瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > スポンサー広告> 観劇 > 不信―彼女が嘘をつく理由。  

スポンサーサイト

-- - --/-- [--] - --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

不信―彼女が嘘をつく理由。

2017 - 04/09 [Sun] - 00:24

おお、気づけばもう4月なんですね…3月は、石川禅さんのコンサートに行って幸せをかみしめたり、「アルジャーノンに花束を」を観てやっぱり大泣きしたり、「ラ・ラ・ランド」を観てライアン・ゴスリングのちょっと情けないお顔にノックアウトされたり、「令嬢ジュリー」を観て城田優くんの美しさに浸りつつも物語の展開にどどんと重たい気分になったり、トニー賞コンサートを観に行って日米トップクラスの4人の競演に昇天しそうになったりとイベント盛り沢山でした。禅さんのソロコンサートは、これまでずっとチケット取れなくて、今回やっと行けて本当に幸せでした。禅さんの声大好きなんですよー。そして今回は、踊る禅さん! 色々進行間違えて戸惑う禅さん! 歌いながら感極まってちょっと泣いちゃう禅さん!! 演出かと思ったら本当に転んで座り込んでた禅さん!(笑) 様々堪能させていただきました。ああもう禅さん大好き、愛しくてたまらない!! キャストを一新しての「アルジャーノンに花束を」は、やっぱり浦井健治くんのチャーリィの印象が私の中ではものすごく強いんですけど、でも矢田くんのチャーリィもとても良かった…もう、2幕後半はずっと泣いてました。しかも鞄足元に置いてたもんだからハンカチ取り出せなくて、ずっと手で涙を拭ってた(笑)。「ぽろぽろ」とか「つーっ」とかじゃなくて、もう「ぼろぼろぼろっ!」と勢いよく涙が出て大変でした(笑)。「ラ・ラ・ランド」は、ライアン・ゴスリングのあの情けない笑顔がとても好きで(笑)。ていうか私、この映画好きだなあ…ストーリーはとてもシンプルなんですが、とにかく楽曲がいいし、色鮮やかで画も綺麗だし、主役二人どちらも感情移入しやすくて。ラストの、あの一瞬で時が巻き戻って違う時間軸を思い描くシーンは、絶対ミュージカルじゃないとできない作り。素晴らしかった! 「令嬢ジュリー」は、重たかったですね…ずしん、ときた。お嬢様が堕ちていく様には、そもそもお嬢様は堕ちたくてしょうがなかったのかなと思わせる感じもあったりして。野心はあるのに結局召使の枠を超えられない城田くん演じるジャンも悲しかった。でも、ジャンとお嬢様が関係を持った後の、ジャンとお嬢様の関係性の逆転はとても面白かったですね。ふらふらと舞台に戻ってきたお嬢様の姿と、その後で出てきたジャンの立ち姿だけで、ああもうお嬢様はジャンのものになってしまったんだなと観客にわからせる。そういえば、私の席は舞台の真横にあったので、ジャンがお嬢様をベンチに押し倒して上からのしかかるシーンでは、城田くんの顔は全く見えなかったんですが、かわりに背中やお尻をガン見できるポジションで、「…うむ、これはこれで美味しいアングルじゃのう」と一人胸の中でうなずいていました(笑)。あのシーン、城田くんの背中側から観るとものすごくエロいんですよ! トニー賞コンサートは、帰ってからWOWOWの録画を観直したりもしましたけど、とにかくあれをあの会場で生で聴けたというのが幸せでならない。ケリー・オハラ! マシュー・モリソン! 井上芳雄! 濱田めぐみ! ああ、なんて贅沢!! ケリーさんもマシューさんも本当に素敵でした。ブロードウェイトップクラスの役者さんの舞台上での華ときたらもう…一度でいいから生のミュージカルの舞台でこの2人を観てみたい。井上くんが、「僕、別に司会じゃないんですけど」と言いつつも完璧に司会として全てを回してる様もとても面白かったですね(笑)。説明しながら「キャバレー」の歌を歌ってるのがすごく好きでした。マシューさんと一緒に歌った「シティ・オブ・エンジェルス」も素晴らしかった! いつか井上くんもニューヨークの舞台に出たりするのでしょうか。…それはぜひ観てみたいですね。

