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十年経つとこうなるかあ…。

2014 - 04/21 [Mon] - 01:13

日生劇場で上演中の「ラブ・ネバー・ダイ」を観てきました。
あの有名な「オペラ座の怪人」の、十年後の物語でございます。正編である「オペラ座の怪人」の方は、ジェラルド・バトラー主演の映画版も大好きですし、オリジナル・ロンドン・キャスト版のCDも持ってるし、25周年記念公演のDVDも勿論持ってて、四季版は四季好きな友人に連れられて一度だけ観に行き、あとはニューヨークでも観てる…というくらいにはファンです。はい、大好きですあの作品。
で、それに実は続編があるんですよーというのはなんとなーく聞いてはいたんですが、「何で続編作っちゃったのという感じのストーリーだよ」という噂だったので、「ラブ・ネバー・ダイ」も実は最初観に行くのをちょっとためらいました。何しろ「オペラ座の怪人」があまりにも綺麗に終わってるじゃないですか、「えええー…」な続編だったらちょっとなあ、と。でも、市村さんのファントム観たいなあ濱田めぐみさんのクリスティーヌ観たいなあ、とキャストにひかれて観に行ってしまいました。そしたら貴女、これがまたすごいミュージカルだったんですよ!!
というわけで、感想です。ネタバレしますよー。

パリ・オペラ座での事件の後、ファントムはマダム・ジリーとメグ・ジリー母娘の助けでアメリカに渡り、コニー・アイランド一帯の興行主として財を築いていました。が、ファントムの心はいまだにクリスティーヌの歌声を求めています。どんなに美しいメロディーを思いついても、誰にも歌えない。それを歌えるのはクリスティーヌだけ。ついにファントムは、クリスティーヌをアメリカに呼び寄せてしまいます。事件の後、ラウルと結婚し、息子にも恵まれ、パリでプリマドンナとして大活躍していたクリスティーヌですが、酒とギャンブルに溺れたラウルが多額の借金を作り、その返済のためにニューヨークでのコンサートを決めたのです。ファントムは事件のときに死んだと信じていたクリスティーヌは、ニューヨークで自分を待っているのがあのファントムだなどとは夢にも思っていませんでした。そんな彼女の前に現れるファントム。彼は「どうか一曲でいいから歌ってほしい、歌わなければお前の息子を消す」と彼女を脅し、譜面を渡します。
コンサートが始まるまでの間、ファントムはクリスティーヌの息子グスタフに手をのばします。最初は彼女に圧力をかけるため、けれど彼は気づいてしまうのでした。グスタフには音楽の才能がある。そう、自分と同じ才能が! グスタフが自分の子であることにファントムが気づいた瞬間、それこそが、新たな悲劇の幕開けとなるのでした…。

このお芝居、ほとんどの主要キャストがWキャストになっています。私が観た回は、ファントム:市村正親、クリスティーヌ:濱田めぐみ、ラウル:橘慶太、メグ:彩吹真央、マダム・ジリー:香寿たつき、そしてグスタフ:山田瑛瑠。
冒頭、作曲を続けながらもクリスティーヌを求めて苦しむファントムの姿にまずやられました! ああ、市村さんの歌は本当にいつ聴いても魂の叫びのよう。あふれ出るパッション! 肌がびりびりしましたよ。そしてコニー・アイランドのホテルで一人になったクリスティーヌのもとにばーんと現れるファントムのかっこよさ!! うわあ痺れる! たまらない!! それに続くクリスティーヌとのデュエット「月のない夜」がとても素敵でした。しかしファントム、まあ艶々した黒髪だことと思って見ていたら、そういえばこの人ヅラだった…ヅラの下は禿げ散らかってた…あのねファントム、仮面とるついでにヅラまで取らんでも良いと思うのです私。「本当の私の姿を見て、それでも拒まずにいてほしい!」というあなたのお気持ちはわかりますが、あなたのそのお姿はお子様にはちょっとばかり刺激が強すぎましてよ…。
濱田めぐみさんのクリスティーヌは、大変美しかったです。初登場シーンの、真紅のドレスに白の毛皮の衣装がもう本当に素晴らしい。その後の純白のドレスも大変お似合いでしたし、コンサートシーンの孔雀ドレスも綺麗でした(でもクリス、本番5分前まで貴女白のドレス着てませんでしたか…あの後急いで着替えたんですか、そうですか)。なんとなく濱田さんというと強い女性のイメージが強いんですが、今回のクリスティーヌはそれはもう女性らしく、母親らしい。そして、なんて輝かしい声!! 日本人離れした声量、一度聴いたら忘れがたい艶のある声、今回披露されたソプラノヴォイスもなんて綺麗! 本当に素晴らしい女優さんだと思います。
それにしても、「オペラ座の怪人」を観たときには私、ファントムとクリスティーヌの間にあるのは音楽を通した思慕の念であり、男女間の恋愛はラウルとの間にしかなかったんだと思っていたんですが、続編のこちらではクリスティーヌとファントムはしっかり愛し合っていたらしい! まあ、息子ができちゃうくらいですからね…まさかミュージック・オブ・ザ・ナイトを歌ったあの晩にそういうことをなさってたんですかあなた方…いや、いいんですけどね…。

