瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2013年08月13日  

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やっぱり好きだなあ。

2013 - 08/13 [Tue] - 15:22

帝国劇場で上演中のミュージカル『二都物語』を観てきました。帝劇スペシャルイベントやら浦井教授のお講座やら雑誌記事やらで事前情報だけどんどん入れてたんですが、やっと観られました! 大好きな役者さんがたくさん出ているというのを抜きにしても、本当に素晴らしいミュージカル。歌も芝居もすごく良かった! というか、このキャスト版でCDが欲しい…。
というわけで、感想です。例によってネタバレしますよー。

ディケンズの『二都物語』をもとにしたミュージカルです。18世紀後半のパリとロンドンを舞台にした物語。叔父のサン・テヴレモンド侯爵の暴虐非道ぶりに反発したチャールズ・ダーニーは、家名を捨て財産も放棄し、フランスからイギリスへと渡ります。その船の中で出会ったのが、ルーシー・マネットというお嬢さん。彼女は17年間バスティーユに投獄されていた父と共にロンドンへと戻るところ。船の中で、ダーニーはルーシーに恋をしました。けれど船を降りた途端、叔父の仕掛けた罠により、ダーニーは逮捕されてしまいます。そのダーニーを救ったのが、酒浸りの弁護士シドニー・カートン。ダーニー、カートン、ルーシーの3人は徐々に親交を深めていきます。そしてあるクリスマスの朝、ダーニーはついにルーシーにプロポーズ。けれどその直後、カートンもルーシーに告白。カートンは二人のことを想って身をひき…しかしダーニーとルーシーの家に入り浸る(笑)。やがて生まれた二人の娘が完璧にカートンに懐き、彼女を寝かしつけるのがカートンの仕事になるくらい、とにかく二人の家に常にいるカートン。もはや家族です。どっちがパパかわかりません。でも皆、とても幸せに暮らしていたのです。
けれどそこへ届く手紙。デヴレモント侯爵が民衆に殺害され、かつての使用人がダーニーに帰国を求めたのです。帰らなければ、その使用人が殺されてしまう。彼を助けるためにダーニーは帰国しますが、フランス革命で蜂起した民衆にあっという間に捕らえられ、死刑判決を受けてしまいます。悲嘆に暮れるルーシー。そしてカートンは、ダーニーを救うためのたった一つの方法を思いついてしまうのでした…。

原作ではカートンとダーニーは瓜二つという設定のようですが、今回の舞台ではその設定はとりあえず脇にやられているようですね。カートンを演じた井上芳雄くんとダーニーを演じた浦井健治くんは、背格好こそ同じですが、確かにお顔立ちは全然違う。でも、鵜山さんの演出では、「2人は鏡のような存在。立場が違うだけで、本当は同じような人間」「DNAレベルでわかりあってるような感じ」とのことなので、向かい合って話しているシーンなんかでは不思議なくらい似て見えることもありました。

井上くんのカートンが、とにかく素晴らしい。初登場シーンからして二日酔いでべろんべろんのぐでんぐでんなんですが、そんな自堕落な男が初めて恋を知り愛を知り、ついにはそのために己のすべてを捧げてしまうという。監獄にいるダーニーと自分が入れ替わればいいんだと思いついた後のカートンがバーサッドの前でわざと陽気におどけてみせるシーンが、もう泣けて泣けて。あんたそんなあっさり自分の命を捨てる決意をしないでよ! でもカートンにとってはそれが至極当然のことだったんですよね…家族というものを知らなかった自分に家族の絆をくれたルーシーとその家族のために、当たり前にできること。「私たちは奇跡の時代には生まれなかった」と嘆くロリーに向かって「一人の命でたくさんの命が救われる。それは十分奇跡だとは思いませんか?」と言うカートンの口調がとても穏やかで、ああこの人はなんて人なんだろうと。勿論、カートンが犠牲になることでダーニーやルーシーはひどく悲しむのでしょうけれど、でもこれしかもう方法はなくて。「これは僕が今までしてきた何よりもずっとずっと良いことなんだ」というカートンの台詞が、本当に澄み切った表情で言われる分、無茶苦茶胸にきました。ああ、なんていい男なんだ! 
それにしても井上くん、脚長いなあ…今回最前列からの観劇だったんですが、やっぱり大変かっこいい人ですね! この人の歌と演技でカートンを観られたのがとても幸せに思えます。酔っぱらった演技も面白かったです。あと、ルーシーにスカーフをもらった時、それがリボンの形に結ばれてたのでものすごく不審げな顔で「んっ? …ああ、こうすればいいのか」とほどくときの表情とかも(笑)。

