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ナイスガイ in ニューヨーク!

2017 - 01/09 [Mon] - 18:31

年末に観た「ナイスガイ in ニューヨーク」と「プリシラ」の感想を書けていなかったので、順番に書いていこうかなと思います。2016年もたくさん舞台を観に行くことができました。今年も観ますよー、とりあえず今月は「フランケンシュタイン」と「ロミオ&ジュリエット」と「お気に召すまま」を観るのです! 
舞台を観るときは、どうしても演目よりも役者さんで選んでしまうことが多いです。どんな内容かよくわからないものでも、大好きな役者さんが出てるなら、やっぱり観に行きたい。あとは、この人の作品なら面白いだろうなーと思える演出家や脚本家。三谷幸喜さんの舞台とかは、役者さんよりもまず「三谷さん舞台だ! 観たい!」という気持ちでチケット争奪戦に挑みます。新感線もそうですね。反対に、気になる役者さんが出てても「この演出家さんの作品は、あんまり合わないんだよなあ」と思って、見送ってしまうものもあります。あとはまあ、劇場でたくさんもらえるチラシとかで気になったやつですね。チラシは持って帰って一通り目を通す派です。
それはともかく、「ナイスガイ in ニューヨーク」の感想です。この芝居は、やっぱり井上芳雄くんの名前でまず「観よう」と思った作品です。で、演出が福田監督で共演が間宮祥太朗くんだというのを見て、「これ絶対観たい」となって。福田監督のコメディは、舞台では「タイトル・オブ・ショウ」しか観てないんですが、WOWOWの「トライベッカ」でいい感じに井上くんが料理されてるのを観てましたし、絶対面白いだろうなと。間宮くんは同じく福田監督の「ニーチェ先生」でその美形ぶりと面白さを知って大好きになったので、ぜひ一度生で観たいなーと思ってた人でした。で、実際に観てみたらば、ものすごく面白かったこの舞台!! こういうコメディ大好き、再演してほしいなあ! 
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

舞台は1960年代のアメリカです。父親が経営する会社の営業マンとして働くアランは、仕事そっちのけで女の子とスキーに行ってしまうようなプレイボーイ。ニューヨークで気ままな一人暮らしを送っています。一方、アランとは12歳離れた弟のバディは、真面目で内気な青年で、実家暮らし。そんなバディが、ある日アランのアパートメントにやってきます。厳格な父親に反発し、自由奔放な兄に憧れたバディは、とうとう家出してきたのです。が、アランのアパートメントには、上の階に住む女優の卵のペギーや、アランが唯一本気で恋をしている売れないミュージカル女優のコニー、そしてアランとバディの両親までもが次々やってきて、大混乱!  そのせいでアランが手掛けていた商談は駄目になり、アランはコニーにふられ、アランとバディは父親から勘当されてしまうのでした。
そして三か月後。兄弟の様子は完全に逆転した状態になっていました。真面目で内気だったはずのバディは、以前のアランそのものといった様子で女の子と遊びまくっています。一方、あんなにお洒落でプレイボーイだったはずのアランは、まったく遊ぶ気配もなく、毎日ため息ばかり。そんな2人のもとへ、今度は母親が転がり込んできました。母親の手には大きなスーツケース、なんと母親までもが家出してきたというのです。戸惑う兄弟、そこへ父親が現れ、「工場を売って、夫婦で世界旅行に出るんだ」と発言。はたして家族はどうなるのでしょう!?

舞台になる場所は、アランの部屋だけ。そこに様々な人が出入りして、嘘や行き違いや勘違いが積み重なった結果どんどん話が混乱していく、シチュエーションコメディの典型ですね。原作がニール・サイモンなので、それだけでもう面白さは保証されているようなものですが、それを福田監督が現代の日本人にもわかりやすいように上手いこと仕立て上げてありました。
アラン役の井上芳雄くんは、やっぱり華がありますねー。姿が良い。勿論声も良い。公演パンフのグラビアがそれはもうかっこよくて、パンフ買ってよかったと心底思いましたよ! このお芝居はミュージカルではないのですが、何曲か歌唱部分があるという作り。なので、コメディなのに井上くんの歌も聴けるというお得感が素晴らしい。途中、コニーが精肉業界の人々向けのミュージカルで豚肉の役をやったというくだりで、豚肉の歌を歌うシーンがあるんです。「ブヒブヒ♪」って。「豚だから全身食べられるよ、でも食べるときにはよく焼いてね(豚肉だからね!)」というような内容の、まあとにかく馬鹿馬鹿しい感じの歌なんです。コニーが歌うと痛々しいくらいお馬鹿な歌なのに、これを井上芳雄が歌うと、それはもう素晴らしい歌になるというのがものすごく笑えて! 一流ミュージカル俳優がちょっと本気出して歌うと、どんな歌でも一流に聴こえるんですね! 歌い出しは「ブヒブヒ♪」なのに!!(笑) 歌い出した瞬間、全身から発せられる「一流ミュージカル俳優オーラ」がすごい。空気が変わるんですよ!
歌以外の芝居部分でも、アラン役は井上くんによく似合ってましたね。自由奔放なプレイボーイを軽やかにお洒落に演じてて。御本人も、舞台を楽しんでる感じがありました。特に、冒頭のペギーとのからみのシーンは明らかに楽しんでたと思います、絶対色々わざとやってた!(笑) 

