瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2015年07月  

スポンサーサイト

-- - --/-- [--] - --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

サンセット大通り。

2015 - 07/12 [Sun] - 18:03

赤坂ACTシアターで上演中のミュージカル「サンセット大通り」を観てきました。
ランチ食べた後、開演までちょっと時間があったので、近くにある日枝神社にお参りに行こうとしたら道を間違え、豊川稲荷東京別院に辿り着きました(笑)。とっても素敵な稲荷社でした。
toyokawainari (350x350)
この眉間のしわがたまらない…。
境内で七福神めぐりもできます。赤坂って神社多いですよね。
それはともかく、感想です。ネタバレしますよー。

深夜にサンセット大通りにある屋敷で響いた二発の銃声。駆けつけた警察は、庭のプールに若い男の死体が浮いているのを見つける。屋敷の持ち主は、まだ映画がサイレントだった頃に一世を風靡した女優ノーマ・デズモンド。死んでいたのは、近頃ノーマと同棲していたうだつのあがらない若い脚本家、ジョー・ギリス。事件の真相を探るためには、時間を半年ほど巻き戻す必要がある。
借金取りに追われたジョーが、たまたまノーマの屋敷に迷い込んだこと。それが全ての始まりだった。かつてのスター女優は、サイレントからトーキーに映画界が変わった後は世間から忘れ去られ、幽霊屋敷のような大邸宅に執事のマックスと共に暮らしている。過去の名声を忘れられないノーマは、再び映画界に返り咲くために、山ほど脚本を書いていた。自分が主演する映画の脚本を。ノーマはジョーが脚本家であることを知ると、ジョーに自分を手伝うよう命じる。しかし、やがてノーマはジョーに執着し始め、彼を束縛し始める。ジョーはノーマから離れようとするが、ノーマが自殺未遂したために、彼女を見捨てられなくなり、彼女の持つ有り余るほどの金に溺れてノーマとの生活を続けていく。しかしその一方でジョーは、親友アーティーの婚約者である若く愛らしいベティと、脚本作りを通して魅かれあっていく。勿論、ノーマがそれに気づかないはずはない。こうして、狂気と妄想であふれかえっていたノーマの心は完全な崩壊を迎えてしまうのだった…。

ビリー・ワイルダー監督の映画「サンセット大通り」を、アンドリュー・ロイド=ウェーバーがミュージカル化したこの作品。映画を観たのはもうかなり前なものであんまり細かいことは覚えていなかったのですが、とにかく女優が怖かったことだけはっきり覚えていました。
さて、ミュージカル版。こちらもやっぱり怖かった!! 私が観た回は、ノーマ役が濱田めぐみさん、ジョー役が柿澤勇人くんだったんですが、どちらもはまり役でした。
濱田さんのノーマが、もう本当にものすごいのですよ。サイレントからトーキーに映画が移行した時期、映画界を去った女優俳優は多かったといいますが、ノーマは今でも自分のことを大スターだと思ってる。世間はまだ私を愛している、私を待ち続けている、だってその証拠に毎日ファンレターが届く。私が今の映画界にいないのは、映画が小さくなったから。だから私、自分で脚本を書いたわ。私が主演する私の映画。台詞なんていらない、この眼差しだけで全てを語れるの。…ノーマの台詞の一つ一つが狂気と妄想に満ちてて、聞いてるだけでぞくぞくするのですよ。そして、ノーマがあふれる己の感情を歌い出した途端、もう劇場の空気が濱田さんの心で染め上げられた感じ! 満ち溢れる迫力!! なんて圧倒的な歌声!! ていうか、それだけものすごい歌声なら、ノーマ今の映画界で十分やっていけるよ!!(そういう問題ではない)
やがてノーマがジョーを愛するようになり、溺れるように彼にのめり込んでいく様も、すごかったです。なんかこう、可愛らしいんですよ、濱田さんのノーマ。大晦日のパーティーでジョーとタンゴを踊って、きゃっきゃ笑って、すごく可愛い。でも、ジョーが彼女を置いて別のパーティーに出かけてしまうと、手首を切ってしまう。情緒不安定を通り越してすっかり頭のおかしくなってるノーマが怖くてうっとおしくて、でも可哀想で、観ていて本当にはらはらしました。映画撮影所を訪れて、自分の知っていた頃とあまりに変わってしまった現場の風景に怖気づき、でも周りの皆がまだ自分を覚えていることを心から喜ぶシーンも、なんかもうすごく辛かった…照明を浴びた途端、過去のスターに間違いなくノーマは戻り、周りの皆もこぞって彼女に手を差し伸べてきたのに、それはただ過去の遺物を遺物として褒め称えただけだったという…今の彼女に仕事はないのだという、あのシーン。照明を浴びた濱田さんが滅茶苦茶美しく見えた分、余計に辛かった! 
そして最後の正気を使い果たしたノーマがジョーを撃ち殺し、完全に狂気に陥ってしまうラスト。詰めかけたマスコミや警察を映画スタッフと勘違いして、堂々と胸を張って階段を下りてきてスピーチする、あの姿の美しさと哀れさといったら。やがてずるっと彼女のかつらがずれ落ちて、彼女が総白髪になっていたことが判明するところなんて、グロテスクといってもいいくらい。怖いよノーマ! でもその狂気がなんだか愛おしい。とにかくノーマに心臓を持っていかれる舞台でした。

