瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2016年08月  

夏の思い出と2016年版エリザベート!

2016 - 08/19 [Fri] - 01:27

暑いですね。関東地方はしばらく涼しい日が続いていたもので、台風が過ぎた直後からのこの暑さがこたえます…おのれ夏め。
毎年、夏の恒例行事として、メトロポリタンホテルで行われる「ミステリーナイト」というイベントに参加しています。ホテルに泊まって、殺人事件が起こるお芝居を観て、一晩かけて推理して解答用紙埋めて提出して、翌朝に解決編のお芝居を観て「あーっそうだったのかーっ」とか「やったー当たったー!」とかなる素敵イベントです。今年はひさしぶりに入賞を果たし、ほぼ徹夜でふらふらしながらも気分よく帰ってきました。このイベントが終わると、今年の夏も終わったなという気分になります。いや、まだまだ暑いんですが。
あと、「シン・ゴジラ」を観ました。あまりゴジラに思い入れはなかったもので当初は観る予定ではなかったのですが、何しろ無茶苦茶評判良くて、気になって…いざ観に行ってみたらば、これがもうすごく面白かった!! ブルーレイ出たら買うわこれ! 日本の偉い人達と頭の良い人達が全力を尽くし知恵を絞り命を懸け、そして様々な法案を整備して、ゴジラという生き物に立ち向かう映画。画面作りがとことんエヴァンゲリオンでしたね! カット割りとかカメラの動き方とか音楽とか、とにかく何もかもエヴァ!! もう、電話の受話器を置くシーンのカメラの向き見た瞬間、「エヴァだ!」と叫びそうになりました(笑)。ゴジラの造形は、第二形態が好きだなあ。あの、建物の隙間から魚みたいな巨大な目が一瞬覗いた瞬間、鳥肌立った! その後、両生類のようなゴジラがぬるぬる前進してマンションよじ登って倒すとことかも、すごく好き!! あの動作の生き物だったら、目の前に高いマンションあったら絶対ああいうことになるもの! 最終形態ゴジラが熱線吐いたり放射したりするシーンや無人在来線爆弾にもぞくぞくしました。専門用語飛び交いすぎて一回観たくらいじゃ頭に入らない部分もありましたが、そこがまた良し。色んな有名俳優さんを山ほど起用してワンシーンのみ登場とかも、贅沢で良いですね。 うん、観に行って良かったです。

いや、それはともかく、今度こそ「エリザベート」の感想なのです。東京公演は終わりましたが、まだ全国ツアーしてるからいいよねということで(笑)。前回からの新演出版「エリザベート」、やっぱり素晴らしかった!! しかもこの美しさがついにDVDになるわけですよ、そりゃ買いますよ、両バージョン買いますよ!!
しかし今回のエリザベートは、チケット争奪戦がものすごいことになってましたね。私は割と運が良くてなんと3回も観に行けたんですが、チケット取れなかった方も多かったという噂。チケット転売業者がかなり悪いことしてたんじゃないかなあと…どうにかならないんでしょうかねえ…。
Wキャストは、今回はシシィもトートもルキーニもゾフィーも両方観られました。前回のとき、シシィ両方チケット取ってると思ったら、実は全部蘭乃はなちゃんだったもので、花總まりさんのシシィを一度も観てなかったんですよ! ルドルフだけは、今回京本大我くんしか見られなかったのが残念…古川くんのも観たかった!!
というわけで、感想です。あらすじはもう何度も書いてるので割愛しますよー、なのにとんでもなく長いですよー。