ラウル役の橘慶太くんは、今回が初ミュージカルだそうで。ミュージカルの歌い方に慣れてない感じはありましたが、二幕冒頭の「負ければ地獄」は市村さんを相手に一歩も引かず、実に見事な歌いっぷり。お芝居も良かったです。最初はあまりのやさぐれぶりに「この10年の間に何があったラウル!? あんなにきちんとした人だったのに!」とびっくりしていたのですが、芝居が進むうちに、なんとなく彼がなぜこうなったのかが透けて見えてきて。愛するクリスティーヌを妻にできたとはいえ、彼には音楽の才能はないわけで。ファントムのように彼女と音楽の世界で羽ばたくことは彼には決してできず、その上、彼女がファントムを愛していたことにもたぶん彼は気づいていたのだろうと思うと…ああラウル、あなたも辛かったんだね! という感じで。ラウルがどうしてこんなに落ちぶれたのかについての説明はお芝居の中ではほとんどないんですが、そんな想像をさせてくれた橘くんの演技に拍手を贈りたいです。あと彼、大変ハンサムですね!
マダム・ジリー役の香寿たつきさんは、素晴らしい迫力。ファントムのために10年尽くしてきたというのにクリスティーヌとその息子の登場で全てを奪われることになると気づいた彼女の一幕ラストの叫びはすごかった!! フリークス達を閉じ込めた柱に囲まれて、まるで彼女自身がフリークスになってしまったかのようでした。
メグ・ジリー役の彩吹真央さんは、スタイルの良い美人さん! 日本人でこれだけナチュラルに金髪巻き毛が似合うというのもすごいですね。彼女が歌って踊るショーのシーンは、とても楽しかったです。特に「水着の美女」が可愛くて!
マダムとメグは、とてもとても切ない役回りでした。特にメグがねえ…ファントムに認めてもらいたくてものすごく頑張って歌って踊って、毎公演終わるごとに出来栄えを反省して、ついに満足のいく舞台を終えて「あたしやっと彼に認めてもらえる!!」と思ったのに彼はその舞台を観てすらいないという。しかもメグは、どうやらファントムの興行を支えるために、街の有力者達と寝ることまでしてたようで…そうまでして尽くしたのに、彼女は結局クリスティーヌに負けてしまう。「負ければ地獄」は何もラウルだけではなく、メグもまた同じ立場だったという。ラストの彼女の壊れっぷりはあまりにも悲しくて辛くて…でもまさかあんな展開になるとは思いませんでしたよお嬢さん!! グスタフを殺そうとしたメグが持っていた銃で自殺を図り、でもファントムの説得でなんとか銃を下ろしたと思ったら、ファントムがうっかりクリスティーヌの名前を口にしちゃったものだから「いつもクリスティーヌばっかり!!」とばーんと銃を…そして弾はなんとクリスティーヌに命中…えええ、死んじゃうのクリスティーヌ!! ちょっとびっくりな展開でしたよこれ!! ああこれが「何で続き作っちゃったの」と言われる所以か、誰にとっても不幸な展開だからか!! 軽く呆然としつつも、市村さんの慟哭が無茶苦茶胸にきて、泣いてきました、はい。
たぶんこのお芝居、彼らがどのように十年を過ごしたのかを想像すればするほどに深みを増すのだと思います。クリスもメグもマダムもラウルもファントムも、「オペラ座の怪人」の後にそれぞれの人生を歩み、再び出会ってしまったがゆえに様々なものが狂っていったのだなと。愛は死なないけど、でも必ずしも幸せの薬ではないのです。

とはいえこの舞台、観に行って良かったなあとしみじみ思えたのは、役者さんの演技や歌もさることながら、舞台美術の素晴らしさも大きいです。もうね、本当にゴージャス! 特にコニー・アイランドのシーンはどれも素晴らしい。化け物ばかりがくるくる回るメリーゴーランド! 人魚や妖精、様々な化け物を閉じ込めたミラーグラスの三角柱! 悪夢のような美しさ。行ってみたいよこんな遊園地! 案内役として登場する三人のフリークスもすごく良かったです。あ、でも、ファントムの顔を模したようなあの巨大なゲート型のセット…仮面部分の汚しが、ちょうど鼻の孔から幾本も黒い筋が伸びる形になってて、「…鼻毛?」と思ってしまいましたすみませんごめんなさい。

ファントム役Wキャストの鹿賀さんの体調が不安ですが、追加公演も決定してることですし、まだ観ていない方はぜひ劇場へ! とても贅沢な時間が味わえますよ!

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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