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グレート・ギャツビー!!

2017 - 06/12 [Mon] - 01:14

例によって観てからだいぶ時間があいてしまいましたが、ミュージカル「グレート・ギャツビー」を観ました。日生劇場にて。今頃はもうこの演目は名古屋公演の真っ最中ですね。
原作未読、映画版もそういえば観たことない…ロバート・レッドフォードが主演してる「華麗なるギャツビー」はいつか観ようと思いつつそういえばまだ観てなかった。ディカプリオ版は、あの監督が苦手で…公開時にスルーした覚えがあります。うん、いつか観よう。レッドフォード版で。
なので、うっすらあらすじを知ってるくらいで観たのですが、少なくともミュージカル版は素晴らしかったです! 豪華なセットと衣装、主要な役者さん達の見事な歌唱と演技、アンサンブルの方々も皆様上手で、「おおお、ミュージカル観たー!!」という満足感がすごい。勿論その満足感の大半を担うのは、ジェイ・ギャツビー役の井上芳雄くんなわけなんですが。なんというかもう、この方は…毎回のように書いていますが、観る度に何度でも惚れ直させてくれる役者さんですね。もはやミュージカル界のプリンスどころか帝王ですね。
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

1920年代のアメリカでの物語。証券会社勤務のニックは、つい最近ニューヨークのロングアイランドに引っ越してきたばかりの気のいい青年です。 ニックの家は慎ましやかなものなのですが、お隣はとんでもない大豪邸。大富豪のジェイ・ギャツビーのお屋敷です。そこでは毎晩のように豪華なパーティーが催されている様子。招待状をもらったニックがお屋敷に足を踏み入れてみると、ものすごい数の招待客が上機嫌でお酒を飲み、歌い踊って浮かれ騒いでいます。でも、誰もギャツビーの顔を知らない様子。と、そこへ、警官が踏み込んできました。この禁酒法のご時世に堂々と酒をふるまってるわけですから当然です。あわや全員逮捕となりかけたところで、とうとう姿を現したのが謎の紳士ギャツビー。このパーティーに警視総監も招かれていることを示してあっさりその場を収めたギャツビーは、しかし自身はパーティーに参加することなく、川を挟んで対岸にある高級住宅街のとある屋敷に灯る緑色の灯りを夜通し見つめているのでした。
翌朝、ニックはギャツビーと話し、仲良くなります。ギャツビーは、ニックの又従妹が対岸に住むトム・ブキャナンの妻デイジーであることに興味がある様子。実はギャツビーはかつてデイジーの恋人だったのです。今ではトムと結婚して幸せに暮らしているように見えるデイジーですが、実はトムは別の女と浮気をしており、デイジーもそれに気づいているのでした。ニックの手引きで再びデイジーと会ったギャツビーは、「もし何かが起きて困ったときには必ず僕が助けるから」と約束します。が、デイジーとギャツビーの様子に気づいたトムは、ギャツビーにゴルフコンペでの勝負を提案します。ギャツビーとデイジーは、その機会に乗じて駆け落ちしようとしますが、上手くはいかず、トムに侮辱されたデイジーはゴルフ場からの帰り道に車を暴走させ、とある女性を撥ねてしまいました。その女性こそ、トムの浮気相手のマートル。ギャツビーはデイジーをかばい、車を運転していたのは自分だったということにしますが、これが悲劇を招く引き金となりました。マートルの夫のジョージが、拳銃を手に、ギャツビーの前へと現れたのです……――。

