瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2013年07月09日  

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断色。

2013 - 07/09 [Tue] - 00:41

関東梅雨明けしましたね。滅茶苦茶暑い!! かき氷が食べたくなりますね。あとホラー映画が観たくなります。これまでなんとなく観そびれてた『コワイ女』をHuluで先日鑑賞したんですが、面白かった…特に第二話の「鋼-はがね-」が素晴らしい出来で。香川照之さん、柄本佑さんとなにげにいい役者さん使ってる上に、とにかく話がシュールで面白い。頭から袋かぶった謎のハガネちゃん(素晴らしい美脚)にあなたも惚れること間違いなしです(笑)。

それはともかく、青山円形劇場で『断色~danjiki~』を観てきました。堤真一さん、麻生久美子さん、田中哲司さんの3人芝居。公式サイトのトップがなかなかに怖いので、リンクを貼ってみました。迫ってくる上にまばたきもするんですよ!!
というわけで、感想です。ネタバレしますよー。

近い未来のお話です。環境汚染が進んだのか、世界はだいぶ荒廃している様子。作物は主に工場でクローン技術を使って作られているのですが、そんな中、自然農法により農作物を育てている男が1人。名前は小杉保。ある日、保のもとに、保険外交員の刈谷がやってきます。先日亡くなった保の母は、クローン保険に入っていたのだというのです。もしもの際に臓器の代えがきくようにと。移植手術は成功したものの、その後の合併症で母は死に、あとには母のクローンが残された。刈谷は保に尋ねます。「クローンは処分しますか、それとも解放しますか?」亡くなった母よりずっと若い、母のクローン。保は彼女を引き取り、母の名前が朝子だったことから、夕子と名付けて共に暮らすことに。けれどクローンは、オリジナルに臓器を提供するためだけに存在していたもの。ゆえに家事もできず、仕事もできない。そんな彼女に、保はこう言います。「何もできないなら、借金取りを追い返してよ。ナイフを持って、脅してやればいい。何なら刺したってかまわない」とても気安い気持ちで、保は続けます。「一人なら殺しても大丈夫、死刑にはならないからさ」…この台詞が孕む意味も知らずに。

青山円形劇場。初めて行ったんですが、小さいんですね…舞台が近い!! 何しろ客席が5列までしかない。円形の舞台を360度ぐるっと囲んで並ぶパイプ椅子。私がいたのは3列目だったんですが、本当にすぐそこに舞台がある。
堤真一さんを舞台で直に観るのは、これが3回目…かな? この人は本当に、かっこいい人をやればかっこよくなり、普通の人をやれば普通になり、駄目な人をやれば駄目になる(笑)。いつ見ても素晴らしい役者さんです。今回演じた保は、割と駄目な感じの人(笑)。何しろ母親のクローンである夕子に借金取りの相手をさせる。夕子がその手段にナイフではなくセックスを選んでも、びっくりはしても止めはしない。徐々に夕子と朝子の区別がつかなくなっていき、夕子が性に耽溺する様に耐えられなくなると、処分を選択してしまう。すごく駄目な部分もあったり、でも優しかったり、少年っぽいところもあったり、面白かったり、ちょっと気持ち悪い部分もあったりと、保というキャラは様々な要素を持っているわけで。それをとても自然に演じて、「ああ人間ってこういう生き物だよね」と思わせてくれるのは、やっぱり堤さんならではという気がいたします。

麻生久美子さんは、舞台で観るのは初めて。「泣くなはらちゃん」が大好きだったので、今回観るのをすごく楽しみにしていました。生で見た麻生さんは、とってもきれいでかわいくて。なのに、そんな人になんちゅー下ネタを言わせるのかこの芝居!!(笑) 美味しいお菓子の話でもするかのようにものすごい単語を笑顔で並べてたてる麻生さん。それを聞いてたじたじになる堤さん。はい、面白かったですあのシーン(笑)。
オリジナルに代えの臓器を提供するためだけに、つまりただ死ぬためだけに生きてきたクローン。楽しむことも知らず、感情表現も知らず、生きることの意味も死ぬことの意味もしらずに生きてきた彼女が、保のもとでどんどん人間らしくなっていく。それまで無色透明のゼリーしか口にしたことのなかった夕子が、保に勧められて真っ赤ないちごのお酒を飲むシーンが、とても印象的でした。「あかいあじがした」という台詞。そしてその後の、保が言った「一人なら殺しても大丈夫」という台詞を繰り返すシーン。得体の知れない不気味さを感じさせて、ちょっと鳥肌が立ちました。いい女優さんだなあ。大好きです。

そして、刈谷役。田中哲司さん。テレビで映画で本当によくお見かけする方。この方も大好きな役者さん。生で見るのは『港町純情オセロ』に続いて2回目。オセロのときにしみじみと「わあ、この人かっこいい」と思ったのを覚えています。あのときも悪役でしたが、今回の刈谷はとことん最低の奴でしたね!(笑)こんなにきれいでかわいい麻生さんになんてことするんだ貴様は!! でも、私やっぱり田中さん好きだなあ…テンション高い台詞回しといい、動き方といい、とにかく面白いし上手い。ものすごく憎たらしい役なんだけれども、その憎たらしさに説得力があるというか、業を感じさせるというか。いいなあ、大好きだなあ。

コミカルな部分も多いんですが、後半にいくにつれて話はどんどん悪夢のようになっていって。保の前に今いるのは朝子なのか夕子なのか、父の死因ははたして何だったのか、「一人なら殺しても大丈夫」と最初に言ったのは誰だったのか、そして己の正体は。小さな舞台の上で繰り広げられる濃密な物語はやがて血にまみれ、世界は灰色一色に染まっていく。大変面白い芝居でした。観に行けて良かったです。

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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