なんて、ブログに書けてなかった3月の諸々を総括し終わったところで、エイプリルフールに観に行ったお芝居の感想を。
「不信―彼女が嘘をつく理由」を観てきました。東京芸術劇場シアターイーストにて。三谷幸喜作・演出、段田安則、優香、栗原秀雄、戸田恵子による四人芝居。すごく面白かったんですけど、同時にものすごく怖くって!! もはやホラーですよこれ!! うわああ、観に行って良かったチケット取れて良かったあああ!! 
というわけで感想です。ネタバレしますので、もしこれから観るという方がいらっしゃいましたら、お芝居観終わってからにしてくださいませね。

二組の夫婦のお話です。といっても、この夫婦に名前はありません。少なくとも劇中で一度も名前は出てこない。でも、それでは説明しづらいので、仮に役者さんの名前をあてましょう。一組目の夫婦は、段田さんと優香さん。二組目の夫婦は、栗原さんと戸田さん。この二組のお家は、どうやら同じ庭を共有する形で向かい合っている模様。新しく引っ越してきた段田さんと優香さんは、お隣の栗原さん戸田さんのお家に御挨拶に行きました。が、そこで気になったのは…家の臭い。どこの家にだって特有の臭いがありますが、栗原さんの家の臭いは、息をするのが辛いレベル。どうやらその原因は、お家で飼っている超高齢なヨークシャーテリア「オサムシ」の臭いのよう。でもまあ、お隣ですから、面と向かって指摘することもできません。段田さんも優香さんも無難にお付き合いは続けようとしますが…ある日、優香さんは見てしまいました。隣町のスーパーで、戸田さんが万引きをする様を。いかにも手慣れたその様子に、優香さんは常習犯のにおいを嗅ぎつけます。気になって戸田さんの様子を窺いだす優香さん。戸田さんの行動はエスカレートするばかり。ついに優香さんは段田さんをたきつけ、お隣の旦那さんに進言することにしました。が、栗原さんは妻がそんな行いをしているとは認めず、戸田さんも勿論どれもきちんと買ったものだと言います。栗原さんに進言するときに、優香さんではなく段田さんが目撃したのだとして言ったのもいけませんでした。栗原さんに詳細を問い詰められても段田さんには答えることができず、結局全ては段田さんの妄想ということで片づけることになってしまうのでした。
しかし、後日、段田さんは栗原さんに呼び出され、実は栗原さんが戸田さんの行いを知っていたことを明かされます。栗原さんは口止め料として200万を段田さんに手渡し、「決してこのことは警察には言わないでほしい」と頼みました。段田さんは渡されたお金をしめしめと懐に入れ、一万円のクッキーを買ってきて「お隣の御主人から」と優香さんに渡しました。が、そんなことで優香さんは納得できません。戸田さんとご近所づきあいを続けながら、さらにエスカレートする戸田さんの行動にやきもきするばかり。とうとう戸田さんは優香さんの家からも様々なものを盗むようになっていったのです。ついに優香さんは段田さんと共に警察を訪れ、戸田さんのことを相談することにしました。が、そこで現れたのはなんと栗原さん! 実は栗原さんの御職業は警察官だったのです。
優香さん達が警察に通報してしまったことで栗原さんは警察をやめることになりましたが、栗原さんはそれを妻には隠して、探偵事務所で働くことに。そしてある日、庭を眺めていた優香さんは、お隣の御主人が庭に穴を掘っていることに気づきます。尋ねてみると、「池を作っている」とのこと。随分と大きく深い穴を掘って、コンクリートで底をならすつもりのようです。そのとき、優香さんの胸にひとつの疑惑がわきました。「近頃、お隣の奥さんを見かけないわ。…もしかして、お隣の御主人が殺してあそこに埋めるつもりなのでは?」――そして、この優香さんの疑惑が、やがて恐ろしい事態を招くことになるのです…。

