瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2016年11月20日  

マーダーバラッド!

2016 - 11/20 [Sun] - 02:35

ミュージカル「マーダー・バラッド」を観てきました。天王洲銀河劇場にて。中川晃教、平野綾、橋本さとし、濱田めぐみという、歌が素晴らしく上手い4人による全編歌のミュージカル。全員大好きな役者さん! 宣伝段階から観たくてたまらなかった舞台でした。ニューヨークでの初演が2012年とのことですが、全体的な印象は「若い」舞台だなという感じでしょうか。若くて勢いがある、勢いでぐいぐい押していく、ロックなミュージカル。その日本初演にこれだけのキャストをそろえてきたというのも、作り手側の勢いを感じました。本当によくそろえたなー。
というわけで感想です。ネタバレしますよー思いっきり!!

これはとある殺人についての歌物語。舞台はニューヨーク。歌手を夢見るサラは俳優を目指すトムと情熱的な恋をして、全身で愛し合った。けれど、2人の恋は長くは続かない。やがて失恋したサラはしたたかに酔っ払い、とある街角でまた別の男と出会う。それは情熱的で自由奔放なトムとは正反対な男、堅実で誠実な詩人のマイケル。サラはマイケルと結婚し、やがてフランキーという娘が生まれた。マイケルは優しく、子育てにも熱心。アッパーイーストに家を建て、家族のために経営学を学ぶマイケル。サラにとって、それはかつての暮らしとは全く違う幸せな生活だ。優しい夫がいて、可愛い娘がいて、何もかも満ち足りた――でも同じことの繰り返しでしかない暮らし。育児と家事に疲れ始めたサラは、かつての恋人トムを思い出す。トムは、今ではダウンタウンに「キングズ・クラブ」というバーを持っているという。サラは彼の店を訪れ、再び関係を持ってしまう。が、やがて2人の関係はマイケルにばれてしまい、幸せな結婚生活は一瞬で崩壊。妻を奪われ激怒したマイケル、全てを失って絶望したサラ、サラを取り戻したいトム、三人が「キングズ・クラブ」で顔を合わせたとき、ついに事件が起こる。さあ果たして誰が殺し、誰が死んだのか――……。

ステージ上には、バーと思しきお店のセットがありました。棚に並ぶ無数のお酒、長いカウンターとあちこちに置かれたテーブル。役者さん達はテーブルの上を歩きながら歌ったり芝居したりするので、観てる側はちょっとハラハラ。いや、いつか誰かが落ちるんじゃないかと…そうそう足元ばかりも見てられないだろうし、結構大股でずかずか歩くシーンも多いので、大丈夫かしらと。勿論、どなたも落っこちませんでしたけどね!
そしてこのミュージカル、舞台上にも客席が設けられてまして。舞台の上手下手両方に、二列並んだステージシートが設置されてました。役者さん達はちょいちょいそこに座ったお客さんとからんだりするので、うらやましかったですね(笑)。さとしさんに後ろから肩を叩かれて顔覗きこまれてる人もいましたよ! 本当にうらやましい!
でも、なんか音響が悪かったのが気になりましたねー…たまたま私の観た回がおかしかっただけかもしれませんが、特に前半、歌詞が聞き取りづらくて。結構前の方の席だったのでスピーカーとの位置の問題もあるかもしれませんが、全編歌なので歌詞がよくわからないと結構致命的。後半にいくにつれてましになっていきましたが、もうちょっとなんとかならなかったかなー…前半は集中するのが難しくて大変でしたよ。
とはいえ、役者さん達はやっぱり皆様素晴らしかったです! …だからこそ、もっとクリアな音で聴きたかったんですけどねー…。