浦井くん演じるダーニーは、馬鹿正直で真面目な人。そしてノーブルでかっこいい! でも、侯爵が彼に「シャルル」と呼びかけたときに、一瞬頭の中にシャルル・ド・ボスコーニュ殿下の面影がよみがえりかけて困りました(笑)。駄目駄目シャルル殿下のことは今は思い出しちゃ駄目! 
しかしこのお芝居、本当に展開が早い! ダーニーが侯爵と決別してだーっと下手に走ってはけて、そのすぐ後に上手から出てきたときにはもうドーバーに着いてて、しかもすでにルーシーと出会って一目惚れした後でついでに風邪までひいてる! くしゃみ連発する様が可愛い(笑)。ルーシーにプロポーズするシーンの目一杯挙動不審な様も可愛かったです。でも、ダーニーが面白い芝居をするのはそのくらいで、今回の役は本当に真面目。井上くんが「この人、今回の芝居ではほとんどボケないんですよ!」と言うのも納得なほどボケない! いや当然ですけど! ダーニーの歌もすごく好きです。よく響く低音も、きれいにのびる高音も、本当にきれい。トークイベントで「歌い方を色々変えてます」と言っていたので注意して聴いていたんですが、確かにシーンによって歌い方が全然違ってましたね。そしてどの声も素敵。カートンとのデュエットが私は一番好きです。シーン的にも泣けるところなんですが、なんかもうあの優しい歌い方が! リトル・ルーシーの幸せを2人して願ってる様が! 胸にじんわり沁みて、涙が出ましたですよ。
カートンが牢獄に来たときのシーンも、なにせDNAレベルで分かり合ってる2人なので、ダーニーがすぐにカートンの意図に気づいてしまう様がとても悲しい。カートンにコートを着せられたときに、ふっとダーニーの表情が止まって、「ああこの人は今、カートンが何をしようとしてるのかはっきりわかっちゃったんだな」というのがわかって。その後カートンに遺書を書かされるシーンでも「一体何をやらせるんだよお前は」と台詞では言いつつも、何度か泣きそうな顔をするダーニーが無茶苦茶可哀想。立場が逆だったら同じことをダーニーもしたのでしょうが、それでもやっぱりダーニーは、自分が死んでカートンにルーシー達を託したかったのでしょうね。「君はルーシーを愛してるんだろ」と尋ねるダーニーに、「いいや」ときっぱり答えるカートンがまたいい。あれは「俺に彼女を託すのではなく、お前が彼女の元に戻るんだ」というカートンの決意の表れなのでしょうね。薬を嗅がされて倒れるときの「カートン!」というダーニーの悲痛な叫びが痛かったです。でもその後、井上くんの腕の中で浦井くんがこの芝居中唯一の幸せを感じてるのかと思うとちょっと笑える(笑)。
 
ルーシー役のすみれさんは、大変美しくてドレスが似合う! とても背の高い方なので、180センチくらいあるはずの浦井くんや井上くんと同じくらいの背丈なんですが、でも本当に綺麗。歌声も若干厚みに欠けるとはいえよく伸びていたと思います。こういうドレスを着る役でもっと観てみたい方だと思いました。ルーシーは自分の周りの人々全てを愛し、赦す役。自堕落な生活をしていたカートンに「もっと自分を大切にしてほしい」という気持ちを込めてスカーフを贈るシーンが好きです。ルーシーを守ろうとするダーニーをルーシーは愛し、でも同時にルーシーはカートンを守りたかったのかなと。そしてカートンは、ルーシーのこともダーニーのこともリトル・ルーシーのことも守りたかった。三角関係とはちょっと違う、素晴らしい関係性の三人だったのだなと思います。

そしてドファルジュ役の橋本さとしさんと、マダム・ドファルジュ役の濱田めぐみさん。さとしさんもかっこいい…かっこよすぎた! 衣装はぼろぼろでもかっこいい! 華のある人ですよね、本当に。マダム役の濱田さんの迫力もすごい。家族をすべて侯爵に殺され、侯爵の一族全てに対して憎しみを燃やすマダム。「明日が来ても終わらない、あいつが死んでも終わらない!」と叫ぶマダムに向かって「じゃあ、いつ終わらせるんだ! あいつで終わりにしろ、終わらせなければならないんだ!」と叫び返すドファルジュのシーンがすごく好きです。濱田さんの歌声もすごいですよね…浦井くん曰く「ちょっとイッちゃってる感がある」とのことでしたが(笑)、声の厚みといいのびといい表現力といい、ものすごいものが。結局自滅してしまったマダムをぎゅっと抱きしめるドファルジュの表情も良かったなあ…二幕は泣きどころだらけですよ。

今井清隆さんのドクター・マネットも、岡幸二郎さんのテヴレモンド侯爵も、とても素晴らしかったです。岡さんの存在感すごい! 今井さんの歌声すごい! 歌の上手い人が多いカンパニーですよね…だからぜひCDが欲しいんですけど駄目ですか東宝さん!?
あと、福井貴一さん演じるバーサッドがいい味を出してたなあと。小悪党なんですけど、カートンが自分の身を犠牲にするつもりなんだと気づいた後のバーサッドが、「あんた何でそんなことを!」という気持ちを台詞の前半ににじませつつ、後半は「いやいや俺は小悪党ですからそんなことで怒ったりしませんよ」と軽い口調にすりかえる感じが、ああ結局こいつもいい奴なんだなという感じで。好きですこのキャラ。

カーテンコールでは皆様大変仲良しな感じが見えて、微笑ましかったです(笑)。何度か皆で出てきて、最後は井上くんと浦井くんの二人だけで登場。浦井くんが「てぇいっ!」という感じにぐるんと片足を上げて回し、StarSのしがらみポーズにも似た動作で体をひねってジャンプ! そんなことしたらまたズボン裂けますよ!? そして満面の笑みのまま走って袖にはける浦井くん。一人残された井上くんは釈然としない顔で首を振りつつ、歩いて袖へ。でもはける直前に立ち止まって、いきなりいい笑顔で浦井くんのごとくジャンプ! StarS兄弟、仲良しでいいな!

『二都物語』、もう一回観に行く予定です。私このお芝居本当に好きです…。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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