バディ役の間宮祥太朗くんは、出てきた瞬間、一瞬誰かわからなかった(笑)。何しろ私の中の間宮くんは「ニーチェ先生」の顔をしてるわけですよ。「ニーチェ先生」のときに、なんて美形なんだろう、そしてなんていい声をしてるんだろう、と惚れ惚れしたもので。なのに今回のバディ役ときたら、ほっぺた赤く塗って、ダサダサな髪型と服装で、喋り方も情けなくて「兄さあ~ん~無理だよ~う~」って! 福田監督、間宮くんに何やらせてんだ!(笑) こんなに美形なのに、美形とわからないこの役作り(笑)。しかも、歌まで歌わせて! アランがいきなり歌い出したときに「え? 何で歌うの? しかも英語? ああ、ここニューヨークだからね」とバディがツッコミの立場で合いの手をいれてたので、そのままのスタンスでいくのかと思いきや、2番からはバディにバトンタッチ! ああ、やっぱりお得感満載の舞台ですね(笑)。
というか、間宮くんがここまで面白い俳優さんだったとは思いませんでしたよ! アランがバディをハリウッドのお偉いさんに仕立ててペギーを騙そうとするシーンのバディ、ものすごく面白かった!! 二幕でプレイボーイと化したバディの変貌っぷりも、絶妙にうざくて笑い死にそうになりました。うん、大好き(笑)。テレビドラマとかでは絶対こんな間宮くんは観られないはず(いや、福田監督作品ならテレビでもありえるかもしれませんが)。舞台の何がいいって、普段映画やドラマではまず観られなさそうな役で役者さんが観られることですよね。
あ、あと、私が観た回、バディが時を超えた回でした(笑)。父親がいかに厳しいかを語るシーンで、「僕の電話は盗み聞きしてるし」と言うところを、「携帯は盗み聞きしてるし」と間宮くんが言ってしまいまして。舞台は1960年代なので、携帯電話ないから!! すかさず井上くんがフォローついでに色々突っ込んでました。ここで時を超えてしまったので、後の方の台詞で「ベッカム」とかも出てきたのかな? それともベッカムは毎回あったのでしょうか。舞台上のハプニングは、役者さんにはどきどきな出来事でしょうが、観客からすると実に美味しい(笑)。面白かったです。 

コニー役の吉岡里帆ちゃんは、とにかく可愛かったです。「ブヒブヒ♪」もそうですが、なんかもう全部の芝居が体当たりな感じで、それがまた本当に可愛くて。女の子と遊びまくりのアランが唯一本気なのがこういうタイプの女の子というのが、すごく腑に落ちました。家に帰ってから里帆ちゃんの出てるCM見て、「あ、コニーだ!」と思ってしまいましたよ(笑)。開演前や休憩時間中のアナウンスも里帆ちゃんが担当してましたね。
アランとバディの母親ミセス・ベーカー役の石野真子さんは、テレビでよくお見かけする方ですが、生で観たの初めて! 面白かったです! 今時間ないって言ってるのにひたすらマイペースにスローモーに話し続けるシーンが、母親あるある的な感じでしたね(笑)。アランの部屋で留守番することになって、各方面からかかってくる電話を受け続けるシーンもものすごく笑えました。覚えられないからメモをとりたいんだけど、メモ用紙も鉛筆も見つからなくて、そのうちに全然違うことを始めちゃって、はたと電話がつながったままに気づくとか。何本も電話がかかってくるものだからすっかりわけがわからなくなって電話恐怖症っぽくなるところとかも、石野さんがやるととてもキュートでした。

とはいえ、このお芝居、ある意味ペギーとミスター・ベーカーのインパクトが核爆弾並みと言いますか(笑)。なんかもうね、この2人が色々すごすぎて、あらためて頭の中で舞台の内容を振り返ると「アランかっこよかったな」とか「バディ面白かった」とかいう感想が吹っ飛んで、「ペギー面白すぎた!」とか「ミスター・ベーカー、あれもう卑怯なくらい面白い!」とかいう感想にすり替わっちゃうんですよ! 大好きこの2人!!
まずはペギー役、愛原実花ちゃんから。「ラ・カージュ・オ・フォール」のアンヌ役で観たことがあったので、その印象が残ってたんですが…冒頭からその印象ががらがらと崩れ去りました(笑)。アランに抱き上げられてくるくる回った後にスカートを押さえて「見えちゃう! ミエチャウ! ミエチャウ!!」と奇声を上げた辺りからおや?とは思ったのですが、その後もアランが(たぶんわざと)なみなみと注いできたシャンペンを一気飲みするシーンで何度となく逆流させたり、炭酸一気飲みしたせいで声がとんでもないことになったりと、何だろうこの面白さは!! もともとお馬鹿キャラなペギーですが、とにかくもうはじけてた! ハリウッドのお偉いさんのふりをしたバディに迫るシーンも、一挙手一投足が面白すぎて!! あの瞬間、舞台の他のキャスト全てを食ってましたよペギー! 恐ろしい子!(笑)
そして、アランとバディの父親ミスター・ベーカー役の高橋克実さん…この方が滅茶苦茶芝居上手くて面白いのは勿論百も承知なんですが、なんと今回カツラキャラだったんですよ(笑)。なんか某トランプ氏みたいなカツラで…しかもそれが、しょっちゅう脱げる(笑)。脱げる度にかぶり直すんですが、急いでかぶるので、後ろ前だったり激しくずれてたり。途中、バディが「本来の業務を全然まっとうできてないあのカツラが不憫でならない。全然隠せてない」と漏らすのに、激しく同意(笑)。高橋さん、そんなカツラずれた状態のまま、厳格な父親の芝居を続けないで!(笑) もう本当に、目を閉じてこの舞台を振り返ると、まず出てくるのが高橋さんのずれたカツラって、どういうことでしょう(笑)。笑い死ぬかと思いました!

ああやっぱり、コメディって良いですね。本当に、再演してもらいたい舞台。もしくはWOWOWででも流してほしい。大好きです。観に行って良かった!

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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