シアターイーストは今回初めて入った劇場だったんですが、本当にミニシアター。この客席数でよくチケット取れたな私! しかも、舞台位置が面白い。劇場の真ん中に舞台が作ってあって、客席がそれを左右から挟み込む形。だから、役者さんの向きによっては表情が見えないんですけど、こっちを向いて芝居した後はちゃんと反対側も向いてくれるので、そんなに不自由は感じなかったですね。私がいたのは前から三列目くらいだったんですが、まあ近いこと近いこと! おかげでものすごく濃密で緊張感にあふれた感じが味わえました。でも、やっぱり三谷さんの舞台なので、ちょいちょい笑えるという。良い舞台でしたねーとても。
優香さんは「酒と涙とジキルとハイド」でも観ましたが、やっぱり芝居上手いですね! 可愛いし、いい女優さん。今回の舞台では、実に無邪気に全てを引っ掻き回してくれました。ていうか、このメンバーに放り込まれて一歩もひかず存分に芝居できる優香さんすごい。全然負けてない。公演パンフレットに、三谷さんが優香さんの役のヒントとして「子供の頃から小さな嘘ばかりついてきて、周りに信じてもらえてない人」と伝えたとありました。「唯一、旦那さんからは信じてもらえてる」と。確かに優香さんの役は、息をするように自然に嘘をつく役。栗原さんと戸田さんの家を訪れたときに、段田さんはわかりやすく臭いに参ってる顔をするんですが、優香さんは全然平気な顔してるんですよね。で、家に帰ってから「あの臭いときたら!」と言う。戸田さんに俳句の手ほどきを受けに行くときも、ネットで拾ってきた有名な俳句をさも自分で考えたかのように披露する。栗原さんに戸田さんの万引き行為を伝えに行くときは、自分ではなく段田さんが見たことにする。それで嘘がばれたら、しれっと段田さんの妄想ということにする。ああこういう人っているよなあ、確かに…そして、優香さんがついていた嘘がもう一つ、芝居半ばでばれるくだり。なぜわざわざ隣町のスーパーに行ったのかと段田さんに尋ねられて、優香さんが「その店がこの辺じゃ一番安いのよ」と答え、なのに後に栗原さんによってその店は高級食材しか扱わないと明かされる。じゃあどうして優香さんはその店を安いといったのか…これ、ずっと気になってたんですが、芝居の最後で嘘の理由が明かされたときの優香さんの表情ときたら! 目を細めて、実に優美で穏やかな笑みを浮かべて…ああ、本当に素晴らしい女優さんだなと思いました。怖っ! 優香さんが可愛いものだから割と普通に受け止めてましたが、そもそも優香さんの役って、ちょっと行動が行きすぎてる部分が多いんですよね。ちょいちょい怖いというか…栗原さん夫婦が家に来たときに、もう遅い時間だから帰らなくちゃと言われて「何で帰っちゃうんですか!」と地団太踏みながら言うところとか、そもそも盗まれたものを確認するためとはいえ平気で他人の家に不法侵入しちゃうところとか。ラストの栗原さんの独白で、優香さんを指して「何なんですか、あの人は…」というのがありましたけど、戸田さんの異常性に隠れて目立たないとはいえ、優香さんもかなり怖い。戸田さんが隣に住んでるのも嫌だけど、この優香さんが隣に住んでるのも私は嫌だ。
段田さんは基本的にコミカルな雰囲気で芝居されてましたね。優香さんと随分年が離れてますけど、優香さんときゃっきゃしてると本当に夫婦みたいに見える(笑)。時に行動が先走りすぎる優香さんを諌めつつ、でも諌めきれずに優香さんの行動に付き合ってしまう段田さん。ああ、こういう旦那さんっているいる(笑)。今回のお芝居の中で、一番三谷さんらしいキャラクターという感じもしましたね。常識人ポジションで、周りのエキセントリックな人々に振り回される役どころ。でも、段田さんもまた優香さんに嘘をつく。200万もらったことを隠して、1万円のクッキーでごまかしてしまう。じゃあ残りの199万はどこへいったのかと思ってたら…うおお、そうきますか! コミカルな演技が多かった分、ラストの静かな怒りを燃やす瞳の怖さがすごかったです。ああ段田さん大好き。素晴らしい役者さん!
栗原秀雄さんは、『真田丸』で叔父上役をされてた方ですね。いい声だなあと思ってたら、劇団四季にいた方だったんですね! 栗原さんの役は、なんというか不幸な役で…奥さんが万引きのスリルを楽しんでしまうクレプトマニアだということにはとっくに気づいていて、彼女が万引きした店には後でこっそり支払いに行ってて。彼女がそんな風に病んでしまったのは自分が忙しくて彼女にかまってやれなかったからだと思っていて、今でも奥さんのことをすごく愛していて。でも、それもも限界だと、心の底では気づいていて。超高齢だった犬のオサムシが死んだ後、戸田さんに向かって「次に飼うなら何がいい?」と訊きつつ、ゆっくりと背後から歩み寄っていくシーン…あれ、私かなり本気で後ろから首を絞めに行ったんだと思ってたんですけど!! しかもその後池作ってるし! 優香さんじゃなくても絶対奥さん殺して埋めちゃったんだと思うって絶対!! で、優香さんが段田さんと共に「実は奥さん殺してそこに埋める気なんでしょ?」と言いに行くと、必ず後ろから戸田さんが「何の騒ぎ?」と現れるという…2連続でこれやられると、かなり脱力しますね(笑)。でも、3度目はなかった。うん、なかったよ…。
戸田さんは本当に、狂気と異常性が迸る役どころで!! 戸田さん上手いので、本当に怖いんですよ…ああこの人壊れてるんだなっていうのが、じわじわわかってくるのが怖い。でも、描き方は三谷さんなのでやっぱりコミカル。まくろの頭を万引きするシーンとかね(笑)。とはいえ、どんどん行動はエスカレートしていくし、俳句教室のくだりで優香さんに馬鹿にされたと気づいた戸田さんが「…ふんっ…ふん…っ」って鼻から息を吐くシーンは容赦なく怖かった! あと、どこだったか、戸田さんが「…ふふっ」ってさもおかしそうに笑うところ…ぞぞっとしました。ホラー映画みたいだった! 戸田さんが段田さんと優香さんをどこまでも追いかけてくるシーンも怖いっちゃ怖いですけど、段田さんと優香さんの逃げ方が面白いので、ここは笑えるシーンでした(笑)。

