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ノートルダム・ド・パリ。

2013 - 03/11 [Mon] - 00:32

風邪が治りません。ずーっと微熱状態なので、もはやこれが私の平熱と思うしかないのかと。
まあ、熱以外の症状はだいぶ治まったので、割と普通に生活してるのですが。
…芝居も観に行っちゃったりしてるのですが。うん、割と元気です。

というわけで、シアターオーブで「ノートルダム・ド・パリ」を観てまいりました。
フランスからの来日公演ですが、今回歌詞は英語。フランス語はさっぱりなので、ぽちぽちでも単語がわかると助かる!
いつものごとくネタバレしますので、「まだこれから観るんだい!」という方はスルーしてくださいませ。

ノートルダム・ド・パリ。実は、今回の舞台を観るまで、よく話を知らなかった…ディズニー版の映画すら観たことがなくて。ノートルダムの聖堂で鐘つきをしてるせむしの男の話というくらいの認識で。
劇場入り口でもらったちらし類の中に、今回のお芝居のあらすじを書いた紙が入ってまして。鑑賞前にそれを読んで、予習させていただきました。
それによると、舞台は15世紀末のフランス。パリの街にやってきたジプシーの一団。その中にいた美しい娘エスメラルダをめぐる物語。エスメラルダに純真な愛を捧げるノートルダムの鐘つき男カジモド。ジプシー達を嫌悪し、彼らを追い払うよう命じつつも、エスメラルダに愛欲を感じてしまう司教フロロ。婚約者がいる身にもかかわらず、エスメラルダに惹かれてしまう近衛隊長のフェビュス。ジプシーたちの「聖域」に足を踏み入れた罪で殺されかけ、エスメラルダと結婚することで助かった吟遊詩人グランゴワール。一見すると四角関係のように思えますが、エスメラルダとグランゴワールの結婚は形だけのものなので、二人の間に恋愛関係はありません。むしろグランゴワールは蚊帳の外です。いいのです、彼は語り手なので、恋愛なんぞに血迷っている暇はないのです。
多くの男達を惑わせつつ、エスメラルダが恋をした相手はフェビュス。しかし、二人の逢引の場所にやってきたフロロによって、フェビュスは刺されてしまいます。しかも、エスメラルダはフェビュスを刺した濡れ衣を着せられて投獄されてしまうのです。フロロは「私のものになるなら助けてやる」とエスメラルダに迫りますが、エスメラルダはそれを拒んだため、死刑宣告が下ります。カジモドはエスメラルダを助けに行き、自分の住処にかくまいますが、フロロはジプシー達の聖域を破って兵士を入れ、エスメラルダも捕らえられてしまいます。婚約者のもとへと戻ってしまったフェビュスは彼女を見捨て、エスメラルダは絞首刑に。全てはフロロの仕業だったと知ったカジモドはフロロを鐘楼から突き落とし、エスメラルダの亡骸を抱きしめて永遠の愛を誓うのです…―――。

…ねえ、フェビュス、ひどくない? こいつひどくない? 司祭も最低だけど、フェビュスひどいよね?
上演前、一緒に行った友人とあらすじを一読して言い交した言葉です(笑)。

それはともかく、舞台自体は素晴らしいのひと言に尽きます。素晴らしい歌、素晴らしい演技、そして素晴らしいダンス!
今回、ダンスが大変アクロバティックで。振り付けの方が、シルク・ド・ソレイユの演出をなさったことのある方だそうで。舞台奥に大聖堂の壁が作られているんですが、そこをひょいひょい上る役者さん達! 宙返りもくるんくるんと実にきれい。「わー、人体ってこんな風に動くんだー」と思わずサーカス気分で見惚れてしまいました。天井から縄で吊るされたノートルダムの鐘に乗って激しく前後に揺り動かすダンサー達が命綱なしに見えたんですが、大丈夫なんですかあれ! うーん、すごい。宙返りの最中にさらに一捻り入っちゃったりするし。

