瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2014年12月07日  

ファースト・デート。

2014 - 12/07 [Sun] - 03:04

観てからちょっと日数があいてしまいましたが、ミュージカル「ファースト・デート」を観てきました。シアタークリエにて。私が観たのは千秋楽の一日前だったかな? 楽しかったー!! アメリカのテレビドラマ「ゴシップガール」を書いた人の脚本だそうで、ノリが確かにアメリカのドラマ。「ゴシップガール」は見たことないんですが、昔大好きだった「アリーmyラブ」を思い出しました。しかも、キャストが素敵! 中川晃教くん、新妻聖子さん、藤岡正明くん、古川雄大くん、未来優希さん、昆夏美ちゃん、そして今井清隆さん!! その上、演出は山田和也さん!! 歌の上手い人ばかりな上に、とっても笑える素敵コメディ。大好きです。
というわけで感想です。ネタバレしますよー。

舞台となるのはニューヨークのとあるレストランバー。そこに、ばりばりに緊張した様子のスーツ姿の男性、アーロンが現れます。バーカウンターの椅子をじっと見つめ、二つの椅子の距離を狭めてみたり、もっと狭めてみたり、やっぱり置き直そうと思ってひっくり返してしまったり、慌てて倒れた椅子を起こそうとしてもう一つのもひっくり返してしまったりと、とにかく様子のおかしい彼。店のウェイターが心配して話しかけると、彼はこれからここで初対面の女性と「ブラインド・デート」をすることになっているのだそうです。やがて現れたケイシーこそがアーロンの今日のお相手。いかにもお堅い感じのアーロンに対し、パンクでファンキーな格好のケイシー。どう見ても合わないでしょうこの2人! でもまあせっかくだからと話し始める2人。出身はどこ? 共通の知り合いはいるかな? ユダヤ人? カトリック? 今まで付き合ってきた人はどんな? 今までどんな悪いことしてきた? 話すうちに、2人の頭の中には、身内が、友人が、かつての婚約者が、かつての恋人が、はては未来に生まれるかもしれない息子までが次々現れ、アドバイスやら文句やらを言い始めます。どう見ても合わない相手、でもなんだかちょっと気になる…さあ、はたしてこの二人の「ブラインド・デート」はどんな結末を迎えるのでしょう!?

開演前のアナウンスが楽しかったです(笑)。キーヨさんと中川くんの美声コンビがやってたんですが、キーヨさんの丁寧な説明にいちいちくどくどとからむ中川くん。でも撮影機材の持ち込みに関しては二人声をそろえて「(もし見つけたら)ぶっ壊します!!」と…(笑)。あと、売店で売ってるチーズケーキが美味いよとお薦めする中川くんの「チーズケーキチーズケーキ♪」というのが大変可愛かったですね。それにしても2人とも本当にいい声してますねえ。
このお芝居、ちょっと面白い作りになってまして、メインキャラであるアーロンとケイシー以外の役者さんは、一応メインの役はあるとはいえ、シーンによってくるくると役柄を替えて様々なキャラクターに変わるんです。基本はレストランの従業員だったり客だったりするんですけど、突然親友や元婚約者になったり、祖母になったり、想像上の父親やら息子やらになったり、心の声になったり。その度、衣装や小道具も変わるので、役者さん達大変だったろうなと…公演パンフのキャストトークで「舞台上にいながら出トチリしそう」とありましたが、確かにそう。ついさっきまでレストランの客としてにこにこしながら食事してた人が、いきなり立ち上がって全然別の人になるわけですから。でもそのうち、誰がどのキャラに変わるか予想がついてくると、役者さんが準備し始めた段階で「くるぞくるぞ」と期待し始めてしまったり(笑)。なのに絶妙のタイミングでその期待を裏切ってくれたり(笑)。

