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めちゃくちゃだあ!

2013 - 03/18 [Mon] - 01:25

なんとか風邪が治ったので、憂さ晴らしにホラー映画を観に映画館へ足を運びました(笑)。「キャビン」という映画で、「マイティ・ソー」で主役やってた筋肉ムキムキな彼が出てたりもするのですが、やー面白かった面白かった。定番通り山奥の小屋にキャンプに出掛けた若者達がお約束通りに化け物に襲われてというB級ホラーの定番ストーリーを、「何でこんなにお約束通りにいくかといいますと、演出家や裏方がいるからです! 機械班に化学班、管理課チームもいるよ!」という運びで進める変化球映画。理想的に展開が進んで拍手喝采する裏方の皆様。思惑通りにお色気担当が脱いでくれたら思わず「ありがとう」と呟く演出家。出番待ちの化け物さん達の「お呼びはまだですか」な様子や、後半のわくわくパーティー状態に手を叩いて笑いそうになる私。そして予想の斜め上を行くオチ。ホラー映画が大丈夫な方はぜひ劇場へどうぞ! 

…いやあの。わかってるんですよ、ホラー好きが世の中にそんなにいないことくらい。

というわけで、ホラー映画の話はこのくらいにしておいて、普通のお芝居の感想を。いいの別に、拗ねてなんかいないもの私。

M&Oplays プロデュース「八犬伝」を観てきました。阿部サダヲさん主演。シアターコクーンにて。激しくネタバレしますので、まだこれから観るという方は絶対この先は読んではいけませんよ!

響き渡る和太鼓生演奏の中、舞台は犬塚信乃役の阿部サダヲさんの「めちゃくちゃだああ~!」という声から始まります。「滅茶苦茶だあ、何もかも滅茶苦茶だあ! 何でこんなに血まみれ!? なにゆえの血まみれ!?」舞台上に作られたお家の中は、畳も壁も屋根も確かに血まみれ。飛び散る血痕。一体何事!? そこへ現れたのが、瀬戸康史くん演じる下男の額蔵。「落ち着いてください。何があったのかは、足跡を見ればわかるかと」よく見れば確かに、血痕の合間には無数の犬の足跡が。どうやら信乃の飼ってる犬の仕業らしいのです。「ええっ、あいつ壁走ったの!? わし、あいつがこーんなに小さい頃から知ってるけど、壁走ってるとこなんて見たことないよ!?」うん、壁にも屋根にも足跡つきすぎだよね…というのはともかく、額蔵によると、信乃の犬が本家の猫を噛み殺したというのです。さらに悪いことに、犬は本家で大切にしている壺まで壊してしまったとのこと。事態を収めるために信乃の父は切腹し、信乃に名刀村雨を託します。この刀を足利成氏に返上しろというのです。が、一人で生きていく自信が全くない信乃は、戻ってきた犬を殺し、己も自害する覚悟。が、犬の腹から光り輝く玉が出てきたところから、信乃の運命は変わります。その玉と信乃の腕にある牡丹の形の痣を見た額蔵が、「自分も同じものを持っている」と言い出したのです。額蔵は、実は自分は犬川荘助という名の武士であると明かし、信乃との間に義兄弟のようなものを感じると言います。信乃と荘助は大義のために旅立ち、行く先々で同じような玉と痣を持つ者達に出会い、やがて自分達が里見家を守るための八犬士であることを知るのです。

八犬伝です。斬り斬られの殺陣満載冒険活劇です。誰もがなんとーなく知っている、馬琴の「南総里見八犬伝」。映画にもなりましたし、八犬伝を下敷きにした作品は世の中にたくさんあります。私自身は八犬伝にさほど思い入れはないんですが、今回は何しろ阿部さん主演。だったら絶対観たい! と頑張ってチケット取りました。大好きなんです阿部サダヲさん。この方の何がすごいって、どんな不自然でおかしい台詞も普通に言えてしまうところ。「舞妓Haaaan!!!」や「泣くもんか」も好きですが、「パコと魔法の絵本」の彼も本当に愛しい。テレビドラマの「離婚同居」も大好きでしたし、「平清盛」の信西も素晴らしかった。
今回の役は、阿部さんのキャラを目一杯意識して作られたものだったようで。というか、この滅茶苦茶ぶりは、もう阿部さんしかできない(笑)。こんなはじけた、こんなでたらめな、こんな可愛い信乃は他で見たことがない(笑)。普通、犬塚信乃といえば、もっとかっこよかったり、リーダーっぽく真面目だったりすると思うんですが。今回の信乃はとにかくおかしい。父親が切腹した後、「一人で生きてく自身が全くない!」と即座に自分も死のうとするとか。策略にはまって偽の村雨を献上しに行き、兵に追われて城の天守閣の屋根に上がった後、ひたすらしゃちほこにしがみついて「どーするー? わし、どーするー!(泣)」と叫んだりとか。意を決して天守閣の瓦に足を下ろし、太陽熱ですっかり熱くなっていた瓦に飛び上がって「熱熱熱っ! 瓦、熱っ!(しゃちほこに再びしがみつき)…あー、しゃちほこ、丁度いいー。しっくりくるー」とか。なのに剣の腕だけはたつのがむしろ不思議なくらいです(笑)。後半なんて村雨の存在がすっかり忘れ去られてたりして、なんかもう本当に滅茶苦茶な感じ。

