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ばっちり続編だったとは。

2012 - 05/27 [Sun] - 23:14

というわけで観てまいりました。『シダの群れ 純情巡礼編』。シアターコクーンにて。
堤真一さん主演、というのに惹かれたというのもありますが、2年前にやった『シダの群れ』を観ていたからでもあります。あのときは、阿部サダヲさん目当てでした。前作は照明の使い方がものすごく綺麗で、窓の外で夕陽から夜へと自然に変化していく空の色や、静かに降りしきる雪の美しさが、今でも印象残っています。
しかし何しろ2年前。その上、すっきりきっぱり明快痛快とは程遠い曲者すぎるストーリー。さすがに細部までは覚えてませんよ! なんかやたらと阿部さんが掃除してたのは覚えてますけど! 
なのに、まさかここまでばっちり続編だったとは…。
というわけで、感想です。例によってネタバレいたしますよ。

ヤクザものでございます。任侠劇です。前作で色々あった志波崎組は、今は壊滅状態のようです。一方、前作で志波崎組と抗争を繰り広げていた増陸組の方は割とお元気な様子。ここの下っ端が、飲み屋で矢縞組というもう一つのヤクザさん達のことをけなしたのがきっかけで、下っ端同士が大ゲンカ。その際、神尾という矢縞組のチンピラが、増陸組の組長の息子に殺されてしまいました。神尾と仲が良かったチンピラの泊は、復讐のためにいきなり増陸組の組長のタマをとりに行ってしまいます。無謀です。当然ながら失敗し、泊は逃走。組同士の全面抗争を招きかねないこの事態を収拾すべく、矢縞組は泊を始末しようとします。
その役目を買って出たのが、若頭補佐の坂本。が、坂本の妹と泊は恋仲。泊も坂本を兄貴と呼んで慕っている。坂本は泊を殺すのではなく、父親のように慕っていた志波崎組の幹部水野に預けます。自分の組を裏切るこの坂本の行為に、増陸の組長の女であるヤスコの思惑がからみ、ゆっくりと様々なものが崩壊していく…という感じのお話でしょうか。

ほら。あらすじ書くだけでもすごく大変。難しいお話なんですよ…前作観てない方には、何が何やらの部分も多かったのではないでしょうか。私も休憩時間に公演プログラム買って読んで、どうにかお話がつながった感じでした。ていうか、前作で阿部サダヲさんが演じてた森本、現在行方不明って…私、てっきり死んでると思ってたんですが。そして、同じく死んだと思ってた水野が生きてるとは。

『シダの群れ』シリーズは、岩松了さんの作・演出。岩松さんといえば、私にとってはテレビドラマ「時効警察」の課長さんのイメージが強いです。でもこれは、あのすっとぼけた課長さんが作ったとはとても思えない、ハードで難解な任侠劇。しかもたぶん、今回の作品って、三部作の真ん中とかそんな感じ。すっきりしない、「え?…ここで終わり?」という感じの終わり方で、ちょっとばかり置いてけぼり感がありました。色々かっこいいんですが、理解するのは難しく、感情移入も難しい。
前作も難しい作品ではあったんですが、それでももう少しわかりやすかったような気がするんです。「えっ!?」と思うようなラストではありましたが、それでもそうなるべくしてなったように思わせるものがあって。が、今回は…うーん、前回よりさらに難しかった。前回は宿題をもらって帰って色々考えさせられたんですが、今回は宿題自体よくわからなかったかもしれません。

堤真一さんが演じたのは、チンピラ泊を殺さず隠す方を選んだ若頭補佐の坂本。堤さんは、いつ見ても素晴らしい。生の舞台で拝見するのは新感線の『蜻蛉峠』に続いて2回目です。この人は本当に、テレビでも映画でも舞台でも、演じる役によって印象ががらりと変わりますね。冴えない魚屋のオヤジをやれば本当にそんな人にしか見えず、スケベオヤジをやれば本当にスケベに見え、自動車工場やってる昭和のオヤジからSPの係長と、かっこいい人からかっこよくない人まで見事にこなせる名優。今回のヤクザさんは、かなりかっこよかったです。張りのあるお声がまた素敵で。しかし坂本、優秀な人のはずなのに、詰めが甘いというか、どーしてそこでそうしてしまうの…というか。まあでも、ある意味とても人間らしい人だったのかもしれません。
そんな坂本を翻弄する女ヤスコを演じていたのは、松雪泰子さん。美しかったです。ヤスコ、そういえば前作で名前だけやたら出てきてましたね。愛する男の復讐に燃えるヤスコは、どこか壊れた女。その壊れた感じがよく出てて、印象的な役でした。
事の発端を引き起こした困ったチンピラ泊を演じてたのは、小池徹平くん。今回が初舞台だそうで、若干台詞に聞きづらいところがあった気が。しかし可愛いなあ…顔小さいなあ…二階席からだと、ちょーっとお顔小さすぎたかなあ…。でも、泊という役は、「兄貴」と慕う相手を常に求めてるような感じがあって、それが小池くんのひたむきな感じによく合っていたような気がします。
そして、泊を坂本から預かる水野を演じていたのが、風間杜夫さん。前作もそうだったんですが、実は一番印象に残る人でした。テレビでよくお見かけする方ではありますが、正直に言いますと、前作の「シダの群れ」を見るまではそれほど注目してなかったのです。「ああ、Xファイルのモルダーの吹き替えしてる人だな」というくらいで…ごめんなさい。大変失礼な人間でした、私。もう、舞台の上の風間さんときたら、とんでもなく素敵な方で!しかも色気がある。ヤクザの幹部にふさわしい貫禄。泊が信頼し、看護婦のヨシエが惚れるのもわかる魅力と包容力。なんというか、常に目が行くのです。堤さんファンの私が、堤さんよりも目を向けてしまう。素晴らしい役者さんだな、と思います。おじさまと呼んでお慕いしたい。三谷幸喜の『国民の映画』にも出ていらっしゃいましたね。あのときも素敵でした。

しかし今作で、水野が刺されてしまいまして…もう出ないのかな、風間さん。いやでも、前回も水野は刺されてて「ああ水野はきっと助からないんだろうなあ」と思ってたのに、ばっちり生きてたし…もしかしたら…いやいや、前回は足で、今回は腹だから無理かな…。
芝居のラストで、水野を愛してた看護婦のヨシエが、実に晴れやかな顔で「これから教会に行くの」と言ったのがすごく気になります。水野の死を知ってたら、あんな風にはしてられないと思うんですよね…もしかしたら水野は生きてるのかな、と思ってしまいます。ああでも、教会で水野のお葬式があるんだったらどうしよう。ヨシエも壊れてたらどうしよう。うーん、難しい。うーん、わからない。うーん、愛してるわ水野。

難しい難しいと言いつつ、でもたぶん、また新しく『シダの群れ』が作られたらチケットとっちゃうんですよ! だって、そしたら今回のお話が理解できるかもしれないから! もしかしたら水野がまた出てるかもしれないし!

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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