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ビッグ・フィッシュ!

2017 - 03/01 [Wed] - 01:28

こちらも観てから若干日が経ってしまいましたが、ミュージカル「ビッグ・フィッシュ」を観ました。日生劇場にて。
ティム・バートンが監督した映画「ビッグ・フィッシュ」がもともと大好きなんです。そもそもティム・バートンの映画が好きで、だからこの映画も映画館に観に行って。いつものティム映画より現実パートがかなりしっかりしてるなあとは思いましたが、それでもいつもの通りに色鮮やかで、荒唐無稽で、ファンタジックで、ちょっと悪趣味で、「うんうん、やっぱりティム映画だなあ」という気分で観てたんですが…ラストが! ウィルが父親に向かって物語を語り出した途端、なんかもう自分でもなぜかわからないくらい、泣けてきてしまって。ハンカチが間に合わないくらいの勢いでどばっと涙が出たのを覚えてます。画的にはむしろ明るく楽しいシーンなんですが、もうとにかく泣けて泣けて。だから、その映画がミュージカルになって、日本版が上演になると聞いたときには素直に嬉しかったです。しかも演出が白井晃さん。そしてウィル役が浦井健治くん! これはもう絶対観なくちゃとはりきって、わくわくしながら劇場に行きました。映画とは若干違う部分もありつつ、でもあの世界観を大事にした良作ミュージカルでした。映画と同じ場所でやっぱり泣いてしまいましたよ。
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

エドワード・ブルームは皆の人気者。明るくて楽しくて、周りの人に様々な話を語って聞かせるのが大好き。彼が語るのは、彼自身についての物語。子供時代に魔女に自分の死にざまを見せられたこと、学校一の人気者だったこと、巨人の友達がいたこと、人魚に泳ぎを教わったこと、一目惚れした女の子のことを知るためにサーカスで三年も働いたこと、戦争で将軍の暗殺を阻止したこと、今まで誰も釣り上げられなかった大きな大きな魚を釣ったこと……けれど、息子のウィルには、いつしか彼の話す物語が信じられなくなっていました。だって、エドワードの話すことは、どれもこれもありえない話ばかり。自分自身を主役にして、夢はあるけど突飛すぎる話を語ってるだけ。実際は全然たいしたことのない自分をすごい人間に見せるために嘘を並べているだけなんじゃないだろうか? 父親が本当は一体どんな人間なのか、ウィルにはわからなかったのです。
けれどある日、エドワードががんであることがわかります。助かる見込みはなし、余命いくばくもない父親のもとに身重の妻ジョセフィーヌとともに戻ったウィルは、やがては遺品となるであろう父の持ち物の整理を始め――そして、父がこれまで決して語ることがなかった一つの物語を見つけることになります。それは父が語ってきたどの物語よりも素晴らしい偉業、なのに父がそれを語らなかったことには理由があったのです……――。

エドワード役は川平慈英さん。似合ってましたね! 明るく楽しいエドワード。誰より歌い誰より動くのにずっと元気一杯! 年を取ってからのシーンでは歩き方や立ち方にも気を遣って老人らしく見せていましたが、シーンが若い頃に戻ると頭にかぶせていた白髪をぱっと取ってあっという間に若返る(笑)。まさにはまり役。エドワードが幼い頃のウィルに語る台詞がとても素敵でしたね、「目の前にある葉っぱや石ころの一つ一つに物語がある」って。自分の周りにあるありとあらゆるもののなかに物語を見出して、そしてその物語のヒーローになること。本当に、それこそが現実を生き抜く力なのかもしれません。まあ、自分の父親がエドワードみたいだったら本気で虚言癖を疑うかもしれませんが(笑)、でもエドワードが語る物語はどれも魅力的で夢があって素敵ですよね。映画でも大好きだった、一面の水仙の花の中でのプロポーズシーンなんて、特に! 舞台でもちゃんと一面の水仙を見せてくれて、感動しました。綺麗ですよねえ、本当に。
ウィル役の浦井健治くんは、今回は生真面目な青年役。自由奔放な父親が反面教師となってしまって、とても現実的な思考の持ち主に育ったウィル。冒頭、浦井くんが語りをしながら舞台に上がってきた瞬間にもうちょっとうるっとなったくらいには、私この「ビッグ・フィッシュ」という作品が大好きみたいです。ひさしぶりにミュージカルで浦井くんを観られた嬉しさもあったと思いますけどね。ストレートプレイで観る浦井くんも好きですけど、やっぱりミュージカルは格別! 特に「Stranger」の歌が素敵でした、前に浦井くんのソロコンサートで聴いたときからいい歌だなと思ってましたが、浦井くんの高く澄んだのびやかな歌声にぴったりですね。エドワードの話の中身に「ありえない」とか「それはどうでもいい」とかツッコミをいれるのも楽しかったです。西部劇のシーンは唯一ウィルがエドワードの夢物語の中に登場するところでしたが、ここのシーン大好き! 西部劇の格好で踊る浦井くんも、法廷で黒の法衣着てる浦井くんも素敵すぎる!! やっぱり手脚長くてかっこいいんだよなあ、この人。そして、エドワードが死ぬ間際に、彼の死にざまを物語にしてあげるシーンは、本当にねえ…映画と同じく、曲調は明るく楽しげなんです。でも、とにかく泣ける。「ありえない」のひと言で父親の語る物語を切って捨てていた彼が、父親の語ってきた物語の続きを、結末を、語ってるんです。その物語の中には、今まで父親が語ってきた物語に出てきた全ての人々が出ている。父親の物語の全てを受けて、最高の形で物語を終わらせてあげる。この世にこれ以上素晴らしい物語なんてないと思えるような物語。このシーンで、お医者さんが枕を抱いてくるくると踊るのがすごく好きでした。瀕死のエドワードが急に元気になってむっくり起き上がったことよりも、今にも泣きそうだったウィルが笑顔で語り出したことよりも、あのお医者さんのくるくるダンスがあの場面をとてもファンタジックなものに見せてくれて、「ああこれは物語で、現実ではないんだ」とわかって。全てを語り終えて、「どんな風に終わるかについての話は、これでおしまい」と言ってうつむいたウィルの姿は悲しかったなあ…でも、その後のお葬式のシーンは、とても温かくて優しくて。現実と虚構がいい按配で同居していて、映画の中でも大好きなシーンでした。

