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素敵ゾンビコメディ。

2013 - 05/19 [Sun] - 02:04

お星さまな王子様達の話題からいきなりホラー方面に舵を切ってしまって申し訳ありません(笑)。StarSの特典DVDは相変わらずリピートしてるのですが、それも観つつHuluで『ウォーキングデッド』シーズン3も観ているゾンビ好きですすみませんごめんなさい。

下北沢本多劇場にて、『バブー・オブ・ザ・ベイビー ~UNDEAD OR UNALIVE~』というお芝居を観てまいりました。よくテレビや映画でも見かける池田鉄洋さんの作・演出。出演は、池田さんご自身のほかに、田中圭くん、福士誠治くん、大口兼悟くん、田口浩正さん。ドタバタ素敵ゾンビコメディでございました。大丈夫、全然怖い話じゃなかったですよ(笑)。
というわけで、感想です。例によってネタバレしますよー。

歌舞伎町で突如ゾンビが大量発生した「新宿歌舞伎町ゾンビ事件」から23年。フリーライターの三橋が、その事件の最中に現場の雑居ビルで産まれた青年に話を聞きに行くところから、お話は始まります。ゾンビに囲まれたそのビルに当時入居していたのは、イタリア料理店(1F)、古地図を販売する出版社(3F)、暴力団の事務所(4F)、そしてメイド喫茶(2F)。開店前のイタリア料理店に転がり込んできた臨月の妊婦こそが、彼の母親。今まさに出産のときを迎えようとしている彼女の首筋には、しかし噛み傷が。そう、彼女はすでにゾンビに襲われ、ゾンビになりかかっていたのです。この子を産みたい。けれど、ゾンビになりつつある彼女にはわかっていました。ゾンビになったら、きっと自分はこの子を襲ってしまう。なぜなら、今この歌舞伎町にあふれているゾンビ達には、ある特徴があったから。それは「好きな相手しか襲わない」。「私がこの子を産んだら、私を殺してください」、イタリア料理店の店員達にそう頼む彼女。はたして彼女は無事に子供を産めるのか、そして雑居ビルの各階で様々なドラマを繰り広げている人々ははたしてどうなるのか――…あらすじをざっと書くと、たぶんこんな感じなんですけど。

あれ? あらすじだけ書くと、なんかシリアスっぽい(笑)。
でも違います。先にも書いた通り、これはコメディです。
だって何しろ、臨月のお腹を抱えた女性を演じていたのは、田口浩正さんなのですから!!

23年前の騒動を映したニュース映像が流れ、暗転した舞台に響く荒い息遣い。よく聞くとそれはラマーズ法。だがしかし、野太い(笑)。滅茶苦茶野太い!!
ぱっと舞台が明るくなると、そこは開店前のイタリア料理店。3人の店員と、どー見ても女装したおっさんにしか見えない女性が1人。ガラス窓の外には大量のゾンビがひしめいており、田中圭くん演じるウェイターがフライパン片手に必死になって扉を押さえています。が、福士くん演じる店長は、この異常すぎる状況をどーしても理解したくない。外にいるゾンビもそうだけど、中にいるこのメタボなおっさんのような妊婦さんを女性と認めるのもかなり辛い(笑)。「こんなときこそ理性的になるべきだ!」とあくまで彼なりの日常を続けようとする店長。「開店時間だ、店を開けよう」「駄目ですよ、外にいる人達絶対おかしいですもん!」田中くんが叫びますが、すっかり現実逃避モードの福士くんには、外にいるゾンビ達のうめき声も「おなかがすいたよー、早く開けてよー」に聞こえるようで。「ついにうちも行列のできる店になったんだ!」と扉を開き、ゾンビを一人中に入れてしまいます。この、頑なに己の日常を続けようとする福士くんがとても楽しい(笑)。言葉の喋れないゾンビのうめき声を勝手に解釈して会話を続け、お薦めのメニューを説明し、挙句の果てには言葉が通じないのは外国人だからだろうと決めつけて「Do you like tomato?」と訊き始めたりする。が、そのゾンビはひそかに彼に心を寄せていた二丁目のオカマさんだったらしく、がぶーっと噛まれてしまう福士くん(笑)。「扉開けて扉!」と田中くんが叫び、てっきりゾンビだけ追い出すのかと思いきや、シェフ役の大口くんが福士くんごとゾンビを外に。どーっと詰めかけるゾンビに押されて見えなくなる福士くん。…合掌(笑)。

