瀬を渡り水の向こうへのナビゲーター   topページ > 2012年06月24日  

観劇はしごその1。

2012 - 06/24 [Sun] - 20:02

というわけで、はしごしてきました劇団☆新感線「シレンとラギ」と東宝ミュージカル「エリザベート」。
…やっぱり、お芝居は一日ひとつがよいなあと思いました。なんかもったいないことした気がして!
まあ、ストーリーも余韻も混ざりようのない、タイプの違いすぎる芝居だったんですけどね。

観た順番に、まずは「シレンとラギ」の方から感想など書き残しておこうかなと。
例によってネタバレいたしますよー。

北と南に二つの王朝を持つ国での物語でございます。北には幕府、虫大好きなうつけ者ギレン将軍の下で、執権モロナオが好き勝手に権勢をふるっています。南にはゴダイ大師を教祖とした宗教国家がありますが、ゴダイは二十年前に北の暗殺者に殺され、南の王国の勢いは衰えている様子。
しかし、北の王国の侍所を司るキョウゴク管領は、かつてゴダイを暗殺した毒使いのシレンを、再び王宮に呼び戻し、「ゴダイが生きているらしい」と告げます。密偵からの連絡で判明したと。
シレンは、キョウゴクの息子ラギと共に、今度こそゴダイを暗殺するために南の王国へ。以前からシレンに憧れていたラギは、シレンに対する恋心を募らせていきます。けれど、彼らが南でゴダイ暗殺の機会をうかがっている間に、北では別の騒動が。執権モロナオが、ありもしない罪をでっち上げてキョウゴクを潰しにかかったのです。窮地に立たされたキョウゴクを助けたのは、かつて共に戦った南の武将ダイナンでした。国盗りの野心とキョウゴクへの激しい恋心(!)を胸に、キョウゴクを南へと誘うダイナン。恋心はきっぱり拒否しつつ、南への誘いには乗ったキョウゴク。捨て駒にされたシレンとラギ、明かされる二人の宿命、二つの国の行く末ははたして――……という感じで物語は進んでいくんですが。

というか、ここまでが第一幕なんですよ! 激動の第一幕。そしてさらに激動の第二幕へ。

…なのに、一番印象に残ってしまったのが、橋本じゅんさん演じるダイナンが、古田新太さん演じるキョウゴクに恋心を打ち明けるシーンというのはどういうことか(笑)。
突如紫に変わる照明。もじもじしながら「好きだ」とお花を差し出すダイナン。
ダイナン「子供をー、作ろぉー!!」
キョウゴク「できませんー!! 構造上、無理でーす!!!」
おっさんがおっさんを口説いてましたよ…そういえば、じゅんさんは、「薔薇とサムライ」でも女装好きなヒゲの海賊役をしてましたね…面白すぎですよじゅんさん! そして、じゅんさんの投げキッスを叩き落とした上に踏みにじる古田さんが素敵です。

まあ、そんなおっさんの恋心はともかく、おっさん達の存在感が半端ないお芝居でした。
もう、ゴダイ大師を演じた高橋克実さんが、とにかくすごい。「人は椅子だ、神が座る椅子だ」の教義を掲げ、救いを求める信徒達を殴る蹴る踏みつけにする。けれど、説法する彼の声には確かに力があって、強大なカリスマ性を見せつける。ぎらぎらした迫力、張りのある声、テレビでは情けないおじさんの役の方が多いせいもあってか、圧倒されました。カーテンコールでの拍手も、この方のときが一番大きかったんじゃないでしょうか。
勿論、古田新太さんも素晴らしかったです。多くの若い役者さんが彼に憧れるのがよくわかります。よく響くいい声、明瞭な台詞回し、圧倒的な迫力と存在感。そして殺陣が美しい! あの体型(失礼)なのに、本当に美しい。くるりくるりと流れるように体を回して、刀を繰り出す。ああ本当に、惚れてしまいますよ。

とはいえ、主役はシレンとラギ。おっさん達ではありません。
シレンを演じたのは、永作博美さん。ちっちゃい! 可愛い! 美しい! 永作さんの実際の年齢に合わせた役年齢のようでしたが、これなら確かに若いラギが惚れるのもわかります。感情が高ぶると、叫ぶのではなく台詞を噛み潰すような喋り方になるのが、暗殺者の苦悩を感じさせるようで印象に残りました。
ラギを演じたのは、藤原竜也くん。舞台で見る藤原くんは、いつ見ても本当に輝いている…今回演じたラギはとても真っ直ぐな青年で、シレンがほだされてしまうのもよくわかります。うん、藤原くん相手なら、私も遠浅の女になって潮干狩り頑張るよ!(笑)一幕ラストから二幕のラギの狂気も、鬼気迫るものがあって素晴らしかったです。
シレンとラギの宿命自体は、途中で予想はついてしまうとはいえ、やっぱり悲しい。第一幕のラギが本当に若くて真っ直ぐで、だからこそ第二幕のラギの教祖姿は本当に痛々しく見えました。殺さなくていい愛をシレンに教えようとしていたのはラギなのに。そのラギが、「愛することは殺し合いだ」という新教義を掲げる。そうすれば、行方知れずとなったシレンを自分のもとに呼び寄せることができるだろうから。そして、思惑通りにやってきたシレンと殺し合おうとする。シレンがラギに向かって「私はずっと愛して殺すことで生きてきた。…一人だけ、そんな私を変えてくれるって言った人がいたんだけどね」と言った後に、ラギが虚無的な口調で「へえ、そうなんだ」って答えるのが、もう本当に悲しくて。あんただよ、あんたがシレンにそれを言ってあげたんだよ、馬鹿馬鹿!

ちょっとラストに向けて怒涛の展開すぎる…というか、毒薬兵器は時代設定的にどうなんだろうとか、毒消しってそんな一瞬で効くんだろうかと思いつつも、今回の「シレンとラギ」も大変面白く観させていただきました。ラストシーンで現れる血の道の鮮やかな赤が、今でも目に焼き付いてます。
ああでも、そういえばヒトイヌオの無意味なダンディシーンも目に焼き付いてるかなー…(笑)。退場の度に、毎回無意味にダンディ。犬の着ぐるみ、暑いだろうに…河野まさとさん、お疲れ様です。
新感線のお芝居はいつも本当に面白くて大好きなんですが、毎回チケット確保が大変すぎます…次回公演も絶対行きたいんですが、取れるかどうかわからないのが辛いところ(泣)。つ、次も頑張って取るぞー! おー!

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プロフィール

水瀬桂子

Author:水瀬桂子
水瀬桂子。
1月21日生まれ。水瓶座のO型。
趣味は観劇、映画鑑賞、読書。旅に出るのも好きです。
おいしいものを食べて、素敵な物語に接していられれば、この上なく幸せです。
三笠書房f-Clan文庫さんより、『妓楼には鍵の姫が住まう-死人視の男-』『妓楼には鍵の姫が住まう-黄泉がえりの人形-』が発売中です。

なお、「水瀬桂子」は「渡瀬桂子」と同一人物です。渡瀬桂子名義の近刊に『少年魔法人形 キスからはじまる契約魔法』『ある日、月の夜に。-わがままな魔女と人狼の騎士-』(ともに一迅社文庫アイリスさんより)があります。水瀬名義は、f-Clan文庫さんが初めてです。こちらは、より趣味っぽい感じのもの用になりそうな予感…。

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