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ボンベイドリームス!

2015 - 02/05 [Thu] - 02:14

東京国際フォーラムで上演中の「ボンベイドリームス」を観てきました。映画「スラムドッグ$ミリオネア」などの作曲を手掛けたA.R.ラフマーン氏が作曲し、あのアンドリュー・ロイド=ウェーバー氏がプロデュースしたというマサラ・ミュージカルの日本版でございます。インドです。とってもインドな雰囲気です。でもこれ、私すごく好きかも…今まであまりインド映画とかインド音楽って触れる機会がなくて、インド料理屋でインド映画流してたら観るくらいの感じだったんですけど。でも実際観てみたら、インド音楽独特のなかなかに中毒性の高そうなうねるようなリズムはとても耳心地が良くて、舞台もきらびやかで賑やかで楽しくて、でも後半はがっつりシリアスで。最初「マサラ・ミュージカル」と聞いて想像したのが「ムトゥ 踊るマハラジャ」だったので、後半のシリアス展開は意外なくらいでしたよ。
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

舞台はムンバイ。かつてボンベイと呼ばれた街。ボリウッド・ムービーと呼ばれるインド映画が数多く生み出される、映画の街です。アカーシュはスラム街に暮らす貧しい青年ですが、映画が大好き。いつか映画スターになることを夢見ていた彼は、友人のスウィーティーに連れられて、憧れの大女優ラニが審査員を務める美人コンテストに紛れ込みます。そこで出会ったのが、コンテストの演出を手掛けていたプリヤ。アカーシュはプリヤに一目惚れしてしまいました。プリヤの父は有名な映画監督。とあることがきっかけでアカーシュを目にとめたプリヤの父は、アカーシュを次の映画のヒーロー役に抜擢します。最初は映画の現場に戸惑うアカーシュですが、プリヤの演技指導のおかげで演技にも目覚め、映画スターの階段をどんどん上りつめていきます。けれど、映画スターとしての彼に、「スラム街の出身」という経歴はふさわしくないものでした。「あなたはスラム街の出身という噂がありますが、本当ですか? あそこで手を振っているスラムの人達は友達?」と尋ねられ、とっさにアカーシュが答えたのは「そんなわけないでしょう!」という言葉。スラムにはもう帰れない。でも、彼の家だったはずのスラムは今、本当に消え去ろうとしていました。プリヤの婚約者である弁護士のヴィクラムが、暗黒街のボスと組んでスラムの撤去作業を進めているのです。きらびやかなボリウッド・ムービーの世界、けれど現実は映画ほどきらびやかでも楽しくも幸せでもないのでした…――。

確か、最初にこのミュージカルの宣伝チラシが出たときには、「物語の舞台はボリウッド=インド映画界。歌って踊って、映画撮って、悪と対決もすれば、恋もする、何でもありのマサラ・ミュージカル!」というアオリ文句がついてたんですよね。うん、確かに! チラシに書いてあったこと全部やってた! で、やっぱりどうしても「ムトゥ」のイメージがあったので、無敵のヒーローが最後はばーんと敵を爽快に倒して終わるんだろうなと思ってたんですが…全然違いましたよ、思いのほか人も死んだし、悪と対決したけど悪を倒してないんですよこの舞台!(ちなみに「ムトゥ」はボリウッドムービーではないのだそうです。ボリウッドはヒンディー語の映画で、「ムトゥ」はタミル語の映画なのだとか。公演プログラムに書いてあった豆知識です)どっちかというと、後半はどうにもならない人生の辛さ悲しさを描いている感じが強いので、思いのほか泣けました。歌もいいんですよね、本当に。
アカーシュ役の浦井健治くんは、この役にぴったりな感じでした! のびやかな歌声や華のある存在感は、一瞬でスターになってしまうアカーシュにはこれ以上ないほどふさわしいですし、前半のマイペースぶりや皆から「バカ」と呼ばれる様もなんだかとっても似合ってました(笑)。プリヤまでバカって言ってましたよアカーシュのこと! 「あのバカがテレビカメラの前で歌って踊り出したら意外とカメラ映りがよくて私も乗ってきちゃって…」って、ものすごくナチュラルにアカーシュのことバカ呼ばわりした! もじゃもじゃくるくるなウィッグ(かつらと呼んではいけないそうです)も似合ってましたね。インド人に見えるかと言われたら「うーん…?」という感じではあるんですが、可愛かったです。衣装チェンジも多かったですね、さすがインド、きらっきら! そして歌! 綺麗な高音からぐっと響く低音まで、本当に素敵でした。ダンスもすごく多かったですね、浦井くんの勢いのよすぎるターンが私は大好きですよ(笑)。
スターになって、でもそれによって帰る家をなくして、切ない恋もして、映画界の裏に渦巻く闇も見てしまって。冒頭でスラムにいるときから2幕へと、徐々に変化していくアカーシュ。この変化の感じは、演出が「アルジャーノンに花束を」の荻田さんだからか、すごく胸にきましたね。2幕のどこだったか、一人で芝居や踊りの練習をしながら、何度も辛そうな、切なそうな表情を見せるアカーシュがひどく孤独で可哀想で。そしてスラムに帰ろうと決意する歌「ザ・ジャーニー・ホーム」が本当に切なくて。これ、CD欲しいなあ…いい歌でした。

