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大抵の喜劇は勘違いと思い込みから生まれるようで。

2015 - 12/08 [Tue] - 01:24

天王洲銀河劇場で上演中の「とりあえず、お父さん」を観てきました。イギリスの喜劇作家、アラン・エイクボーンが1965年に発表した傑作四人芝居。演じるは、藤原竜也くん、本仮屋ユイカちゃん、浅野ゆう子さん、柄本明さん。面白かったです! ちょっと三谷幸喜さんの「君となら」を思い出しました。やっぱり私、コメディ好きだなあ。
というわけで、感想です。ネタバレしますよー。

グレッグとジニィは恋人同士。出会ってまだ一か月だけど、グレッグはジニィと結婚したいと思っています。でも、ジニィの様子はちょっと変。何でそんなに部屋の中が花束だらけなの? どうして山のようなチョコレートの箱を隠してるの? 一体誰にもらったのと尋ねても、ジニィは適当にごまかすばかり。しかも、ジニィのベッドの下には、ジニィのものでもグレッグのものでもないLサイズのスリッパが! どうもジニィには、随分と年上の彼氏がいたみたい。しかもその元カレは、今でもジニィに未練たらたらみたい? グレッグを置いて週末は両親のもとで過ごすというジニィ。グレッグは、ジニィが「両親の住所よ」と言ったメモを頼りに、こっそりジニィの後を追います。
メモの住所には、フィリップとシーラの熟年夫婦が住む家がありました。2人はどうやらお互いの不貞を疑っている様子。と、そこへグレッグが登場! どうやら、どこかの時点でジニィを追い抜き、先に到着してしまったようです。「ここでジニィと会う予定なんです! 僕、ジニィと結婚したくて!」「…え? ここで会うの? ジニィと? …え、お昼もここで食べるの? ああ、あなた達結婚するの、そう、よかったわねえ…」グレッグと夫婦の会話はどうにも噛み合いませんが、舞い上がっているグレッグはそれに一向に気づきません。実は、そもそもフィリップたち夫婦にはジニィなんて娘はいないのです! さらにフィリップが、グレッグが結婚したがっている相手はシーラなのだと思い込みだしたものだからもう大変! はたしてジニィとフィリップ夫妻との関係は、そしてグレッグとジニィの関係はどうなってしまうのでしょう……――?

大抵の喜劇は、勘違いと思い込みで作られてるようで(笑)。あとはそれを、どれだけテンポよく回し、どれだけ絶妙な間を挟んで動かしていくかですね! 会話劇なので、役者さんや演出がまずいと途端につまらなくなるんだろうなあと。その点、今回の舞台はとても「当たり」でした。皆さん、台詞回しが上手い! しかも「間」の天才である柄本さんがいるという(笑)。
藤原竜也くん演じるグレッグ、すごく好き! 前向きで、でもちょっと悪戯好きな感じで、想像力が逞しく、そしてやたらとスリッパにこだわる男(笑)。藤原くん、ちょっとした間とか動き方が上手くて、本当に面白いんですよね。冒頭、ベッドの中でおそらく裸だったグレッグが、シーツをインド人風に巻き付けて「非暴力」と呟きながらガンジーの真似をするシーンがあるんですが、これ本当に面白かった(笑)。そして、藤原くんの体が私はとても好き(笑)。腕が長くて、筋肉がきれいなんですよねー。
本仮屋ユイカちゃんのジニィは、とにかく可愛かったです。可愛く愛らしく、そして謎多き女(笑)。ジニィが嘘つかなければ、こんな事態にはならなかったんですよこの話。ジニィは下手をしたら「何だこの女」的に見えてしまうかもしれないキャラですが、ユイカちゃんがとにかく可愛いので、なんかもう全部許しちゃいたい気分になりました(笑)。青いお衣裳が大変お似合いでしたね。事態がこじれればこじれるほどに、唯一最初から真実を知っているジニィが「あーもー、どーしよー!」という顔になっていくのがとても面白かったです。しかしジニィ、一体過去に何人男がいたんでしょう…。
フィリップ役の柄本明さんは、やっぱり素晴らしい役者さん! 映画でドラマで何度もお見かけしてきましたが、そういえば舞台で観るのは今回が初めてだったかもしれません。最初グレッグがシーラと結婚したがっているのだと誤解したフィリップが、延々グレッグと噛み合わない会話を続けるシーンがとにかく面白かったです! というかもう、グレッグと話したくなくて逃げ出したフィリップを無言でグレッグが追い回すだけで無茶苦茶笑える! 「ポインター」が言えずに「ポポポポポポーポーポー!」とどもる様も、興奮してがーっと台詞をがなる様子も、なんかもうすべてがおかしい(笑)。そして、実はジニィの元カレがフィリップなのだと判明した後の、ジニィとフィリップの共同戦線(?)も大変笑えました。なんとかこの場をしのごうと、グレッグの前ではフィリップをジニィのお父さんということにし、シーラの前ではジニィは単なるフィリップの部下ということにして(いや、こっちは事実でもあるんですが)、端から噛み合うわけもない会話を無理矢理つないでいこうとする2人。こういうところも、やっぱり三谷さんの「君となら」を思い出してしまいます。まあ、こっちの作品の方がずっと古いんですが。
そして、浅野ゆう子さん演じるシーラ。白とベージュのお衣裳が美しかった! 泰然自若、独特のペースで生きる美魔女でしたね(笑)。事態がよりこんがらがったのは、シーラが全てのことをマイペースに受け止めてしまったせいもあるかもしれません。そのくせ、自分に関することで違うことはきっぱり「違う」という女性。「ジニィは私の娘じゃない」とシーラが言うのを、ジニィが愛人の娘だから冷たくするのだとグレッグが勘違いして怒るシーンがおかしかったですね。それにしてもシーラ、背が高いせいか、低めの声でゆっくり喋るせいか、とにかく迫力がすごかった!(笑) 夫のフィリップを完全に尻に敷いている感じがしました。何かあるとその迫力でフィリップを圧倒し、フィリップが完全にたじたじになるのがすごーく面白かったです(笑)。

最終的にシーラにはフィリップとジニィの関係がばれ、何も知らぬのはグレッグばかり。いいんです、彼はジニィと結婚できさえすればハッピーなんだから! そして、ジニィの元カレはフィリップだけじゃなかったことにも気づくシーラ。いつだって、女の方がそういうことには聡いのです。男達は知らない方が良いのです、そんなこと。とりあえず、グレッグとジニィはお幸せに。そして、フィリップとシーラもきっと上手いことやっていくのでしょう。とても上質なコメディでした。観に行って良かったです。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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