今回はとにかく、ついに花總まりさんのシシィを観られたという感動が大きかったです! おおお、これが伝説のシシィ…美しすぎるし素晴らしすぎる!! 花總さんの「私だけに」、泣けた…ものすごく感動した! それに一幕ラストのあの美しさときたら!! 「これがレジェンドか!」と胸をうち震わせて観ておりましたよ!
新演出版になるまで、私はどうにもシシィというキャラが好きにはなれなかったんです。だって、とにかく我を通してばかりで、旦那も息子もほっぽりだして己のためだけに生きてる人に見えたから。それはまあ新演出版でもそうなんですが、でも前回、初めての新演出版で蘭乃はなちゃんのシシィを観たときに、ものすごーくシシィが可哀想に見えたんですよね。無邪気で、自由に生きることだけが望みだった女の子が、ほとんどハプニングとしか思えない状況で皇帝に見初められて、全ての自由を奪われることになって。ゾフィーにいじめられるシシィが可哀想で可哀想で、だからそこから続く「私だけに」の歌に初めて感動できたんです。そのとき観たはなちゃんのシシィがそれだけ可愛らしく等身大の女の子だったからだと思うんですが、じゃあ花總さんのシシィはといえば、これまたものすごく可愛らしい! 少女時代の愛らしさがとんでもないですね、特にバート・イシュルのシーンときたら! ゾフィーに睨まれて一人だけ離れた席に座らされてしゅんとなって、でも紅茶とマカロンですぐに機嫌を直して。お姉さんのヘレネの髪飾りのお花が転げ落ちたのに気づいて、そーっと(いや実際は全然そーっとじゃないですが)直してあげて、己の仕事ぶりにものすごく満足して、やり遂げた感満載の笑顔で椅子に座り直す姿なんて、もうどうすればいいのかという勢いで可愛い。ええと、花總さんって今お幾つでしたっけ!? そしてそんな女の子が、王宮に入ってどんどん変わっていく様が、表情や声音の変化ではっきりと表現されていて、本当にすごいのひと言です。己の美貌が武器になることに気づいてからのシシィの堂々たる美しさ! 特に、二幕頭の「私が踊る時」でトート閣下さえ弄んでみせる余裕の笑みが素敵すぎる。そてにしてもシシィ、少女時代と晩年じゃ全然声が違いますよね。ただ、年を取るにつれてひたすらに倦み疲れていくはなちゃんのシシィに比べると、花總さんのシシィは年をとってもプリンセスらしさが残っているのかなという気がしたのは、ルドルフのお葬式のシーンで写真撮られて逃げ出すときの悲鳴の上げ方の違いのせいでしょうか。どんどん重苦しくなってあのシーンではもう老婆のような「うあああ…!」といううめき声になってるはなちゃんに比べて、花總さんのシシィの「やめてぇ…!」という叫びは、どこか女の子っぽさを残していて、それが余計に痛々しい。ラストシーンでついにトートの腕の中に飛び込む花總シシィの清純さは、眩しすぎましたよ!
蘭乃はなちゃんは、前回のときは公演が進むにつれて喉が大変なことになっていって、それを本人が気にしてるのがすごく伝わってきて痛々しかったんですが、今回私が観た回はとても安定していました。はなちゃんの声、好きなんですよ。独特の艶があっていいですよね。お芝居も好きです、少女時代がやっぱりとても可愛らしい。そして、ゾフィーにいじめられて、フランツに「助けて」と抱きつく姿が好き。細い腕で、本当に「ひしっ」という感じに勢いよく抱きつく。なのにフランツには味方になってもらえなくて、自分がこの王宮でひとりぼっちなんだと気づいて、でも自分の生き方は曲げないぞと決意して「私だけに」にいくわけですが、やっぱりこの流れがすごくすんなり理解できるんです。でも何よりもはなちゃんのシシィですごいと思うのは、やっぱりフランツに裏切られた後、ヨーロッパ中を旅するようになってからの倦み疲れた表情ですよ。あの自由に生きることを夢見ていた少女がこんな目をするようになったかと思うと、なんかもう本当に辛い。そんな状態のシシィにルドルフが泣いてすがっても、そりゃあ無視しちゃいますよね。「僕はママの鏡だから」ってルドルフが腰に抱きついてるのに、はあーっと大きなため息をつかんばかりに「どうでもいいわ」という目をするシシィ! うん、あなたが見捨てたからあなたの息子は死んだんですよ!