いかにも真面目で不器用な感じのアーロンを演じたのは中川晃教くん。ぱたぱたというよりはひらひらという感じにものすごい速さで動く手が印象的(笑)。アーロン、面白かった…ああこんな知り合いいたなあ、という感じで(笑)。もう、とにかく不器用! ありとあらゆるやる気が空回り!! ケイシーと出会った後も、「何か話さなくちゃ」という感じが満々なのに、何を話してもドツボにはまっていくという(笑)。もしかして一か所、台詞を言い間違えたのかな? わたわたしてたところがありましたが、それはそれでとてもアーロンっぽかったです。割と初めの方のシーンで一度上着を脱いだんですが、もうその時点でシャツが汗でびっしょりでしたね! ケイシーに「私、あなたとはいいお友達になりたいわ」と言われて絶望するアーロンがすごく笑えました。昆ちゃんと未来さんがその瞬間いきなりメガホンを取り上げ、「お友達ゾーンに置かれた男は一切の性的サービスを彼女から受けることはできません」といった内容の(おそらくアーロンの脳内に流れてると思われる)アナウンスをするんですが、なんつーかこう、わからなくはないけどどーしよーもないな男って!!(笑)その後、ショックのあまり一度トイレに消え、戻ってきてからはひたすらにケイシーのことを「友よ!」と呼ぶアーロンに大笑いしました。中川くんの「友よー」の言い方がすごく面白くて。なんという美声の無駄遣い!(笑)
パンクでファンキーで芸術家肌なケイシーを演じたのは新妻聖子さん。この人も本当に歌が上手い。初めて観たのは「国民の映画」の初演かなあ…きりっとした美人の印象があったので、今回のお衣裳には度肝を抜かれました。脚丸出しなパンクスタイル! でも本当に美人でスタイルが良いので、なんかお人形みたいでしたね。ケイシーも面白かった! いきなり「私、実は10歳の息子がいるの。今でもおっぱいをあげてるのよ」と言い出し、アーロンが心底戸惑う姿を堪能した末に「冗談よ」と種明かしし、アーロンがほっとして「そうだよね、いるわけないよねー」と言った瞬間に「本当はいるのー!!(泣)」と泣き崩れたり(いや、それも冗談だったんですが)。ブラインドデートどころかデートそのものに慣れてなさそうなアーロンに比べて、大抵の悪いことは経験済みといった雰囲気のケイシー。でもやっぱりどこか知的に見えるのは新妻さんだからでしょうか。いかにも奔放な感じのケイシーが、頭の中で姉と対話するシーンはちょっと泣けましたね。家族に対してさえ心を開かないケイシー。そんなケイシーを案じる、ケイシーとは対照的な姉のローレン。ケイシーがこんな風になったのには両親の離婚があったからのようで。ケイシーが歌う「傷つかない」がすごく素敵でした。CD欲しいくらい。

藤岡正明くんは、メインの役どころはアーロンの親友のゲイブ。真面目なアーロンとは正反対の超肉食系(笑)。でもなんだかとっても面倒見が良さそう。アーロンが元婚約者のアリソンのことを思い出しそうになる度に「馬鹿!」「死ね!」と罵りつつも、アーロンをフォローしようとするという。あと、アーロンとケイシーが無茶苦茶気まずい雰囲気になった瞬間に藤岡くんがいきなりギターを持ち出してサイモン&ガーファンクル風の歌を歌い出すシーンが、死ぬほど面白かった…本当に死ぬかと思った、笑いすぎて! またこのときの藤岡くんの顔が面白すぎた…なかなかの顔芸でしたね。
昆夏美ちゃんは、メインの役どころはアーロンの元婚約者のアリソン。これがまた滅茶苦茶面白い(笑)!! 男を手玉にとってもてあそぶ小悪魔!! 結婚式当日に姿を見せず、やっと見つけたと思ったら「アーロぉン、ごめんねぇ…でもぉ…やっぱ無理!!」と核弾頭ぶつけるかのような勢いでアーロンをふった女!! ベッドに誘おうとしたアーロンを白目剥かんばかりの顔で矯正器具つけた前歯をぎらぎらさせながら「はーい駄目ぇ!」と断る様がすごかったです。昆ちゃん、こういう強烈なキャラ似合うなあ…「アダムス・ファミリー」のウェンズデーのときも思いましたけど、見た目が無茶苦茶可愛い分、余計に面白い(笑)。もうね、昆ちゃんがアリソンになるために立ち上がって上着を脱ぎ始める度に「アリソン、アリソンくる!!」とすごくわくわくしましたもん。他の役も面白かったですね、皆してユダヤ人の帽子かぶって長い髭つけるシーンはなかなか衝撃的でした。昆ちゃんに髭!! オカリナ吹きまくる様も笑えました。グーグルガールも可愛かったです。黄色い衣装、そして可愛いけどそこはかとない悪意を感じる検索マシンGoogleの化身(笑)。
未来優希さんは、メインの役どころはケイシーの姉のローレン。あと、アーロンの亡くなったお母さん役もされてましたね。未来さんもすごく歌が上手い…そしてお芝居も上手い…亡くなる前にお母さんがアーロンに手紙を書くシーン、泣けました。ケイシーの告白を聴きながら辛そうな顔でじっとうつむく様とかも。でも、私の記憶の中ではまだ「レディ・ベス」のメアリ女王を演じてらした姿がとても色鮮やかなので、そんな未来さんがレストランの客として古川くんとにこにこと向かい合ってる様を見ると「ああ、よかったねメアリ、旦那様とラブラブできてるよ!」と微笑ましく思ってしまったりもしました。冒頭のシーンで未来さんが誰とも知れぬブラインドデート参加者の女性を演じてらしたシーンも面白かったですね。「私、カトリックだから、婚前交渉はできないわ! でも…ここに書いてあることは全部できるー!」とものすごいたくさん書き込みされた紙をばさあっと広げるという…おいこらその紙ちょっと見せてみろと思いました(笑)。
そして古川雄大くん。「レディ・ベス」では悪魔的で美しいスペイン皇太子フェリペを演じてましたが、今回のメインの役どころは、ケイシーの友人のゲイのレジー(笑)。ブラインドデート中のケイシーのところに何回も電話をかけてきて、その度留守電になってることにキーキー騒ぐ(笑)。古川くんはそりゃもう見目麗しい方で、手足は長いわ顔は小さいわと、少女マンガから抜け出してきたんだろうかという感じなんですが、そんな方が内股でちょこちょこ歩きながら甲高い声でオカマさん言葉で歌いまくるという! 何だこれ面白すぎる(笑)!! 三回めの電話のときに、どうしても電話に出ないケイシーに痺れを切らせてバックミュージックを止めろと叫びだすレジーがなんだか色々すごかったですよ。こんな古川くん初めて観た! そこからしばらく音響さん相手にわめき、ケイシーはまさか今頃悪い奴にさらわれてるんじゃだろうかと妄想を爆発させ、今すぐレストランに向かわなきゃと慌てだす一連の流れも大変面白かったんですが、その後爆弾がきた…レジーは電話を切る前に必ず「じゃあね、ビッチ!」だの「じゃあね、ヤリマン!」だのと言い残すんですが、この三回めの電話のとき、盛大に噛みまして(笑)。「じゃあね、レロレロレロレ!」とものすごい大きな声で…何が起きたのかと思いましたよ、お前は岡江久美子さんか!! 「もう一回言い直すわよ、いい、言い直すわよ…じゃあね、どブスちゃん!」と割と平然と立て直してましたが、レジーが喋ってる間静止してる他キャストが必死に笑いをこらえてましたよ! なんという破壊力!! ああ、私の頭の中であの美しいフェリペががらがらと音を立てて崩れていきましたよ…(笑)。

