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モーツァルト!

2014 - 12/11 [Thu] - 01:07

帝国劇場で上演中のミュージカル「モーツァルト!」を観てきました。曲は知ってたんですけど、舞台で観るのは実は初めてでした。これすごい…本当に、素晴らしいミュージカル。曲も役者も何もかも、なんて力に満ちた作品! 奇跡みたい! ちなみに今回観たキャストは、ヴォルフガング・モーツァルト:井上芳雄、コンスタンツェ:平野綾、男爵夫人:春野寿美礼。Wキャストなので、別バージョンでまた後日観に行きます。
というわけで、感想です。ネタバレしますよー目一杯。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。神が遣わした奇跡の天才音楽家。35歳でこの世を去った彼を描いた物語です。幼い頃、聴衆の前で目隠しして楽器演奏を行った彼のことを、誰もが「奇跡の子」と呼びました。「なんて素晴らしい天才だろう」と。けれど父であるレオポルトは思います、「この子は今は天才だ、でもこの先はただの人になるかもしれない」――だから、そうならないように教え守り育てようと。歳月が流れ、ヴォルフガングは青年に。その傍らには、ヴォルフガングにしか見えない彼の才能の化身アマデが、幼い頃の彼自身の姿をとって常に寄り添い、ひたすらに作曲を続けていました。ヴォルフガングの才能に目をつけたコロレド大司教は、彼を己の手の中にいつまでも囲っておこうとしますが、自由奔放なヴォルフガングは貴族の下で曲を作ることが嫌でしょうがありませんでした。だってこの魂は、貴族なんかよりもずっと尊いはずだから。とうとうヴォルフガングは大司教に向かって暴言を吐き、ザルツブルグを出て母親と共にパリへ向かいます。が、結局彼はパリで金を使い果たし、その上、母親まで死なせてしまいます。失意の中、ザルツブルグに戻ってきた彼を、街の連中は笑いものにしました。ろくな仕事もない彼を、しかしヴァルトシュテッテン男爵夫人はウィーンに誘います。 反対するレオポルトを振り切り、ヴォルフガングはウィーンへ。以前パリで出会ったコンスタンツェと再会したヴォルフガングは、ありのままの自分を愛してくれるコンスタンツェと恋に落ち、結婚。大きな仕事をこなし、幾つも曲を作って名声を得ますが、友人達との遊びやコンスタンツェの親がたかりにくるせいで、借金は増えるばかり。曲作りに没頭するあまり、コンスタンツェとの距離も徐々に開いていき、ザルツブルクに残してきたレオポルトと姉のナンネールとも疎遠になってしまいます。やがて届いたレオポルトの訃報。彼が神様の次に愛していた父親はもういない。自分と父の間を引き裂いたアマデをどれだけ憎んだところで、彼は作曲を続けるしかありません。そんな中、奇妙な依頼が舞い込みます。それは、「レクイエム」を作曲しろという、謎の人物からの依頼でした…――。

これ、「アマデウス」とはストーリーが全然違うのですね。サリエリも出てこないので、悪役はコロレド大司教が1人で引き受けてました。
井上芳雄くん演じるヴォルフガングが、それはもう本当に魅力的で! 子供のまま大人になってしまった人。ひたすらに自由を求めて、でも自分自身の才能の化身であるアマデからは決して離れられなくて。たぶんコンスタンツェのこともとても愛してたはずだし、家族のことだって大好きだったのに、曲作りに夢中になると全てを忘れてしまう。そんな自分がどれだけ嫌でも、どれだけアマデを憎んでも、結局彼には音楽しかない。ヴォルフガングがアマデの手を振り払う瞬間が何度かあるんですが、そのときの彼の表情がとてもいいんです。ぐいぐいとアマデに手を引っ張られても、迷うように、後ろ髪をひかれるように、愛する人を振り返る。そして、そんな彼をじっと見つめ、やがて「もういい」と言わんばかりに一人で作曲を始めるアマデ。ついにはヴォルフガングの腕に羽ペンを突き立て、流れる血で楽譜を綴りだす無慈悲な分身。自由を求めてるのに自分自身からは逃げられないヴォルフガングも切なかったですが、誰も彼もが離れていく中で結局最後まで一緒にいたのはアマデだけだと思うとそれも切ない。「レクイエム」がどうしてもできあがらなくて、自分で自分の腕にペンを突き立て、命を削って作曲を続けたヴォルフガング。彼がアマデと共に死んでいくシーンは本当に壮絶で、まばたきするのが惜しいくらいでした。
井上くんの演技がまた大変素晴らしくて。過去の公演観てないので比較はできないんですが、もう「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」がそのままそこにいる感じ! 色々駄目な人なんですよ、お金の管理できないし、お調子者だし、ありとあらゆる意味で馬鹿だし。でも天才で、純粋で、繊細で、心の底から愛しい人。男爵夫人にウィーンに誘われたとき、お父さんの椅子の横にしゃがみこんでじっとお父さんを見上げる顔がもう本当に小さな子供みたいで、どうしようかと思いました。そして、なんて輝かしい声! 「僕こそ音楽」を歌う声がきらきらした光で満ちあふれてて、かなり最初の方のナンバーなのにその時点でものすごく感動してしまいましたよ。「影を逃れて」はStarSのコンサートで3人で歌うバージョンを聴き慣れていたせいか、井上くん+コーラスの大迫力に圧倒されました。これは曲自体が持つ力もすごいですよね。井上くんがヴォルフガングを演じるのは今回が最後だということですが、もったいない! もっともっと彼のヴォルフガングを観たいと思いました。いいじゃないですか40歳になろうが45歳になろうが、そこは舞台マジックですよ! 石川禅さんなんてレミゼのマリウスを四十代で演じたというじゃないですか!
そういえば、彼が死んだ直後にコンスタンツェの母親が現れてお金を奪っていく様になんだかものすごいショックを受けました。 セシリア、それは人としてやっちゃいかん!! げきぴあの吉野圭吾さんのインタビューで、「周りの皆が熱狂してヴォルフガングから何もかもを奪っていって、最後には魂も血も何もかも皆についばまれてすっからかんになって死んでいく」というようなことをお話されてて、すごく納得したんですが、そういえばセシリアだけは彼の音楽ではなくお金をひたすらに持っていく人でしたね。いやでもセシリア、あれはいかんて!!