エドワードの奥さんのサンドラ役、霧矢大夢さんは、私は初めて観る方。サンドラ役が似合ってましたね、エドワードが何をしてもどーんと受け止めてくれそう。川平さんとの夫婦役が何の違和感もなくて、素敵な奥さんでした。エドワードの語る話に出てくる美人は皆サンドラの顔をしているというくだりも良かったですね(笑)。エドワードとサンドラの出会いのシーンは、映画では時が止まって、空中に飛び散ったまま静止したポップコーンをエドワードがかき分けるとぱらぱらと落ちるのがとても素敵でしたが、舞台ではさすがにそれはなかったですねえ。代わりに、サンドラがサーカスのオーディションを受けにきたことになってて。このシーンのサンドラが歌う「アラバマの子羊」は、ダンスも歌もすごく可愛かったですね! 霧矢さん、えっと、宝塚では男役のトップスターだった方ですよね…? 何なんですかあの可愛らしさ(笑)! エドワードがもうすぐ死ぬということがわかってからの、「屋根はいらない」も素敵な歌でした。
ジョセフィーヌ役の赤根那奈ちゃんは、可愛くて美しい。「1789」や「サンセット大通り」で観たことがありましたが、歌も上手くて大好きな女優さんです。西部劇のシーンでちょっと色っぽい格好になったときに、「おおっ」と思いました(笑)。あのシーンは全般的に皆さん楽しそうで良いですね。
エドワードの幼馴染のドン役の藤井隆さんは、やっぱり面白い人(笑)。「魔女フェチ野郎! 魔女フェチ野郎のコンコンチキ! コンソメスープ!」がお気に入りでした(笑)。このお芝居、脇役の方はちょいちょい色んな役で出てくるので、それを探すのも楽しかったです。暗殺者の藤井さん面白かった!
魔女役のJKimさん、サーカスの団長役のROLLYさんはいい存在感。ジェニー・ヒル役の鈴木蘭々さんは可愛らしかったですね。映画と違って、アシュトンの町とスペクターがごっちゃになってるので、ジェニーがプロムクイーンになっててびっくり(笑)。でもこれは、映画の設定の方が私は好きでした。エドワードがアシュトンの町を救ったことを話さなかった理由が彼女を泣かせたからだというのは素敵でしたけど。
ヤング・ウィル役はWキャストでしたが、私が観た回は鈴木福くんでした。福くん、テレビで見るまんまだ!(笑)。そして、福くんの顔の大きさにびっくり…浦井くんも川平さんも顔小っちゃいですけど、福くんたら2人とそんなに顔の大きさ変わらないのね(笑)。カーテンコールで浦井くんが福くんにすごく優しくしてて、微笑ましかったです。
あと、忘れちゃいけない巨人のカール役、深水元基さん! カールが出てきた瞬間、「わあっ!」て声を上げそうになりました。すごい! 本当に巨人になってた! 大道芸人とかサーカスの人が使う長足使って、本当に三メートルくらいの人になってた!! すごいインパクトでした。でも、舞台版だとカールはとても頭のいい人なんですね。最終的にウォール街で働いてた! 映画に出てきた詩人の彼と役割がかぶってるのかな?

私が観た回は、浦井くんファンクラブのアフタートークイベントの日だったので、終演後は浦井教授のオープンキャンパス(笑)に参加してきました。詳しい内容はファンクラブイベントなので書けませんが、楽しかったです。ゲストをお迎えして、珍しく浦井くんが司会役で。でもなにせ浦井くんなので、「え、まだ話終わってないのでは?」というタイミングで「はい、次!」と話題が切り替わっていくという…いえ、とても面白かったし楽しかったですよ(笑)。だけど浦井くん、司会なのをいいことに、自分のことはほとんど話さなかった気が…いやまあ、いいんですけど。ゲストさんと浦井くんのやりとりが温かくて微笑ましくて、役者さん同士の仲の良さを感じました。そういう関係性があるからこその舞台なんでしょうね。

「ビッグ・フィッシュ」、映画版も舞台版も、どちらもオススメですよ! 再演したらまた観たいです。映画はDVD持ってるからいつでも観られるけど、舞台は公演がない限り観られないですからねー。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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