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人喰いキャベツと記憶してました。

2012 - 07/08 [Sun] - 22:58

『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』を観てまいりました。神奈川県民ホールにて。オフ・ブロードウェイの、ロックミュージカルです。
もともとは1960年に作られたB級ホラー映画なのだそうです。それが1982年に舞台ミュージカル化され、その後、この舞台版を元にして、1986年にミュージカル映画が作られたとのこと。私、この86年版の映画を昔観たことがありまして。人喰いキャベツが出てくる愉快なホラーコメディだったなあ、懐かしいなあ観たいなあと。そんな気持ちで、チケット取ってみました。

というわけで、感想です。まだ北海道公演が残っているらしいので、そっちを観に行く予定でネタバレは嫌だという方は、スルーしてくださいませ。

舞台はニューヨークのダウンタウン、スキッド・ロウの小さな花屋。店の周りはガラの悪いスラムで、ちっとも儲からない。主人公のシーモアは、そんな花屋で働く孤児院育ちのドジで気弱な青年です。可愛い同僚のオードリーに想いを寄せているのですが、一向に告白できないヘタレっぷり。サディストな恋人がいるせいで毎日傷だらけなオードリーを気にしつつ、何も言い出せないでいます。
ある日シーモアは、奇妙な植物を手に入れます。見たこともないその植物に「オードリーⅡ」と名付け、一生懸命世話してきたシーモアは、オードリーの助言で店のショーウィンドウにその植物を飾ることに。すると、それまで全く客が来なかった花屋に、次々と客がやってくるようになったのです。とても珍しい新種の植物を発見し育てたということで、シーモアは一躍有名人に! オードリーⅡはますます成長を続け、今では人間よりも巨大な大きさ。その人気は衰えることなく、シーモアの元へは雑誌やテレビの取材が殺到します。 
でも、実は、オードリーⅡには秘密があったのです。
オードリーⅡが大きくなるために必要な栄養は、肥料なんかじゃなかったのです。
それは、人の生き血。
新鮮な、人の肉。
ガラの悪い声で喋り、歌い、シーモアに人肉を要求するオードリーⅡ。そう、その正体は、人類を脅かす恐怖の宇宙生物だったのです…!!

うん、人喰いキャベツじゃなかった(笑)。そういえば宇宙生物だった、オードリーⅡは。
でも楽しかった! たくさん笑わせていただきました。

シーモアを演じたのは、相葉裕樹くん。ぼさぼさ頭に大きなメガネ、なんだかとっても可愛かったです(笑)。頭小さくてスタイルいいなあ…ちょいちょい舞台関係のチラシで名前を見たことはあったんですが、実際に舞台で観るのは今回が初めてかもしれません。
シーモアは、血に飢えたオードリーⅡにそそのかされるまま、何人もの人間を殺していくわけですが…ええと、まさかオードリーまで食べさせちゃうとは思わなかったよ!! 映画と舞台はお話が違うのですね。映画版は、オードリーが食べられそうになったところにシーモアが駆けつけて、オードリーⅡを退治してハッピーエンド(でも実は、結婚した二人の新居の裏庭にはちっちゃなオードリーⅡの新しい株が生えてきてる)だったはずなんですが。舞台版では、シーモアが駆けつけた時にはもう手遅れで、深手を負ったオードリーはシーモアの腕の中で息を引き取り、シーモアは彼女の体をオードリーⅡに食べさせてしまうのです。で、最終的には、シーモア自身もオードリーⅡの餌になってしまい、誰もいなくなった花屋から、オードリーⅡの株がアメリカ各地に運び出されていく…というラスト。えええ! そんなオチだったんだ!! そ、そっかー、映画の安易なラストとは違うのですね、「絶対餌をやらないで!」で締めくくられるのですね音楽も。まさかそんなことになるとは思ってなかったので、色々衝撃的でしたよ。

オードリー役は、フランク莉奈ちゃん。細い! すらっと背が高い! そして面白い(笑)。ロミジュリのミュージカルでジュリエットをやった方ですね。Wキャストだったので、私が観た回は彼女ではなかったんですが、CDで歌声だけ聞きました。Uのライブにもゲストでいらっしゃってましたね。ロミジュリのときよりも格段に歌が上手くなっていたんじゃないでしょうか。役柄上、ちょっと化粧が濃い目だったのが少々もったいない。もともとの顔立ちが可愛いのに! でも、コメディエンヌとしてかなりの才能があるんじゃないでしょうか。とにかく彼女、面白かった(笑)。ちょこちょこと小走りに走る動き方とか、台詞回しとか、表情とか、すごく良かった。「ちょっと彼に手錠はめられちゃって(てへっ)」の顔が忘れられません。この先が楽しみな女優さんです。
そして、サディストな歯医者にしてオードリーの彼氏、オリン役。新納慎也さん。実は今回、キャストにこの方の名前があったので観に行ったような気も。『ラ・カージュ・オ・フォール』で素晴らしい美脚を披露してた方ですね。今回も面白かった! オリンが出てきた瞬間、舞台がオリン色に染まってましたよ! とにかくキャラが濃い。歯医者なのに、白黒でスカンクみたいなリーゼントヘア、黒のレザーのお衣裳、そしてバイクに乗って登場! 元トートダンサーだけあって、脚が綺麗に上がるなあ。患者が苦しむ様を見て楽しむために歯医者になったという真性サディストの役です。患者に麻酔なんて使ったら痛みを感じなくなるので、笑気ガスは自分が吸ってハイになるために常備しているのです。「はい、あ~ん」のお声がもうたまらない。オリンは一幕で死んでしまうので、二幕ではもう出番がないのかと思ってたら、別の役を幾つもやってたー(笑)。
 
オードリーⅡは大きな人形で、中に役者さんが入って動かしてるわけですが、一幕が終わって休憩に入るときに、どっこらしょっという感じに立ち上がってお客さんに休憩を告げる姿が可愛かったです。ぺこりとお辞儀もしてました。声をあてていたのは、深沢敦さん。歌上手い! 一番最後のナンバーで、オードリーⅡの胴体からぽんっと顔が出てきてびっくりしましたよ(笑)。劇中では雑誌の編集長の奥さん役もやってましたね。白のタイトスカート姿で(笑)。

神奈川公演はこの日一日限りで、つまり初日にして楽日。おかげで、カーテンコールはかなりサービスしていただきました。何度か全員で出てきて挨拶した後、相葉くん一人でもう一回出てきてくれて。新納さんも呼んで(「お客さんが『新納さんも呼べ』って顔してたんで、気を遣ってみました」「俺に気を遣えよ、この衣裳暑いんだから!」というやり取りが面白かったです)、二人で結構長い間喋ってました。これから北海道公演があるので食べ物が楽しみだとか、新納さんがイクラが嫌いだという話だとか。スタッフから「もういい加減やめにしてくれ」の合図があるまで、ずーっと(笑)。

曲も良く、キャストも歌の上手な方が多くて(特に、三人のガールズの歌唱力は素晴らしかったです!)、とてもよくできたコメディミュージカルでした。B級ホラー好きとしては、なんならオードリーⅡに喰われるシーンで血飛沫とか飛んでくれてもよかったんですが、お客様の中には小さいお子様もいらっしゃったようなので、無理なのでしょうねえ…(『スウィーニー・トッド』なんかは結構血が出てましたけど)。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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