トム役の中川晃教くんは、とにかく「悪い」男な感じ。なんとなく中川くんの素のお顔見てるととても良い人そうなので意外だったんですが、悪い男も似合ってましたねー。情熱的でぎらぎらしてて、常に奥底で何かが燻ってる感じ。トムの歌は低音が多かったんですが、中川くんの低音もいいなあ! 中川くんというとやっぱり綺麗に通る高音のイメージがありますが、ぐっと低く歌う声もとても素敵。一緒に観に行った友人は、今回ので完全にアッキーファンになったようでしたよ(笑)。華のある役者さんなんですよね、本当に。背が高いわけでもなく、とびきり顔が整ってるわけでもないのに、舞台にいるとどうしようもなく目がいく。ああこれが才能というやつなんだろうな、と自然と思わせてくれる。「フランケンシュタイン」も勿論観に行きますよー、とても楽しみです!
サラ役の平野綾ちゃんは、やっぱり可愛かったです!! 黒でレースでショートパンツで大変ロックな感じのお衣裳でしたが、なんかもう本当にお人形みたいな体してるなあ! 細い! 腰もお腹も脚も腕も本当に細い!! そんな綾ちゃんがテーブルの上に横になって脚を大開きしてアッキーとからんでいたわけですが、全然下品にならないのがすごい。綾ちゃんの歌声も素晴らしいですね、張りがあって厚みもあってよくのびる。感情表現も素晴らしいです、舞台上で綾ちゃんが泣いてるとこっちも哀しくなる。綾ちゃん大好きです!
マイケル役の橋本さとしさんは、珍しく「普通の」男性の役(笑)。エキセントリックでもなければ怖い人でもない、堅実な役。さとしさんが大好きな私は、さとしさんが舞台にいるだけでなんだかもう嬉しくてたまらないんですが、今回は綾ちゃんとさとしさんの大きさの違いに大変萌えました(笑)。さとしさんはすごく大きいので、ちびっちゃい綾ちゃんと抱き合うと、大人と子供…何だろう、このにわかに漂う犯罪臭(笑)。とはいえ、マイケルの役所からすると、「大人」な部分がより強調されて良い気もしますね。さとしさんが自分の娘とからんでるシーン(いや、娘役がいるわけではないのでパントマイムですけど)は妙に微笑ましかったです。そしてやっぱりさとしさんの歌声が好き!! サラの裏切りを知って叩きつけるように歌うシーンが大変ロックテイストで良かったなあ。うう、日本人キャスト版でCDが欲しいですよ。
そして濱田めぐみさん。ナレーター兼「キングズ・クラブ」のバーテンダー役。ナレーターなのでたくさん歌ってくれるんですが、濱田さんの歌も本当に好き! 音響残念だったのが本当に悔しい…濱田さんの歌い方で聞き取れないってどーゆーことですかまったく。しかしまあ、この役、トリッキーというかなんというか…ナレーターなので完全に第三者的立場の人なんだと思ってたら、そうじゃなかった! サラの浮気がマイケルにばれた後、サラ、マイケル、トムがキングズ・バーに集まって、さあ一体誰が殺して誰が死ぬんだという段になったとき、私はてっきりマイケルがトムを殺そうとして返り討ちにあうんだろうと思ってました。…いや、なんとなく、さとしさん死ぬんじゃないかなーと…で、なんならその後、サラがトムを殺しちゃうんじゃないかなーと…そんな想像をめぐらしていたんです。で、実際、マイケルがトムに襲いかかり、見事に返り討ちにされてぼこぼこに殴られだしたので、「おお、想像通りか」と思ってたんですが、なんとここでサラが店にあった野球のバットを振りかぶる! よりにもよってバット! ナイフでもなく銃でもなくバットですよ! が、そこでいきなりナレーターが身を呈してトムをかばおうとする!! えええ、いきなりお話に入ってきたよこのナレーター!! いや、確かに思い返してみれば、トムがバーにいるシーンでちょいちょいからんでたけど! そして、結局バットを振り下ろせなかったサラからマイケルがバットを受け取り、そのまま放り出して店を後にして。サラがそれを追いかけて、2人はスポットライトを浴びながら抱き合い――まさかのハッピーエンドか!? いやでも、誰か死ぬんでしょこの話!? と思ったら、再びバーの中に話は戻り、トムを気遣うナレーターのシーンへ。しかしトムはナレーターの手を払い、ふられたナレーターは床のバットに手をのばして、トムの頭を殴打! そしてまた殴打! トムが死ぬまで殴打ー!! って、ちょっとー!! ナレーターが殺人者かよー!! これはあれだ、ミステリー小説読んでたら語り手が犯人だったやつだー!! しかもナレーター、この後立派に逃亡を決め込んだらしく、翌朝サラがネットを立ち上げてニュースサイトを見たら未解決殺人事件の記事があるという。このときの「未解決殺人事件♪」と歌ってキャンドルを吹き消したときの濱田さんのにんまり笑顔の怖いこと怖いこと(笑)。

音響の良い舞台でぜひもう一度観たいミュージカルですね。曲調は好みだし、役者さんは全員素晴らしいし、90分でがーっと勢いよく攻め込んでくる作り自体も悪くない。…そう、音響だけがとにかく残念!! もう一度、別の劇場で再演しないかなー…そのときはぜひキャストはこのままでお願いいたします!

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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