ジョー役の柿澤勇人くんも、大好きな役者さん。冒頭、客席に隠れた後また舞台に戻るときに、通路際のお客さんの肩を触りまくってたように見えたんですが、なんかうらやましい(笑)。柿澤くんの演技を観てていつも思うのは、軽薄さともとれるような独特の軽さと、どこか底の知れない怖い感じが同居してるのがすごいなあと。あと、感情の爆発の仕方がすごい。そして、いつ観ても筋肉に惚れ惚れする(笑)。今回も、ちょこっとだけ脱ぐシーンありましたね! 服の採寸のシーンでしたけど! ああ、あの二の腕に触りたい(笑)。あと、2幕アタマの「サンセット・ブールバード」の歌がすごかった! 「ベスト・ミュージカル2」というアルバムで石井一孝さんが歌っていたのを聴いたことがあったんですが、柿澤くんの全ての感情を吐き出すような力強い歌声で歌われると、また全然違った感じで。ベティがノーマの屋敷を訪れたところでリプライズで歌われるところも、怖くて悲しくてすごく良かった…柿澤くんの歌は本当に芝居歌という感じ。
そして、ノーマに仕えるマックス役の鈴木綜馬さん。本当に、本当にいい声ですよねええ…!! 惚れ惚れする歌声。そして、階段を上り下りするときの姿勢正しい感じがとても素敵(笑)。マックスは、ノーマの狂気と妄想が破綻しないように必死になって全てを支えていた人。ノーマが毎日受け取っていたファンレターも、実はマックスが書いていたもの。ジョーという異分子が屋敷にやってこなければ、彼がノーマにかけ続けた魔法はまだもう少しは効力を保ったかもしれないし、それでもいずれは破綻するしかなかったのかもしれません。実は彼はノーマをスターに押し上げた映画監督で、ノーマの最初の夫でもあった人なんですが、たぶん今のノーマにはそんなことも全部わからなくなっているんだろうなと思うと大変切ない。ラスト、詰めかけたマスコミを映画のスタッフだとノーマに思い込ませたのが彼の最後の魔法であり、ノーマを完全に狂気の世界に追いやってしまうきっかけでもあったのでしょうね。泣き崩れるマックスの姿が本当に痛々しくて…ていうかマックス、おいしい役だな!

この機会に、映画版を観直してみようと思います。舞台と違って映画はアップになるので、とにかくノーマの顔が怖かった覚えがあるんですよ…くわっと目を見開いて首を振り立てる様が、なんかこうホラーじみてて…うん、今度観てみます。

スポンサーサイト

 | ホーム |  »

プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

カレンダー

06 | 2015/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

カウンター

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

リンク

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。