席を楽しませ、お話が始まってからもあちこちで笑わせてくれて! 私の観た回でちょうど生執事100公演目を迎えた役者さんが何人もいたそうで、カーテンコールのときにご挨拶があったんですが、アバ・ハンの2人も100公演目だったそうで。そのときに確かアバーライン役の高木俊さんが仰ってたんですが、アバ・ハンのシーンはほとんどがアドリブなんだそうです。脚本には「いい感じに」とか書いてあるそうで。おかげで演技とは違う部分で技術が発達していくそうですが、ということは今回葬儀屋のシーンでセバスやシエルをいじってたあれもアドリブですか…? 古川くんも連生くんも笑いをこらえきれずに何度か観客に背を向けてましたよ(笑)。シエルとアバーラインのからみのシーンでは、アバーラインの名前を覚えられないシエルが高木さんの顎に手をのばし、「A…G…O…」と言ってたのがとても面白かったです。「誰がAGOラインだ! 誰がアゴラインだ!」というやつ(笑)。高木さん、顎が長いというのが定番のネタなんですね。ぜひアバーラインもハンクスも、今後もずっと生執事に出続けていただきたいです。あとハンクスはいつか原作に出るといいと思います(笑)。世界観壊れそうだけど。

あちこち笑い所もありつつ、しかしお話は後半になるにつれてとんでもない鬱展開へ。身よりもなく体も不自由だった幼い頃のジョーカー達を拾ってくれたのは、裕福な貴族ケルヴィン男爵。けれど、男爵がある欲に取り憑かれたことにより、サーカス団の彼らは人さらいの集団とならざるをえなくなってしまって。このジョーカー達のエピソードが、とにかく泣けるんですよ…男爵がやってることがどれだけ恐ろしくどれだけ間違ったことなのかなんて、ジョーカー達だってとっくにわかってたんです。でも、一生かけても返せないほどの恩がある男爵には逆らえない。しかも、男爵が持っている孤児院には、まだまだ年下の子供たちがいるのです。彼らのためにも、「お父様」である男爵に従わないといけない。シエル達と対決した後にジョーカーが漏らす「どうすれば良かったのかな、俺達」という呟きが、本当に切ない…何度か出てくる回想シーンのジョーカーやビーストやダガーがまたやるせなくて、この辺でもう私泣きそうになってました。でも我慢したんです! だけど駄目だった、その後のドールの回想シーンが辛すぎて、気付いたらぼろ泣きしてたー!! もう皆死んじゃったんだと、残ってるのは自分だけなんだとドールが気づいてしまった瞬間の、あの回想シーン!! 皆で芸名をつけあったときのことを思いだしながら、ドールが思い出の中のジョーカー達に呼びかけたあの瞬間の、ドール役の設楽銀河くんの表情見ちゃったらもう涙腺崩壊するしかない!! うわあああなんて可哀想なんだあああ…そしてそれを何の慈悲もなく切り捨てるセバスチャンの冷酷さといったら。ああ、この情け容赦のなさが黒執事の醍醐味。ジョーカー達があんなに守ろうとしてた孤児院の子らもとっくに死んでたっていうあのオチ含めて、とことん容赦なくどん底に叩き落としてくれるよなあ…大好きです。

今回の舞台もDVDになるそうですね。勿論買いますよ! 2.5次元舞台はDVDになるからいいよなあ…東宝ミュージカルももうちょっとDVD化に積極的になってほしいんだけどなー。 「1789」とかDVDにしましょうよー、「レディ・ベス」とか「シスター・アクト」とか「ダンス・オブ・ヴァンパイア」もぜひー。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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