城田優くんのトートは、やっぱり美しすぎました!! もう何度も言ってる気がしますが、少女マンガが3Dになった感じ。もはや人間じゃない。ていうか城田トート、本当に人間じゃない。黄泉の帝王なんだから当たり前なんですが、もうまとってる空気が異様すぎて。本当に化け物なんですよね、彼のトートは。触ったら間違いなく冷たい気がする。時折台詞を囁くように言う感じがぞくぞくする。シシィの結婚式で客席の後方から彼が歩いてくるんですが、いつも彼が現れたのに気付いた瞬間びくっとします。ダンスもかっこいいし、ああもう本当に良かったこのトートが映像に残って!! 城田トートで印象に残ってるのは、ちびルドルフや青年ルドルフに触れた後、その手を口元に持っていく仕草。何食べてるの、何か味見したの!? あと、城田トートが人間に化けてカフェに現れるシーンで、いつもカフェに入る前にぐるんって首を回すところがすごく好きなんですよ。人間じゃないものが束の間人間のふりをする感じがしますよね。そしてカフェに入った後は、城田トートも井上トートもなんだかいつも楽しそうな顔をしてる気がして、その顔も好き(笑)。何でしょう、自分の計略が上手く進んでるのがトート閣下として満足なのか、それとも珍しくシシィ以外の役者さんともからめて役者的に嬉しいのでしょうか(笑)。城田トートがお医者さんに化けてシシィの前に現れるシーンでは、いつも渾身のじじい演技に笑っていいのかどうか悩みます(笑)。そこからつながる「待っていた!!」のテンションの高さにもいつもびっくりしますが。えええ、あなたどれだけ待ってたの、何をそんな急に盛り上がってるのー!? 青年ルドルフとからむシーンでは、「闇が広がる」で野獣のようにルドルフに迫る城田トートの激しさにいつも腐女子的な妄想がふくらみそうになりますね(笑)。なのに死の接吻はルドルフから迫るわけですよ、ああもう小池先生よくおわかりで!!(笑)
井上芳雄くんのトートは、城田トートと対照的。いい感じにやさぐれてて冷たくて化け物系な城田トートに対し、井上トートはやっぱり貴公子なイメージ。張りのある声といい立ち姿といい表情といい、とにかく品がいい。そして、思いのほか色気がある(笑)。妖艶なんですよ、井上トート。指先の動きやちょっとした動作がいちいち色っぽい。特に、ちびルドルフから取り上げたおもちゃの拳銃に唇を寄せる仕草!! 何ですかあの妖艶さ!! あと、城田トートが触ったら冷たそうなのに比べると、井上トートは体温ありそう。常人よりは低そうだけど。そのせいか、「待っていた!!」のテンションの上がりっぷりが城田トートよりさらに激しい気がする(笑)。声量の違いもあるんでしょうが、あなた本当にどれだけ待ってたのという感じで。歌も本当に素晴らしいですね、この人の歌声を聴いてると幸せになれる。実は声質的には城田くんの方が好みなんですが(甘くて高い声が好きなんです)、井上くんの歌声はなんかもう否応なしにこっちの心を持っていく。すごいですよね。あと、やっぱり井上トートの方が、ルドルフに対して優しい気がするんですよねえ…青年ルドルフが捕らえられるシーンにしても、自殺するシーンにしても、なんだか痛ましげな顔をするんですよ井上トート。ルドルフに対して「死にたいのか」と問いかける台詞の言い方も、城田トートとは全然違いますよね。城田トートはむしろ冷たく笑ってる気がするのに。本当に、どちらのトートも素晴らしかったです。ありがとう映像化、何度でも言いますよ祝・DVD化!!
あ、でも、今回、トート閣下による壁ドンがなくなってましたねー。もっと舞台を広く使うためになくしたのかもしれませんが、ちょっと残念でした(笑)。

山崎育三郎くんのルキーニは、もう本当に安心と信頼の育三郎ブランドという感じで、抜群の安定感。彼も色気があっていいですよね、そして華がある。この芝居をまわしていく役目のルキーニに魅力がなければ全てが成り立たないですものね。「ミルク」も「キッチュ」もすごくよかった!! あと、育三郎ルキーニで好きなのが、謁見の間のシーンでの芝居。泣き叫ぶ母親の訴えや、教会の訴えに対して、それぞれ細かく反応してるんですよね。クリミア戦争の情勢についての報告のときは、シュヴァルツェンベルク侯爵に向かって喉をかき切るような仕草をしてみせたりする。本当はあの場にいないルキーニなわけですが、誰にも見えない存在でありながら、間違いなくあの場に参加してる人になってて、すごく好き。
成河くんのルキーニも良かったです! 「十二夜」で歌う姿を観たときに、ミュージカルで観たいなと思ったんですが、それが叶いました! 歌はやっぱり育三郎くんに軍配が上がる気がしますが、狂いっぷりは成河ルキーニの方がものすごかった気が。狂気が身から溢れてた! でも、小鳥ちゃんがセットの下に入っちゃって、ごそごそ階段の下に這い込む様はえらく可愛かったです(笑)。そういえばこの小鳥ちゃん、前回公演のときは一度としてルキーニのもとに戻るのを見なかったんですが、今回二回観た育三郎ルキーニはどちらも少なくとも足元までは戻ってきてましたね。遠くに行くことはなく。二度目だからでしょうか。それにしても成河くん、声高いなあ!
ルキーニの台詞…というか歌で一番好きなのが、「皇后の放浪の旅は続いていく」という歌詞に続く「ずっとね」のひと言なんです。あの台詞を言うとき、どちらのルキーニもものすごくあの一言に感情を込めていて、あの瞬間すごくうるっときます。両ルキーニとも、やっぱり大好きです。

