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ウーマン・イン・ブラック。

2015 - 08/19 [Wed] - 02:16

暑いですね夏ですね! 夏といえばホラー!! テレビでは怪奇心霊映像特番が増えるこのシーズン、ホラー好きにはある意味嬉しい時期でもあります。お化け屋敷もできますしね。
というわけで、舞台もホラーです。観てきました、パルコ劇場で上演中の「ウーマン・イン・ブラック」! 私、この演目大好きなんです。以前、2003年と2008年に上演されたときに、やっぱりパルコ劇場で観てます。そのときは斉藤晴彦さんと上川隆也さんが演じていらっしゃいましたね。イギリスのゴシックホラーで、じわじわくる恐怖演出がたまらない! しかも役者さん二人で展開される濃密な舞台空間がとても良くて、また再演されないかなとずっと待っていたのです。今回キャストが新しくなりまして、上川さんが演じてた役を岡田将生くんが、斉藤さんが演じてた役を勝村政信さんが! 2人ともとても好きな役者さんなので、キャスト見たときは滅茶苦茶嬉しかったー!!
以下、感想です。ネタバレしますので、これから観るという方は読まない方がよいですよ!

舞台となるのは小さな劇場。登場人物は2人。中年の弁護士キップスと、彼が雇った若い俳優。キップスは青年時代に、家族にも話せないほど恐ろしい体験をしていました。今でもそのせいで悪夢にうなされ、ことあるごとに思い出しては苦しむほどの恐怖の記憶。キップスはそれを祓うために、『語る』という手段を思いつきました。あのときのことを家族や身内の前で打ち明けることで、それを悪魔祓いに変えよう。そして長年の呪縛から解き放たれよう。キップスはそのための手助けとして、若い俳優を雇ったのでした。
が、キップスが書いてきた体験記は語れば5時間以上になるほど長く、キップスに語りの才能はありません。いくら身内だろうと、観客は観客です。5時間ものひどい芝居を観客に見せるのは忍びない。俳優はキップスに提案します。キップスの体験記をそのまま語るのではなく、俳優が『若き日のキップス』を演じ、キップスは『当時のキップスが出会った人々』を演じるという形にしてはどうか。細々とした場面の説明は、音響効果で一発解決できるからと。こうして、2人芝居の稽古が始まりました。『かつてキップスに起きた出来事の再現』という芝居が。
若き日のキップスは、勤め先の弁護士事務所の顧客だったドラブロウ夫人の葬儀とその遺産整理のため、北イングランドにあるクリシン・ギフォードへ赴きました。ドラブロウ夫人の屋敷であるイール・マーシュ・ハウスは、潮が引いたときにしか通れない道の先にあります。クリシン・ギフォードの人々は、キップスがドラブロウ夫人の名前を出す度に、何かに怯えるような顔をします。どうにも様子のおかしな町と人々、でもその理由をキップスはまだ知りませんでした。そしてキップスは、夫人の葬儀の最中に、黒衣の女性の姿を目にするのです…――。

俳優(そういえばこの役、名前はないのですね)役の岡田将生くんは、本当にお顔が綺麗ですねえ! そして背が高い! 客席通路を役者さんが通ることが結構あったので、私のすぐ側を岡田くんが通っていきましたよ! しかも今回前から三列目で観てたので、近い! 舞台のぎりぎり端に役者さんが立つことが多い芝居だったので、本当に近い! 近くで観ても本当に綺麗!! たぶん最初に彼を認識したのは「花ざかりの君たちへ」だと思うのですが、その後色んな映画やドラマで見る度にどんどん芝居が上手くなっていって、しかもいつ見てもお肌が綺麗で素晴らしい美形ぶりで、大好きなんです。舞台は今回で二度目だそうで、初舞台の「皆既食」は観損ねてしまったのですが、今回生で観られて本当に良かったー。パルコ劇場なのでマイク使わずの生声ですよ! クリスマスの晩餐のシーンを彼が朗読してみせたときに、「ああ、舞台の語り方がちゃんとできる人なんだな」と思いました。言葉と声音だけで観客をひきつけられるかどうかが舞台の勝負どころの一つだと思うのですよ。あそこでぐぐっと引き込まれたので、ああもうこの芝居は大丈夫だなと、安心して観られました(普段舞台をメインに活動されてない方を舞台で観るときは、やっぱりちょっと「大丈夫かな?」と構えてしまうのです。映像と舞台の見せ方の違いってすごく大きいですから)。
そして、キップス役の勝村政信さん! この人も本当に大好き! ちょっとした動きや台詞の言い方がいちいち面白い(笑)。最初に舞台に登場して、ぼそぼそぼそっとキップスが朗読を始めたときの面白さといったら(笑)。芝居の稽古が進むにつれ、だんだんキップスが芝居を楽しみ始める様が見ていて愉快でした。メガネのシーンと仔犬のシーンは反則ですよ!(笑)勝村さんと岡田くんのコンビがまたとてもいい感じで、インタビューを読むと実際とても仲良しみたいで素敵ですね。勝村さんは『若き日のキップスが出会った人々』を次々演じるので役が6つもあるんですが、その演じ分けもすごい(笑)。全部違ってて、でも全部どこかが勝村さんな感じで。役になっているわけではないナレーション的な台詞もあるんですが、やっぱり勝村さんの声で朗々と語られるとついつい勝村さんに目をやってしまいますね。素晴らしい存在感。「彼は幽霊を信じていないのです!」の語りのシーン、中央で芝居してる岡田くんを見よう見ようと思いつつ、どうしても勝村さんに目を向けてしまいました。結果、勝村さんと岡田くんの間を忙しく行き来する私の視線(笑)。

