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幻蝶。

2012 - 04/03 [Tue] - 22:25

今日はすごい嵐でしたねー。おかげで会社から「早く帰れ」命令が出て、電車止まる前に帰ってこられました。
というわけで、小話も書き進めつつ、先日観に行った舞台「幻蝶」の感想など書いてみたり。

インフルエンザのせいで泣く泣く「海盗セブン」のチケットを無駄にしてしまったんですが(あああ三浦春馬君が見たかったあああ…)、「幻蝶」はどうにかゾンビ歩きで観に行ってまいりました。シアタークリエ。
例によってネタバレいたしますので、これからご覧になる方はスルーしていただいた方がいいかと思われます。

幻蝶。幻の蝶。実在するかもわからない、十数年前に一度だけ写真に撮られた白いギフチョウ。これは、そんな蝶を探す二人の男の物語。
一人は、内野聖陽さん演じる戸塚保。捕獲の名人の蝶マニアで、豪胆で、人たらしな駄目オヤジ。もう一人は、田中圭くん演じる内海真一。ずっと一人で蝶の飼育ばかりしていた引きこもりの蝶オタク。二人はシロギフを探すために、山の中の小屋で共同生活を送っている。でも、何しろ性格が違いすぎて、二人はろくに会話も噛み合わない。
けれど、そんな二人の関係に、ちょっとずつ他者が入り込んでくることで、何かが少しずつ変わっていく。それは、戸塚と表面上は仲良しのように見えて実は戸塚を蔑み嫌っている虫ブローカーであったり、彼女自身がまるで蝶のようにひらひらと可愛く儚いストリッパーの女の子であったり、現実に根差して姿勢正しく生きてきたはずのOLであったり、借金取立ての男だったりするわけですが、彼らとの関わりが、主に真一に変化をもたらしていきます。
そして、やがて明らかになっていく、戸塚がシロギフに執着する理由。真一がシロギフに焦がれる理由。男二人ははたして幻の蝶に出会えるのか…というお話。

脚本が、「キサラギ」や「ALWAYS 三丁目の夕日」や「ゴンゾウ」の古沢良太さん。演出が白井晃さん。おまけに内野聖陽さんが出るとなったら、観に行かないわけにはいきません。必死になってチケットとりました。
内野さんが大好きなのです。「ゴンゾウ」で確かすこーんと惚れてしまった覚えがあります。で、舞台を「私生活」「BLACKBIRD」「イリアス」と三本観て、今回が内野さんを生で観る4回目。
内野さんの何が好きかと言われれば、演技も声も勿論大好きなのですが、実は顔がとても好き(笑)。常日頃福山雅治ファンといいつつ、それとは別口で、内野聖陽の顔がなぜかとても好きなのです。そして、この人の、どこか破滅的な匂いがする人たらしな演技が好き。「JIN」の竜馬さんといい、「ゴンゾウ」といい、もー大好き。
…しかし、まさか幕が開いてたいしていかないうちに、内野さんのお尻を拝むことになるとは思ってませんでしたよ(笑)。
コミュニケーション不全な真一との関係を改善するために、戸塚が色々頑張るわけですよ。風呂作ってやったり、新聞の内容を読み上げて会話を誘ったり、ストリップ小屋に行こうって誘ったり。それでも全然駄目なものだから、「よおし、お前の気持ちは分かった!」って、いきなり服を脱ぎだす! パンツ一枚になったかと思ったら、さらにぺろんとお尻丸出しにして、大事な部分にパンツをかろうじて引っかけただけの状態で真一に襲い掛かる!…いやー、何事かと思いました。昨今の人たらしは、「ノリで一回ホモってみる」ものなのでしょうか。いやでもそんなノリだけで嫌がる真一のお尻半分剥かないであげて! 内野さんが素敵な肉体美なのはよくわかったけど、でもやめてあげて!

あ、ちなみに、内野さんのノリノリのポールダンスも見られました。うん、本当にすごい芝居(笑)。

とはいえ、芝居を観てる間は、やっぱり真一の方に感情移入していましたね。引きこもりで、人と話すのが苦手な真一が、虫ブローカーのおじさんに「戸塚に巻き込まれたんだろ? 早く逃げなよ、あんなのと一緒にいちゃ駄目だよ」と言われて、「僕が戸塚さんを誘ったんです、巻き込まれてません!」と激昂するシーン。あのあたりからちょっとずつ真一が変わり始めていって。
田中圭くんも色々なテレビやドラマでよく見かけていた役者さんですが、舞台で観るのは今回が初めてでした。公演プログラムの中で引きこもりを舞台で表現する難しさについて語っていらっしゃいましたが、確かに舞台の表現で引きこもり感を出すのは難しそうですね。でも、田中くん演じる真一の変化は、本当にちょっとずつ、けれどはっとするものがあって、とても素晴らしかったと思います。繊細な演技が上手い役者さんですね。ドラマではいい人も悪い人も両方演じられているのを見ましたが、全体的な空気感が透明な方ですよね。
真一が、時々一人で虚空を見つめるシーンがあるんです。舞台が暗くなって、彼だけにスポットが当たる感じで。そのときの真一の表情がとても良いのです。たぶん、そのときの彼の眼には白いギフチョウが見えてるんじゃないかなという感じで。

彼らに巻き込まれていく人々の一人、七瀬なつみさん演じるOLの安藤も良かった。しっかり地に足をつけて一人きりで厳しく生きてきて、けれど戸塚と出会ったばっかりに、彼の見せる夢にころっと落ちてしまって。彼女が宙を見つめて「あたし、頑張ったのよ!」と叫ぶシーンはなかなか胸に来るものがありました。中別府葵ちゃん演じるストリッパーのユカも、すごく可愛かった。ひらひらふわふわ、本当に蝶々みたいな女の子。彼女がいたからこそ真一の心もほどけていったのです。戸塚、真一、安藤、ユカの四人が蝶をとっているシーンは本当に子供時代に戻ったかのようで、楽しそうで、本当に幸せそうで。

でも、現実は容赦なくて。
借金、商売女をさらったツケ、過去、病気。
夢は、現実の前ではやっぱり無力で。

終盤、意識のない戸塚を背負って山に登って蝶を探そうとする真一を取り巻く蝉の声が、本当に切ない。ギフチョウのシーズンは梅雨前まで。夢を見ていられるのはほんの短い春の間だけ。

だけど、現実がどれだけ容赦なくても、最後の瞬間まで夢を見ていられたらいいのかもしれないな、なんて。
そんなことを思ってしまうラストシーン。

いろいろ考えさせられるお芝居でした。でも、大好きです。DVDにならないかなー…ならないだろうなー…。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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