コンスタンツェ役の平野綾ちゃんは、やっぱり可愛かった! そしてやっぱり素晴らしい歌声! ヴォルフガングが作曲にのめり込んで、彼女のことを見てくれなくなって、耐え切れずに毎晩一人で踊りに行く彼女。切ない! それでもたぶんヴォルフガングのことを愛してたんだろうとは思うんですが、「レクイエム」作曲の頃になると完全に姿が消えてしまうのが辛い…芸術家の妻にはなってはいかんと思いました、はい。彼女が顔中口にするようにして声を張り上げて歌う「ダンスはやめられない」のリプライズが、なんかものすごく胸にきましたよ。声量あるのですごい迫力。
ナンネール役の花總まりさんは、やっぱりとても美しい方で。ヴォルフガングの優しい姉。でも彼女が大人になってから、ザルツブルグにいる家族を顧みないヴォルフガングに恨み言のように歌う様は辛かった…「私の人生を返して」って…結婚生活も辛そうだったしなあ。でも、ナンネールが小さなアマデ人形を持ってきた瞬間にちらっと「タイトル・オブ・ショウ」の浦井くんが脳裏をよぎってどうしようかと思いました(笑)。違う違うそれは今思い出しちゃいかん! と必死に振り払ってナンネールに意識を集中しましたが、危なかった…泣けるシーンなのにうっかり笑うところだったじゃないですか!
吉野圭吾さん演じるシカネーダーの輝きっぷりもすごかったですね! 吉野さん大好き! 登場と同時に観客の目を残らずさらっていく! すごかったです。手の中にステッキが一瞬で現れたり、そのステッキを蹴りあげてくるくる回したり、もうとにかくかっこいい! ヴォルフガングとのやり取りの中で、彼がヴォルフガングの悪友であり、仕事仲間であり、理解者であるという感じがすごく出てて、さすが初演からずっとシングルキャストでやってるだけあるなあと。「チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに」のシーンも良いですが、「モーツァルト! モーツァルト!」でたくさんの人の中で彼が歌いながら手を伸ばしてくるところがとても好き。あんなにたくさん人がいて、同じ動きをしているのに、すごく目立つんです。必ず目が行く。

レオポルト役の市村正親さんは、お元気になられたことが何よりもまず嬉しかったです。ヴォルフガングに厳しい父として接してるんですが、時々ぱーんとヴォルフガングの頭をはたくようなときに市村さんらしさが出るというか、思わずくすっと笑いたくなるような親しみやすさが見えました。己の手の中から遠く離れたところへ行って戻らない息子を案じ、様々な後悔に苛まれ、自分は一度は天才を育てたのだという矜持に無理矢理すがろうとし、そして最後には息子から離れたまま死んでしまうレオポルト。この親子の関係性もいいですよね。どうしようもなく辛いですけど。お互いのことがとても好きなのに、どうしてもわかりあえない。レオポルトが歌う「私ほどお前を愛するものはいない」がすごく良かった…この役も、市村さん以外考えられないですよね。レオポルトの死を知ったヴォルフガングが錯乱するシーンは本当に辛かった…「ああ、この人壊れた」とはっきり思いましたもの。
そして、コロレド大司教役、山口祐一郎さん! 絶好調でしたね! 赤と金のお衣裳、マントばさあっ! ものすごい存在感、そして素晴らしい声の伸び。悪役楽しそうでしたねえ…でも、なんだかちょっと可愛いんですよね。馬車に乗って揺れてるシーンも可愛かったですが、その途中でいきなり始まるトイレのシーンがなんというかもう…(笑)。なぜそんな切なげな瞳で、そんな切なげな声で「アルコー…」と御付きの伯爵を呼ぶんだこの人!! いや、尿意をこらえてるだけなんですけど!! そして無事用を足し終わり、衝立をばーんとはねのける様が無闇にかっこいい(笑)。コロレド大司教はヴォルフガングの才能に目をつけ、彼の力を自分の権力の中に取り込もうとするわけですが、ある意味この人が一番ヴォルフガングの音楽の才能を理解していたような気がします。「音楽の魔力に神の摂理が敗北するはずがない」と何度も歌いながら、やがて敗北を認めざるを得なくなるという。ヴォルフガングがもう少しだけ世渡りが上手ければ、大司教とも上手いことやれたんじゃないかなあと…そしたら最強のバックアップを得て、もっと違う道を歩んだんじゃないかなと…まあ、あそこで大司教と決裂しちゃうからこその天才ヴォルフガング・モーツァルトだったんだろうとは思うんですが。

役者にも歌にも圧倒される素晴らしいミュージカルでした。Wキャストの山崎育三郎くんが演じるヴォルフガングは、どんな感じなのでしょう。きっと井上くんとは全然違うヴォルフガングになっているはず。今週末に観に行きます。とてもとても楽しみです。 

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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