歌は本当に皆様素晴らしいのですが、特にフロロ司祭役の方がいいお声で。あまりにもいいお声なので、「冬の枯れ木に春が来た」と回春宣言する歌にもついつい聞き入ってしまいました(笑)。エスメラルダに対して感じる邪な想いと、司祭という立場の間で押しつぶされそうな司祭様。エスメラルダに対して「私の寝床か絞首台か、どっちがいいんだ!」と迫る姿が鬼気迫ってました。怖い、怖いよフロロ。最後はカジモドに突き落とされて、聖堂の階段をごろごろ転げ落ちた末に、処刑人によって実に無造作に死体置き場に引きずり出されるフロロ。自業自得といえばそうですが、哀れな男です。
鐘つき男カジモドは、その醜さゆえに捨てられ、フロロに育ててもらった男。それゆえに、フロロには逆らえない。「犬のようにあなたにお仕えします」とフロロに忠誠を捧げていたカジモドが、けれどエスメラルダへの恋心によって、初めて自分の意志を見せます。フロロの意志に逆らい、エスメラルダを守ろうとする。このカジモドが、とにかく切ない。何しろエスメラルダはカジモドに対して友情しか感じていないのです。「私とあなたの間の絆」とエスメラルダがカジモドに対して歌うその絆には、本当に友情以外の何も含まれてない。カジモドは歌います、「僕は一生彼女のことを愛し続けるけど、彼女は永遠に僕のものにはならない」。カジモドはわかっているのです。自分は文無しで醜くて、神様はそんな風にしか自分を作ってくれなくて。彼女はハンサムで金持ちなフェビュスのことが好き。でも、カジモドは彼女のことを愛し、彼女のために様々なことをする。最後、エスメラルダの亡骸を抱きしめながら、「踊ってよ、歌ってよ、エスメラルダ」と歌うカジモドの姿が悲しくて悲しくて。フロロやフェビュスがエスメラルダに対して肉欲的な愛しか持っていないのに対し、カジモドの愛はひたすらに純粋。悲しい終わりだなあ、本当に…。
フェビュスは…ええとごめんなさい、上演前からひどい男だと思って見ていたので、本当にひどい男にしか見えませんでした(笑)。婚約者がいるくせに、可愛いジプシー娘に手を出しやがって! しかも、エスメラルダを呼び出す場所が、ただのカフェかと思いきやほぼ娼館…「寝ようぜ!」ってことか! いや、エスメラルダも超乗り気だったけど! そんなもんか、いいけどさ! 婚約者とエスメラルダの間で思い悩み「二つの愛が欲しい、片方は一生の、片方は束の間の」と歌うフェビュスくん。歌は良いけど、歌詞はひどい!(笑)しかも彼の苦悩を表すかのごとく、闇の中で黒いパンツ一枚の筋肉ムキムキなダンサーが踊り狂ってくれたりするものだから、私の視線は筋肉の方にくぎ付け(笑)。ちなみに婚約者さんが思いを吐露する場面では女性ダンサーが踊り狂ってました。ええい似た者同士だなお前ら!
そして蚊帳の外くん…いやいや、詩人のグランゴワールくん。この方が冒頭で歌う歌がすごく印象的で、もうこの時点で「CD買おう」と思ってしまいました。カテドラルの時代、石とガラス、天を目指して上へ上へと高く上っていくけれど、二千年のうちに世界は滅びると言われている…うろ覚えですが確かそんな歌詞だったかと。彼は語り手なのでいろんな場所にひょいひょい現れ、すべてを目撃しつつも、決して深くは関わらない。詩人ってそういう立ち位置だよなあと思いつつ、エスメラルダにきっぱりと「あなたとは一緒に寝ないわ」と宣言される姿はちょっと可哀想(笑)。

しかし、来日公演観ると、そのレベルの高さにいつも驚かされます。日本のミュージカルも大好きですが、やっぱりこの域にまだたどり着いていない気がするのは、そもそも体が違うのか、外国の歌に無理矢理日本語を載せている違和感のせいなのか、ダンサーや役者の層の厚さの違いなのか。
いやでも本当に素晴らしい舞台だったので、まだ観てないという方はぜひ。オススメです。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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