冒頭、奈落からカウチにもたれたギャツビーがせりあがってきました。ローブ姿で、指輪のはまった指でグラスを持ち上げる姿がそれはもうかっこよくて。で、その後でローブを脱ぐと、その下は水着姿…当時の水着なので、パンツだけじゃなくてタンクトップ的なものまでついてるのがなんというかこう(笑)。しかしまあなんてほっそい脚なんだろうと思って見てたら、突然慌てだすギャツビー。誰かに脅されている様子で、やめろというように手を掲げ…そして響く銃声。プールへと落ちていき、血が広がり――というように、ギャツビーの死からこの物語は始まります。
井上芳雄くん演じるギャツビーの存在感がとにかくすごい。出てくる度にぶわっと主役オーラが吹きつけてくる(笑)。かっこいいー。なんかもう存在が尊いよこの人! 近頃井上くんがやっているラジオを聴いているもので、観劇前にちょっとだけ歌は聴いてましたが、やっぱり生の舞台で聴くと滅茶苦茶感動しますね。ギャツビーの切ない感情が迫ってくる。何も持ってなかったギャツビーが、上流階級のお嬢様であるデイジーに再び会うためだけに金を手に入れ、その金で偽りの経歴を買い、大豪邸を買い、夜毎パーティーを開いていたというのが、なんかもうすごすぎる。一般人にはちょっとわからないくらいスケールのでかい話ですが、そうまでしないと実際彼はデイジーには出会えなかったんでしょうね。なのに、再び出会ったとき、彼女はもう結婚していて、しかも幸せじゃなかったというのが悲しい。ニックの手引きでデイジーと再会を果たすシーンのギャツビーの、さりげなさを装うつもりが全く装えていない不審者のごとき力の入りっぷりがすごかったです(笑)。どんだけ愛してるんだデイジーのこと! でもまあ、回想シーンでのデイジーとギャツビーの出会いから恋人になるくだりのきらきら感は確かにすごかった…井上くんが若返って帝王から王子様に逆戻りしてました(笑)。森の中でのデートシーンが、きらきらしすぎてもはや笑いを誘うくらい! お姫様と王子様ごっこを2人でするときの、馬に乗って走る王子様な井上くんがはしゃぎすぎてて速すぎて、後ろのデイジー姫がさっぱりついていけてなかったですよ!(笑) あと、ニックとデイジーを家に招いて、豪華なタンスから次々シャツを取り出して見せるシーンも面白かったですね。「こんなに色んなシャツを持ってるんだよ! ニック、欲しいのがあったら持って行けよ!」と階段上からぽいぽいシャツを投げてみせるんですが、ニックに向かって投げるときだけなぜか手つきが割と本気で叩きつける感じになるという(笑)。下で受けてるニック役の田代万里夫くんが「え、ちょっと待ってちょっと待って!」という顔になってばさばさシャツかぶせられてて、滅茶苦茶面白かったです。何だよ2人とも仲良しだな!!
ただただデイジーのために金を手に入れ、地位を手に入れ、そのために裏稼業にも手を染めていたギャツビー。薬の取引だけは頑なに断ったがためにマフィアから睨まれ、それでもデイジーのために裏稼業からきっぱり足を洗うことを決めたギャツビーが酒場で歌う「アイス・キャッスルに別れを」は聴いてて痺れました。かっこいい…何だろう、今まで観てきた役とはちょっと雰囲気が違ってて、ものすごく大人の男の雰囲気が。切々とデイジーへの愛を歌い上げる「グリーン・ライト」も素晴らしかったですけど、一番震えがきたのはこの歌だった気がします。今回、ハイライト版とはいえCDが出るのが本当に嬉しい…この歌がいつでも聴けるようになるんですね。
愛のために何もかもを手に入れたギャツビーは、そうして結局愛を得られぬまま、その愛のために命を落とすことになるわけですが、彼の葬式のシーンは悲しかったですね…あんなに毎夜大勢の客が彼の屋敷に詰めかけていたというのに、参列したのはニックだけ。突然姿を現したデイジーも、投げるように花だけ供えて消えてしまって。そして最後に、ギャツビーの実のお父さんが現れ、彼が本当はどういう人間だったのかを語る。ラスト、再びギャツビーが現れて「夜明けの約束」を歌い上げる様がすごく良かったなあ…涙が出ましたよ。ああ、なんて愛おしい人なんだ、ギャツビー。

ニック役の田代万里夫くんも、生真面目で品の良さそうな感じがとても役にはまってましたね。実は昔はちょっと苦手な役者さんだったんですが(すみません)、「エリザベート」のフランツ役で観て以来、大好きになりました。歌い方が変わったのかなあ…何が変わったのかはわからないんですが、ああこの人上手いなとフランツ観てしみじみと思いまして。今回のニックは、ゴルフのシーンがとにかく可愛かったですね! ゴルフ初心者という設定だったので、練習シーンもコンペシーンもとにかくコミカルで。結構重たい内容の話なので、ああいうシーンがあるとちょっとほっとしますね。
デイジー役は夢咲ねねちゃん。こちらもはまり役。女らしく愛らしく、けれど夫の浮気に苦しむ妻の苦悩もきちんと演じていて。ギャツビーがそうまでして愛した女性なんだなとぱっと見て納得させるだけの見た目と雰囲気がちゃんとあるのが素晴らしい。そして声も綺麗で歌も上手いという、本当にいい女優さん。これからますます東宝系ミュージカルで活躍していくのだろうなあ…楽しみです。
デイジーの夫のトム役は広瀬友佑くん。不実な夫の役なので役回り的にはちょっと損な気もしますが、この人もとにかくビジュアルが素晴らしいですよね! かっこいいし、色気がある。今回は歌がなかったのが残念ですが、この人もこれからどんどん大作ミュージカルに出ていく役者さんなんでしょうね。本当に楽しみです。
デイジーの友達でプロゴルファーのジョーダン役は、AKANE LIVさん。さすがの存在感でした。とても美しい方なので、この時代の衣装もすごくはまっていて素敵でした。特に水色の衣装のときの、靴が! 飾りが足の甲の上にぴこんと立ち上がってるあの靴、思わず欲しくなってしまいました。ニックにゴルフの手ほどきをしつつ口説くシーンは大人の女の色気がすごかったですよ。
そして、ギャツビーを殺すことになるジョージ役、畠中洋さん。この方はもうとにかく演技力がすごすぎて!! マートルの死を知った瞬間の、絶望で真っ黒に染まった瞳がもう!! あの目を見た瞬間、何かこう、決して覗き込んではいけない深淵の闇みたいなものが見えましたよ! 

というわけで、満足度の高いミュージカル作品でした。CDの発売日が待ち遠しいです。うん、やっぱり私、井上芳雄という人が大好きなんだなあ…勿論WOWOWの番組も見てますよ。例によってギリギリなネタ満載の「GREEN&BLACKS」(笑)。秋にやるストレートプレイの「謎の変奏曲」も楽しみです。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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