田代万里生くんのフランツは今回2回観たんですが、前回より今回の方が断然好き! 何だろう、歌い方かな、芝居かな? とにかく今回は万里生フランツに色々やられた気分です。万里生フランツもとても品が良くていいですね。若々しい青年フランツから晩年のフランツまで、この人も声色も立ち方もがらりと変わる。シシィが出してきた最後通告に対し、苦渋の決断という顔で、それでも「君が必要だ」と言うフランツが好きです。すごくすごくシシィのことを愛してたと思うんですよ、この人。でもシシィにはそれがどうしても伝わらない。いや、伝わってるんだろうけど、シシィはそれを受け入れられない。なぜならシシィは己を曲げないことこそがアイデンティティの人だから。…うん、結婚自体が失敗だったんだとは思うんですよ。でも、それでもフランツが愛してたのはシシィだけなんだと思うと、これまた色々辛い。
佐藤隆紀くんのフランツも好きです。なんというか、万里生フランツに比べると、佐藤フランツはもっと朴訥とした感じ。シシィに拒絶されても、そもそもどうしてこんなに拒絶されるのか理解できてないような感じがある(笑)。細かい心の機微とかに疎くて、でも彼は彼なりに純粋にシシィを愛してて、だからこそ両者の亀裂はどんどん深まるばかりで。これはこれでリアルにありそうな夫婦だなあ(笑)。
歌も、両フランツとも素晴らしかったですね。実は今まで「夜のボート」という歌にあまり思い入れがなかったんですが、今回はなんだかすごく泣けたなあ…今まではあの歌になると「ああもうこの舞台終わっちゃうなあ」くらいにしか思わなかったのに。なんだかすごく、あのシーンのフランツが可哀想に思えたんですよね。
あと私、シシィがトートと対話するときにフランツが退場する際の様子がすごく好きなんです(笑)。結婚式のシーンで、いつの間にかシシィではなくトートダンサーと踊っていたフランツが、急に「ぐわあっ、なんだか急に気分がああ」という様子で袖にはけていく様子がなんだか妙に面白くて。ハンガリーでまだ幼い娘が死んじゃうシーンでも、棺を抱えたルキーニの後をついてよろよろと「あああ、私の娘があああ」という感じに退場してく。シシィがトートと話すときは微妙に異空間になってるはずだからフランツは同じ場所にいちゃいけないんでしょうけど、ああいうときの退場の仕方って難しいんでしょうね(笑)。

両ゾフィー様は、やっぱりどちらも大変安定してましたね。素晴らしい安定感の香寿たつきさん、相変わらず年齢不詳な美しさの涼風真世さん。私、この舞台観てて一番参加したくなるのが、ゾフィー様がシシィを朝イチでいじめに来るときのゾフィー様の取り巻きの女官達の歌とダンスなんです(笑)。私も一緒に腕を斜めにあげて回りたい。ゾフィー様に「ごもっとも」とうなずきたい!
ルドヴィカ&マダム・ヴォルフ役の未来優希さんも、本当に素晴らしい安定感。さりげなく「ミルク」とかにも交じってらした気がする。未来さんのマダム・ヴォルフが映像に残るのも本当に嬉しい…あの娼館のシーン好きなんですよ、鞭さばきかっこいい!!
あ、あと、シシィのお姉さまのヘレネさん…バート・イシュルでのお見合いの衣装が、前回よりもパワーアップしてましたね(笑)。リボンのお化けみたいになってた!! 誰ですかあのコーディネート考えたの(笑)。「計画通り」のダンスも参加したいですね、「すべてパアなのっ!?」って一緒に両手を上に上げたい。

…ほら、やっぱりとんでもなく感想が長くなりました(笑)。いやでも本当に、私この演目大好きなんです。DVD発売が待ち遠しい!! ありがとう東宝さん! あ、でも、「1789」もDVD化してくれてもよかったんですよ―? あれも絶対買う人多いはずですよー?

 | ホーム |  »

プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

07 | 2016/08 | 09
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

リンク