小さな劇場の中で、わずかな舞台装置と簡単な衣装、そして抜群の音響効果を頼りに再現されていくキップスの忌まわしい記憶。海霧に覆われた道の向こうに突如現れる幻、闇を切り裂く女の悲鳴。何度も現れる黒衣の女。誰もいないはずの屋敷の中で響く、がたたん、がたたん、という謎の音。このがたたんって音の正体が無茶苦茶怖いんですよ。全ての明かりが消えてしまって、若き日のキップスが懐中電灯を頼りに屋敷の中を歩くシーンの恐怖ったらないですよね。しかも開かずの間だったはずの部屋の扉が開いちゃったりするんですからね。中を覗いたら子供部屋で、誰もいないのに揺り椅子が滅茶苦茶揺れてて。舞台でホラーっていいなあとしみじみ思う、この演出(笑)。あと、この舞台の最大の仕掛けである黒衣の女! 以前、初めてこの舞台を観たときに、てっきり二人芝居だと思って観に行ったら舞台上にもう1人いて、心底びっくりした覚えがありますよ。またこの黒衣の女がものすごく不吉なビジュアルで…しかも旧演出だと、この女、舞台上で滅茶苦茶揺り椅子揺らした後に客席通路を駆けて去っていくというのがあったものだから、通路際に座ってた私の足を女のドレスの裾がこすっていって、ぞわあああっと本気で鳥肌が立ったものですよ。今回はその演出はなかったんですが、それでもやっぱり黒衣の女怖い! 何でいるのこの人っていう気分になります。そして、ラストのラストに訪れるあの絶望の瞬間。いいなあ、好きだなあこの舞台。
私がこの演目を大好きな理由はもう一つありまして、それは観客の想像力を味方につけて展開していく「舞台の魔法」があるから。最近の舞台だと、映像を使ったりしていい感じに視覚的に見せてくれたりもしますけど、この演目は、俳優とキップスが小さな劇場で音響効果を頼りに芝居を作っていく様をそのままを見せる作り。荷馬車は大きなバスケットで、上に役者が乗って揺れてるだけ。列車の乗り換えは、座る位置をずらしていくだけ。馬車が流砂に飲み込まれる様は音響効果と語りだけでやる。でも、ただそれだけで、全てが観客の脳裏に描かれる。これぞ舞台の魔法。仔犬の姿はそこにはないけど、呼びかけと視線の動きだけでそこに本当に犬がいるように見える。舞台って本来こういうものだったんじゃないかなと思うのです。ないものをあるように思わせる、あると思ってないものを観る、とても正しい作り手と観客の関係ですよね。勿論、役者さんも演出も舞台効果も上手くないと成立しないし、観客も頑張って観てないといけない。でもそうやって作り出される舞台空間って、本当に素晴らしいものだと思うのです。

あ、あと、公演プログラムに載ってた三宅隆太さんが語る「ホラー作品の魅力」が、個人的に「その通り!」な感じでした(笑)。ホラーの基本は《おもてなし》。そうですよ、その通りですよ三宅さん! ホラーほどサービス精神にあふれたものもないというのが私の持論なのですが、賛同してくれる人は滅多にいない…そもそも周りにあまりホラー好きがいない…なぜだ、なぜなんだ!!
これだけ暑い夏なのですから、涼を求めて舞台ホラーはいかがでしょう。というわけで、オススメですよー。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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