瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > スポンサー広告> 観劇 > よく見えました(笑)。  

スポンサーサイト

-- - --/-- [--] - --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

よく見えました(笑)。

2014 - 06/09 [Mon] - 01:52

オリンピックコンサートの翌日は、再び世田谷パブリック・シアターで『ビッグ・フェラー』を観てきました。
先日の浦井教授のお講座のおかげでだいぶ理解も深まり、前回よりもさらに作品世界に浸れた気がいたしました。しかも今回は、前から四列目のお席! ほぼセンターに近い位置! 様々なものがそれはもうよーく見えましたよー。それにしても浦井くんはオリンピックコンサートの日にも昼公演ではこのマイケルを演じてたのかと思うと、本当にすごいなあと…体力も精神力も相当必要ですよね。すごすぎる。
というわけで、2回めの感想です。ネタバレしますよー。

いやもう本当に、コステロ役の内野聖陽さんがかっこいい! アイルランドの民族衣装をお召しになってても、スーツ姿でも、帽子にコートでも、とにかく漂う大物感と男の色気!! イタリアマフィアの役とかやってほしい!! 魅力的だけど恐ろしさも漂わせ、ぎらぎらしたオーラを放ちつつも妙に親しみのわく気安さも持ち、もうとにかく目を離せない。離させない。本当にすごい役者さん。コステロがしばしば語る自分の娘についての話が、いちいち胸にくる…IRAの兵士達の物語なんですが、普通の人間としての彼らの心情もまた丁寧に描いてるものだから、なんかこう観ていて本当に辛い…決して非情な人間ではない彼らが、一方ではテロ活動を行い、武器を調達し、時には自ら手を下して誰かを殺したり。彼らには彼らなりの理想があって、どうしても許せないことや守りたいことがあって、だからそういう活動をしてるわけなんですが。でも何しろ組織は大きく、組織が行う全てがその理想の通りなわけはなく。何の罪もない人々が犠牲になったエニスキレンの爆破事件の辺りから、コステロやルエリには変化が見え始めるんですよね。フランク・マカードルに向かってコステロが「あのエニスキレンの爆破にどんな道徳的な意義があった?」と尋ねるところが、この芝居の中で私が一番好きなシーンなんですが、このときのコステロの表情がすごくいいんですよ…強い意志と怒りが、瞳の中にだけある。このシーンは、ルエリも良いですね。どうしてもこのシーンはフランクとコステロにばかり注目してしまうんですが、ふっとルエリに目を向けてみたら、彼もすごくいい表情をしてるんです。ずっとお調子者として振る舞い続けていた彼が、コステロのこの台詞のときには、心底組織のやっていることに嫌気がさしているとでもいうような、そんな顔をしてるんですよ。だからこそ、このシーンの直後にFBIとルエリが話してるシーンがくるんでしょうけれど。ちなみにこのときのマイケルの表情は角度の関係でよく見えなかったんですが、どんな顔でマイケルはフランクとコステロを見ていたのでしょう…組織から離れていくコステロやルエリとは違い、マイケルは密告者になることもなくずっとIRA兵士でい続けるわけで。うーん、気になる。見たかった、このときのマイケルの顔。

前列の席ということで、例のマイケルとエリザベスのラブシーンもがっつり見てきましたよ、まばたきすら忘れて(笑)。やっぱり白ブリで白靴下な格好はどうよと思いつつも、腹筋その他が見られればもういいやと全てを許している自分がいました(笑)。まあそれにしても浦井くん、本当にスネ毛がない…つるーんとした脚ですね! そしてその格好でクッションを抱えると、見ようによっては全裸のように見えてきてなんだか大変(笑)。でも、何しろこのシーンの直後にやってくるのがエリザベスの「メキシコ行き」(「メキシコに行く」というのは隠語的なもので、つまりは処刑されるということなのです)なわけで…話の流れをわかった状態で観ると、そんなラブシーンもなんだかはらはらしてしまうという。コステロがやってきて「メキシコ行き」をエリザベスに告げた瞬間のマイケルの「ミスター駄目だ、駄目だ駄目だ駄目ー!!」という絶叫がすごく胸に痛かった…そしてマイケルの号泣シーン。慰めてくれるルエリがやっぱりすごくいいですね。
フランクにマイケルが拷問されるシーンは、間近で見るとものすごく怖かったです。コステロが助けに入って、頭に鞄かぶせられてるマイケルの手に触れた瞬間、マイケルがびくっとするのが滅茶苦茶リアルでした。コステロがマイケルの手を叩いてそっと握ってあげると、それが誰の手なのかに気づいてマイケルが落ち着くという、あの流れが好きです。コステロが鞄取ってあげて、血まみれのマイケルの顔がぐらりと揺れるところでは、鼻血のあまりのリアルさにちょっとびっくり。鞄の中に仕掛けてあるんでしょうけど、マイケルが鼻から息吐き出したら血がぴっと空中に飛びましたよ! リアルすぎて怖い!
スピーチで自分が密告者であることを告白してしまったコステロをマイケルが撃つシーンでは、コステロの優しさとマイケルの辛そうな顔がたまらなかった…「さっきは言われる前に鍵閉めた」「銃の点検か」のやりとりがねえ、もう本当に! あのときの内野さんと浦井くんの表情が! たまらなく辛くて泣ける。ああでもこのシーンは、バスルームに入った2人を待つトム・ビリーもいいんですよね。閉めた扉の脇で銃声を待ってる姿が。
でもあの、一ついいでしょうかマイケル…あなた、自らコステロを撃ち殺した場所であるバスルームを、その後毎日普通に使い続けていらっしゃったんですか…? いや怖いよ! よく考えたらそれが一番怖いよ!!

そしてラストシーン。これ、やっぱりラストの場面が一番すごいのかもしれない…あの静謐な雰囲気。いや、かかってるラジオはものすごく賑やかなんですけど、でもそれが余計にあのアパートの静かさを際立たせてるというか。前回観たときは気づかなかったんですけど、マイケル、ラジオ聴きながらちらっと笑ったりしてるんですね。それがまたなんかこう…もう数えきれないほどこんな朝を一人で迎えて過ごしてきたんだなこの男はと。彼のほかには誰もいない、かつてはあんなに賑やかだったはずのアパートの中で。淡々と、彼にとっての日常を繰り返してきたんだろうなと。またこのシーン、朝陽の表現がものすごく綺麗なんですよね…窓から差し込む白い光。綺麗で寂しくて、胸がぎゅうっとなります。そんなシーンを一人で引き受けている浦井健治という役者のすごさも思い知らされました。
このお芝居は、役柄として目を引くのはやっぱりコステロやルエリだと思うんですけど、でも軸はマイケルにある気がします。マイケルを軸に、その周りに様々な人が立ち現れ、やがて消えていき、最後にはマイケル自身も消えてしまうという。本当にすごいお芝居でした。観に行って良かったです。

 | ホーム | 

プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。