このお芝居は、雑居ビルの各階で起こる様々なドラマを、すべて同じ役者さん達が演じています。そのため、役者さんは、イタリアンレストランのシーンではウェイターの服や妊婦の服をまとい、出版社のシーンではダンディなスーツやら85歳のおじいちゃんの格好やらに着替え、ヤクザ事務所では皆様ヤクザになり、メイド喫茶ではメイドさんやらオタクのお客さんやらになるという(笑)。田中くんのおじいちゃん姿は面白かったですねー。戦時中は諜報部員として活躍していた切れ者だけど、入れ歯が外れた途端力が抜けてふにゃふにゃになってしまうという。あとはやっぱり、メイド喫茶…メイドの格好をしていたのは池田さんと田中くんと福士くんでしたが、歌って踊ってニコ生中継まで…田中くんも可愛かったですが、福士くんの女装が思いのほか似合っていてびっくり。お顔立ちが端正なので、遠目だと普通に美人に見えてしまいましたよ(笑)。池田さんの女装はメイドさんのほかに出版社にいた女性(保険の外交員?)役もあったのですが、こちらも割と違和感なくて不思議(笑)。田口さんは妊婦のほかに女子高生の汚ギャルもありましたねー。大口くんは女装はなしでしたが、ダンディーでロマンスグレーだけどただの馬鹿だった編集長役が大変面白かったです。

「好きな相手を襲ってしまう」というゾンビの特徴が最大限発揮されていたのが、ヤクザ事務所のシーン。落とし前をつける的なことをしてるから何かと思えば、ヤクザ事務所にいる5人のうち4人が複雑な多角関係で愛し合っていたというオチ(笑)。えーと、田中くんが池田さんと付き合ってて、でも池田さんが福士くんと関係持っちゃって、でも福士くんは組長と恋人同士で…だったかな?(笑)最初にゾンビ化した田中くんががぶーっと池田さんに噛みつくと、池田さんの心に直接伝わる田中くんの気持ち! BGMはゴスペラーズの「ひとり」! 「ごめん、だってお前、最近『好きだ』って言ってくれなかったから、俺、さびしくて! だからついあいつと…」と、ゾンビ化した池田さんが福士くんのもとに走り、がぶーっ。池田さんの想いを直接心に受け取りつつも、ゾンビ化した福士くんは愛する組長のもとに走って、がぶっ。ゾンビ化すると、気持ちがダイレクトに伝わる上に、皆様素直に好きな人を愛そうとするようです。まるで何度もキスを交わすかのように、何度も噛みつきあうゾンビ達。繰り返し流れる「ひとり」(笑)。うん、愛だ。愛の場面だ(笑)。やーもうこの辺のばかばかしさが、とても好きです。そして、一人蚊帳の外だった大口くんにばんばん撃たれて窓の外に転落していくゾンビ達(笑)。

ラストのオチは『ショーン・オブ・ザ・デッド』的な感じで。
一人で何役も演じた役者さん達は、かなり大変だったんじゃないかと思います。衣装替えもたくさんあったし。でも、普段テレビや映画ではまず見られないような彼らの姿が見られてとても楽しかったです。そこが舞台の良いところの一つですよね。テレビや映画はどうしてもその役者さんのイメージが固定されがちですから。まあ間違いなくメイド姿の田中くんや福士くんなんて見られないですよねー…。ていうか、福士くんがここまで面白い人だったとは! 舞台でこの人観るのは初めてでしたが、頑なな店長から草食系男子、愛に生きるヤクザ、裏表激しすぎなメイドさんと、どれも大変良かったです。田中くんも福士くんも、もっともっと舞台で観てみたいなあ。

ひたすら笑って、舞台自体はとても楽しめたのですが…ええと、近くの席にいた二人連れのお客さんが、芝居の最中に喋っててですねー…特に後半はひどかった。ずーっと喋ってて。映画館でも時々いますけど、大変迷惑なのでやめてほしかったなーと…。ここはあなたのお家じゃないの、私はあなたたちのおしゃべりを聞くためにここにいるんじゃないんですよー! 笑うならなんぼでも笑えばいいし、泣くなら泣けばいいと思うんですけど、舞台の最中のお喋りが私、本当に許せなくて。今日はそれだけが非常に残念でしたよー…まったくもう。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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