プリヤ役のすみれさんは、本当に美しくてスタイルが良くて、そして背が高い! 浦井くんとすみれさんの組み合わせというと、どうしても「二都物語」を思い出してしまいますね。再演してくれないかなあ「二都物語」! すみれさんも、プリヤ役がすごく似合ってましたね。アカーシュが一目惚れするのがよくわかる。若干台詞は聞き取りづらいところもなくはなかったですけど、歌はとても素晴らしかったです。「二都~」のときより確実に上手くなってる! 安易なハッピーエンドの映画ばかり撮ってる父に反発して、現実的で重い映画を作ろうとするプリヤ。婚約者がありながらもアカーシュに惹かれ、でもインド社会に絶対的に根差すカーストには逆らえない。そして最終的にはボリウッド映画界の闇に様々なものを潰されていった彼女が、この物語の後にどうなったのかが気になりますね。ラストのプリヤの、途方に暮れながらも「この先を生きていくための意志」を瞳の奥に宿した表情がとても印象的でした。
ヴィクラム役の加藤和樹くんも、本当に何度見てもかっこいい人ですね! 白のスーツに白の帽子、白のコート、正義の弁護士のような格好で出てきておいて実は…というおいしい役でした。「レディ・ベス」のときも思いましたけど、ロミジュリの頃から比べるとどんどん芝居も歌も上手くなっていってますよね。二幕冒頭の「チャイヤ・チャイヤ」の歌がすごーく良かったんですよ! 英語版だとこの歌は全部ヒンディー語で歌われるらしいんですが、今回は日本語にヒンディー語を一部織り交ぜる感じで、これがまたインドのリズム感に上手いこと日本語がのせてあって素晴らしい! そしてそれを結構な高音で見事に歌い上げた加藤くんすごい! これも本当にCD欲しい! あと、いつも「踊れない」宣言をしていた加藤くんのダンスが今回見られたのはもしやとても貴重だったのかもしれません。ヴィクラムは悪役ではあるんですが、切ない役でもありましたね。人を殺してしまってからの彼の追い詰められ感はものすごかった! 目が完全にイッちゃってた!
大女優ラニ役の朝海ひかるさんは、美しい上に可愛い人ですね。とってもキュートでチャーミング! ちょっとした動きや表情がすごく可愛くて面白いんです(笑)。インド的な踊りも見事にこなしてましたね、「シャカラカ・ベイビー」素敵だった! あと、「チャイヤ・チャイヤ」のときに素晴らしいお腹と腰を堪能させていただきました(笑)。細い! 綺麗! ラニは割と終始コミカル担当なんですが、似合ってましたねー。JKがお金まいたときに真っ先に取りに行く様とかすごかった(笑)。あと朝海さん、カーテンコールの仕切りが完璧でした(笑)。
そしてこの方も女優枠でいいと思うんですが、スウィーティー役の川久保拓司くん! 人生初のオカマ役だったそうですが、似合ってましたね(笑)。腹筋割れてましたけど美しいオカマさん(ヒジュラという、インドにおける「第三の性」なんですが)でした。アカーシュの代わりにスポットライト浴びて「やだ、なんかあったかい」と呟くシーンが好きです(笑)。スウィーティーもすごく面白くて、でもとても切なくて可哀想な役でしたね。

「マサラ・ミュージカルって何?」とか「インドもの? わーっと歌って踊って安易にハッピーになって終わりでしょ?」と思ってる方は、ぜひこの舞台を観に行くと良いと思います。インドのごった煮感やエネルギッシュな感じもありつつ、切なさや悲しさや優しさを描いた素晴らしいミュージカル。楽曲もいいですし、梅棒さんが作ったというダンスもとっても素敵。観に行って本当に良かったです。週末にもう一度観に行きます。
そして、終演後は、浦井くんのトークイベントに参加してきました。別名「浦井大学」。浦井教授による、「ボンベイドリームス」をより楽しむためのお講座です。今回は浦井教授に加えて、素晴らしい名誉教授も登場! より深く物語を理解できるようにと、演出のあれこれやインドに関する知識が語られました。名誉教授のお話が詳しすぎて、浦井教授が何回かフリーズする場面もありました(笑)。
詳しいことはネタばれ厳禁なので書けないのですが、これは書いていいよと言われたので、一つだけ。ちょうどこの日、読売演劇大賞の最優秀賞の発表がありまして、浦井くんが最優秀男優賞を受賞されました!! カーテンコールでもお祝いしたんですが、このトークイベントでも皆でお祝いしてきました。スタッフさんのはからいで、浦井くんには内緒で音だけクラッカーが配られまして、皆で「ぱあん!」と鳴らしたら浦井くんがびっくりしてましたよ(笑)。「ええっ、何今の!? すごい音、耳痛い! ていうか火薬臭い(笑)!」と浦井くんが言うくらい、劇場中がものすごい火薬臭に包まれました(笑)。でも本当に、最優秀賞ってすごいですよね。 「アルジャーノンに花束を」も「星ノ数ホド」もどちらも大好きな舞台だったので、なおさら嬉しい。心からおめでとうございますの言葉を贈ります。そういえば、カーテンコールでお祝いしたときに「今のお気持ちを」と振られた浦井くんがちょっとしたスピーチをしたんですが、そのとき「タイトル・オブ・ショウ」のときに声帯出血したことにも触れてまして。お医者さんに「もう歌えなくなるよ」って言われて、それでも色々な人達に支えられて乗り越えて、その後にやった2作で賞をもらえたことがすごく嬉しいというようなことをお話されてました。…うわあそっかあ、あのときもう歌えなくなるよって言われてたんだあ…それは辛かっただろうなあ…。そして今後の目標として、「演劇界にいつか恩返しをしたい」と言ってスピーチを締めくくってましたが、恩返しって具体的に何をするおつもりなのでしょう(笑)。ファンとしては、彼が様々な舞台で次々と違う顔を見せてくれて、歌にも芝居にもどんどん磨きがかかっていく様を見ているだけで幸せな気分になれるので、この先もずっとお芝居を続けてくれれば何も言うことはないんですけどね。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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