優香さんに二度も殺人を疑われた栗原さん。二度目のときに優香さんに「一度埋めたと思われた場所に、その後本当に埋めてるとは疑われないんじゃないかと思ったんでしょう?」と言われて、そうか確かにそうだなと思ってしまった栗原さんは、どうやらその後本当に戸田さんを殺して庭に埋めて…でも、その犯行はどうやらばれてしまったよう。だけど、そもそも優香さんがそんな疑いを栗原さんにかけなければ、栗原さんが己の中にあった殺意を現実のものとすることもなかったはず。おそらくは逮捕された後と思われる栗原さんの独白は、ずしりと重たかったですね。そして、「いつかあの夫婦も、他人の些細なひと言によって、人生の岐路に立たされればいい」という言葉は、まさに呪い以外の何物でもなく。その呪いが現実になったかのような、ラストシーンの優香さんと段田さん。「ねえ、君は隣町のスーパーは安いって言ってたけど、あの店、本当は高級食材しか扱ってないよね。どうして君はそんなに頻繁に隣町に行くの?」「ねえあなた、お隣の御主人からもらった200万円のことだけど」――互いがついた嘘が暴かれて、そしてこの夫婦はこの先どうなるのか。…うーん、怖っ。やっぱりこれホラーだな! 大変面白かったです。WOWOWで放送してくれないかなー。

 | ホーム | 

プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。