そしてそして、今井清隆さん演じるウェイター!! キーヨさん大好き! いい声! そして面白い!! 面倒見が良くて、ちょっとおせっかいで、アーロンとケイシーの会話を盗み聞きしつつ、アーロンがあまりにも駄目なことをすると両手で×印を作って見せたりするウェイター。ケイシーがとんでもないことを言い出した瞬間持ってたトランプをばらまいちゃったり、アーロンが吹きだしたビールを慌てて拭きに行ったり、なかなかに忙しい。しかも、アーロンやケイシーが脳内キャラとお話してる最中は他キャストは全員静止してないといけないんですが、このときのキーヨさんの静止ポーズがなかなかに辛そうで。モップ構えて不自然に体を曲げてたり、トランプを拾おうと前屈した姿勢のままストップしたり。この前屈姿勢から復活した直後は台詞言いながらぜーはーしてましたね(笑)。ウェイターがいきなり一人ミュージカルを始めるシーンでは、さすがの美声を響かせていらっしゃいました。あと、ケイシーの脳内キャラの一人、セラピスト役がすごく面白かった(笑)。瓶底丸眼鏡かけて「ナンダカンダナンダカンダ」しか基本言わない(笑)。「ナンダカンダナンダカンダ、200ドルになります!」が決め台詞なセラピスト。

ラスト、アーロンとケイシーは結局いい感じにまとまりそうな雰囲気で終わるんですが、その余韻を吹っ飛ばす衝撃の展開がさらに。なんと、ウェイターとレジーがくっつくという(笑)。ケイシーを探してレストランに乗り込んできたレジーがあまりにぜーはーしてるのでとりあえず椅子を勧め、その後自然と見つめ合う2人。レジーは左斜め下に足をそろえて座り(女子アナか!)、なぜかウェイターも右斜め下に足をそろえて腰掛け…すっと片手をのばして「アタシ、レジーよ」と名乗るレジー。その手を取りながら「私は…今、フリーです!」と答えるウェイター! え、それでいいの!? いや、いいけどさ、なんでもいいけど愛が欲しかったのかもしれないけどさ!(笑)
というわけで、大変笑えて満足度の高いミュージカルでした。こういう現代ミュージカル、もっと増えるといいなあ。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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