舞台のノリとしては割と何もかもが軽く、テンポよく進みます。ばったばったと結構な勢いで人が死にますが、それが全く悲しくない。己を何者でもないと思って生きていた信乃が大義のもとに旅立つシーン、仲間を増やしていくシーン、浜路の犠牲のもとに信乃が復活するシーンなども、とにかく軽い。深みとか悲愴感とかそういったものはほとんど感じず、大義も使命も運命もさほどの重みもなくて、途中まではお話よりも阿部さんをはじめとする各キャラを楽しみながら観ていました。だって八犬伝だもの。大体話は知ってるもの。

と思ってたら、お話は思わぬ方向へ急展開。何しろ、毛野が小文吾殺した!! いきなりの血まみれ! なにゆえの血まみれ!? ここから俄然話が面白くなってきました。
毛野役の中村倫也くん、素晴らしい存在感でした。一族を殺され、己の身を守るために女田楽師に身をやつして生きてきた毛野。物心ついた頃にはもう女として育てられていて、それしか彼の人生はなくて。でも女として生きたところで子供が産めるわけでもない。復讐したところで、何が戻ってくるわけでもない。信乃達が現れた頃にはもう彼は人として生きることにこりごりになっていて、だから玉梓のもとで畜生のように生きることを選んでしまう。わーきゃーと賑やかで明るいノリで進んでいたお話が、毛野の本性が現れた途端にあざやかな血の紅が一筋引かれて、全く違うお話に塗り替えられてしまいました。中村くん演じる毛野は本当に妖艶で、場面によっては阿部さんよりも目を引く存在。若いのにいい役者さんだなあ、ちょっとしばらく追いかけてみたいと思いました。

荘助役の瀬戸康史くんもおいしい役でしたね。瀬戸くんは、確か最初に認識したのが「アタシんちの男子」…可愛い顔だなあ、と。でも意外といい筋肉がついてますよね彼(笑)。「グレーテルのかまど」の彼も好きです。
現八役の尾上寛之くんは、佐藤健くんのロミジュリ舞台で、ベンヴォーリオ役だった人ですね。現八はなぜだか初対面から信乃と馬が合わず、呼び捨てにしただけでぶたれたりする(笑)。現八いい奴なのに、何でそんなに嫌なんですか信乃さん!? ひらりひらりと身軽に動く尾上くんの殺陣は、見ていて面白かったです。
道節役の津田寛治さんは、個人的にはもうちょっと見せ場がほしかった…この方も大好きな役者さん。荘助と戦うシーンが見せ場といえば見せ場なのかもしれませんが、もうちょっと…何しろこのシーン、どちらかというと瀬戸くんの方に目が行ってしまっていました(笑)。やられてる側に目が行ってしまいがちなんですよーどうしても。
浜路役の二階堂ふみちゃんは、小さくてとっても可愛かったです。扇を持って舞うシーンは重心が高かったのか動きがしゃきしゃきしてしまってましたが、声も台詞回しもよくて、映画やドラマだけでなく舞台でももっと見てみたいと思いました。今回が初舞台だったそうですが、いい存在感でした。でも、可憐な浜路を演じてるときよりも、玉梓にとりつかれてからの方がはるかに楽しそうに見えてしまったのはなぜなのでしょう(笑)。
法師役の田辺誠一さんも、印象に残る怪演ぶり。ドラマの「11人もいる!」のときもしみじみ思ったのですが、この方は普通の人とかかっこいい人とかを演じてるときよりも、変わった役とか面白い役を演じてるときの方が絶対輝いてるなあと。昔は確か普通にイケメン俳優さんという扱いだった気がするんですが、いつの間にやら路線が変わってきたような。

他にも近藤公園さんとか太賀くんとか前田悟さんとか、いい役者さんがたくさん。「滅茶苦茶」がキーワードなお芝居でしたので、お話の展開は言ってしまえば色々滅茶苦茶なんですが、二幕がっつり楽しめました。舞台上に組まれたやぐらの上で和太鼓を叩く和太鼓奏者の、素敵な筋肉もがっつり堪能できましたし!(笑)面白かったです。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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